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第61話 モンテビデオ条約にドロップキック


 この世界にあたらしく北朝鮮より遥かにヤバい国が生まれました。


 その名も『アイコノクラスティア(Iconoclastia)王国』(通称フェミ王国)

 凛子女王が唯一の支配者。


 その絶対的な権力の元、憲法も法律もなく、女王の命令が唯一のルールで『アメリカ覇権』という資本主義偶像の破壊を国是とする。


『絶対的偶像破壊君主制国家 (Absolute Iconoclast-Monarchy)』である。

 首都は淡路島。


 『アイコノクラスティア』略して『アイコノス』だ。



 カッコイイねぇ。

 ……ってかこういう名前だの小難しい政体だの、別に凛子が考えたワケではない。


 そうです、考えたやつは別にいる。

 誰だ?


 凛子のセンセーショナルな『フェミ王国』建国宣言からこっち

 大学助教授やら社会学者やら評論家やらがフェミ王国についてテレビやネット配信サービスなどの討論番組で日夜あーだこーだと激論を交わしとったんですが、そのときにやたらと好んで使われた用語がこの


 『Iconoclastiaアイコノクラスティア

 :ギリシャ語で『偶像破壊』だったのです。


 そりゃもう目をキラキラさせて使いまくりました。


 いかにもインテリぶった連中が好きそうな少し専門的な響きのある言葉。

 それがいつしかフェミ王国の正式名称扱いとなっちゃってた。

 という成り行きです。意図したわけではありません。てな建前。

 

 え???

 ホントにぇ~?


 ウソです。絶対狙ってやってます。

『問題意識で議論した』という体裁を取ってはいたが、どうみても全員ゴキゲンだ。この非常事態を楽しんでました。強力な台風の接近に大人たちがうろたえている中、大災害が起こるのを楽しみにしているガキどもみたいにウキウキワクワクやってました!


 ほんまアホです、この手の奴ら。

 理想に目がくらんで現実を見る気がありません。

 凛子のせいで日本の安全保障がぶっ壊れたというのに危機感のキの字も無く、こんなヤバい女と謎のロボットに未来を託す気マンマンです。


 するとどうでしょう

 どうしてもカッコイイ名前を付けたくなっちゃうんですね~!

(まぁこの部分だけに限れば、いみじくも正しい。カッコイイは正義だから)


「やっぱ『フェミ王国』のままじゃあまりにもダサいから、ドサクサにまぎれてもうボク達で呼び名を決めちゃおうヨ! どんな国名にしようか?」って口には出さないが、お互いに討論番組で目配せしながら、既成事実みたいに途中から『アイコノス王国』って呼んじゃってました。


 そんないきさつで『アイコノクラスティア王国』というのは周りが勝手に付けた国名やら政体なのだ。

(首都が淡路島なのは凛子の思いつき)



 一応は国際法のモンテビデオ条約とかなんとかいうやつに

 国家の成立要件として


『永続的住民』

『明確な領域』

『政府』

『他国と関係を取り結ぶ能力』


 という4つの要件が必要とみなされているが、あくまで〝みなされて〟いるに過ぎず、それに従う必要があるかどうかは別問題である。


 だいたいなんだ『国際法』て。

 どこのどいつが決めたんだ、どこのどいつが責任を持つんだ。

 国際法をアメリカや中国やロシアといった大国強国がどれほど守っているのか?

 守ったり守らなかったり勝手な自己都合で解釈しているのは守ってると言えるのか?


 凛子女王陛下より弱いそれらの国々が守ってない法を『アイコノクラスティア王国』が守る必要性があるのか?

 凛子の取り巻き達に言わせるとそういう理屈だ。


 まあ、言われてみればその通りではある。

 第一『アイコノクラスティア王国』は、国際制裁を受けて困るような恩恵をそれら国々からなにも受けていない。


 他国にまったく依存していない。

 そんな連中に非難されてもサッパリ痛くもなんとも無い。

 ネット民に言われた「ざまぁw」の方がよっぽど痛いくらいである。


『無敵の人』ならぬ『無敵の国』の誕生であった。


 しかもカッコイイ。


 さあ、楽しい時代の幕開けデス(death)!





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