第58話 フェミ女王 爆誕!
それに引き換え、大衆はお気楽なものだった。
ネットでカミナギルの圧倒的性能や攻撃力、また凛子のアメリカへの宣戦布告時の悪びれない威風堂々たる姿が知れ渡った事により様々な反応が寄せられ、SNSや掲示板等を賑わせる。
特に責任が追求されない匿名ネット掲示板は議論やら大喜利やら荒らしやらが入り乱れて大いに盛り上がり、ネット文化が百花繚乱していた2000年代前半以来の大規模なお祭り騒ぎが発生。
宵っ張りなお調子者達のゴキゲンな発言が24時間休むこと無くウキウキワクワク飛び交った。
このまえ『人心を予想する』のに盛大にしくじった凛子と支援システムは、このお祭り騒ぎのネットの様子を今度はつぶさに観察していた。
その中の、凛子が以前ストレス解消でやっていたツブフェミ発言の数々を発掘したスレで書き込まれた
「これもうフェミ王国の凛子女王だな」というコメントを凛子がたいそう気に入ってしまい
ついには
「フェミニストのためのフェミニストを国民とする『フェミ王国』を建国する」
と言い出して独立(建国)宣言を自分のツブイッターアカウントでおこなった。
はい『凛子女王一世』の誕生である。
そして
『フェミニストの女王として男性中心社会による暴力主義の象徴である超大国、覇権国家アメリカを、女の力で徹底的に打倒する!』
と全世界に大大的に発信してのけたのだった。
後づけ丸出し、思いついたままの穴だらけのビジョンだ。
そういう思想界隈に疎い人からすれば「おまえは一体何と戦っとるんだ?」という理論だったが
それもそのはず、そもそも凛子はフェミニズムなんかを本気で信望しているわけではない。
それゆえにこのゆるゆるの展望である。
『 だが、それが良かった!! 』
誰にとって良かったのか?
フェミニズムと言っても人間社会をより成熟へと導いてきた偉大なもの。
真剣に「男女格差問題は女の力で解決しなければ意味がない、与えられた権利ではダメだ」と戦っている茨の本筋を行く女性たち。
……だけでなく。
それ以外のわけわからん以下のような↓パチもん連中も追加だ。
1960年代に流行ったカビの生えたウーマンリブを未だにぶんぶん振り回し、討論番組をヒステリーで混ぜっ返すだけの
『(テレビ局の仕込みに忠実な)フェミ芸でメシを食ってる、ただのフェミ芸人じゃないか』と揶揄されるフェミ養成Fラン手前大学のクソババア教授や。
「女の敵は女」という言葉に異常に怒りを燃やしはするのだが、じゃあどうして欲しいの? と男が聞いてくれないとさらに怒り出すという、ご機嫌取ってもらいたいだけの女や。
我が子がバカなのがどうにも納得できずに、その責任転嫁先をアニメや漫画やゲームといった殴り返してこない相手にぶっつける道具としか思ってないオバハンや。
旦那に失望した反動で、息子を自分だけに都合の良い異性とするべく、留守中に子供部屋のエロ本等を血眼になって探し回り、息子の性の目覚めを「いけないこと」と徹底的に責め苛む変態ママ。(自分が変態行為をしているとは気がついていない)
「ルッキズム! ルッキズム!」とアニメ絵に叫んで相手して欲しそうにこちらを見ている女。
特にビジョンは無いけれど、とにかくなんか社会に格好良く口出ししてしゃしゃり出たい。シゴデキ女と思われたい。けど責任とか問われるのはイヤッ! っていう舐めた考えを強く強~~~く持っていらっしゃる女性。
男性からの性被害を虚言で訴えるだけに飽き足らず、とうとう生成AI画像で捏造してまでSNSに投稿している妄想犯。
なんでも「わたしたち女全員が怒っている」ことにして不買運動を呼びかけ企業に嫌がらせを繰り返しているプロ実家家事手伝いさん。
──といった多くの女性にとって、必ずしもありがたいとは言い難い主張をして下さる曲者揃いの人材で構成されているのが、『フェミニスト女性』の全体像なのだ。
『覇権国家アメリカを、女の力で徹底的に打倒する!』
という、わけわからんゆるゆるの。
しかし『単純』『明快』『ダイナミック』な選挙演説テクニック的な展望は
この有象無象百鬼夜行と化しているおフェミな戦士たちの、それらどの視点からでも目指すべき目標がどうとでも捉えられる滅茶苦茶わかりやすい理想となり。
そしてより多くの
「わたし女性ですけど?」
って言えば慰謝料がもらえたり意見が通ると思ってらっしゃる方々の支持を!
男を殺せる戦場を!
探してさまよう魂を!
軽い気持ちでがっつり集めてしまったのだ。
うおおおおお、さあどうなる『フェミ王国』!
ややこしくなって来ましたよ~。
チャンネルはそのまま!




