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第4話 耳をすませば海がきこえる


 見ればその標高、およそ百メートル、海抜百十七メートルとモニターには表示されている。

 機体をぐるりと回すとそのモニターに映るのは遠く交通機関を利用しなければ普段は見ることのない東京湾。


 ああ、海の見える景色。


 キラキラと海面がまだ上りたての朝の日差しを反射して輝いている。

 聞こえないはずの岸壁の潮騒がここまで聞こえてくるような錯覚を覚え

 モニターの光に目を細める。


 と、ふと操縦桿の感触にボタンがあることに気がついた。

 説明されなくても分かる。


 武器だ!

 なにか発射するタイプのボタンだこれ。


 ボタンの安全レバーを外すとモニターに照準が現れる。

 ちょうどいい。

 このはるか先まで見渡せるこの場所は試し撃ちにちょうどいい!

 もう撃てと言わんばかりのシチュエーションが整っている。


 凛子はキラキラ光る海面に目星をつけて発射ボタンを親指で押した。

 ボタンはちょうどいい感じの押し心地でカチッと応えた。


 すると出た!


 カミナギルの頭部に搭載された57mm×2門のガトリング砲が火を吹いた。


 ブオオオオオオオオオオオオ。


 撃った瞬間それが機関銃のような武器だと連なった弾の見た目でわかった。

 映画で見るようなダダダダダと鳴るものとばかり思っていたが

 ぜんぜん違う音だった。


 ブオオオオオオオオオオオオ。

 こんな音がするのか!


 ブオオオオオオオオオオオオ。


 光の弾が思いの外ゆっくりと飛んで消えていくのがハッキリ見える。

 砲弾って見えるんだ!


 ブオオオオオオオオオオオオ。

 ついつい撃ってみたくなる。


 ブオオオオオオオオオオオオ。

 あの弾はどこまで届くんだろう?

 1キロくらい飛ぶのかな?海に向かって撃っても全然距離感がわからない。


 ブオオオオオオオオオオオオ。

 いやいや1キロどころじゃないわ

 あの看板のショッピングモールまででも2キロくらいある。

 弾はそのずっとずっと向こうへと消えていった。


 ブオオオオオオオオオオオオ。

 遠くへ飛ぶからゆっくり見えてるだけなんだ。

 放物線を描いて飛んで落ちていく曳光弾(弾道を視認できるように混ぜてある発光弾)の軌跡は

 凛子にはなんとなくホースで水をまいているときのアーチを描く水の動きのようにも感じた。


 ブオオオオオオオオオオオオ。

 立ちション少年がふざけてするように狙いを左右に振ってみる。

 少し遅れて左右にしなって目標を追う光る弾線。


 おもしろい!

 新鮮な驚きの連続であった。


 ブオオオオオオオオオオオオ。


 あはははははは。

 ブオオオオオオオオオオオオ。


 あははははは気持ちいーい!

 ブオオオオオオオオオオオオ。


 ブオオオオオ。

 ブオッ。


 ?


 あれ?


 カチッ。


 カチカチッ。


 カチカチカチカチ

 カチカチカチカチッ。


 ええ?


 弾が……切れた……の?


 カチカチッ。


 え?

 なにこれ?





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