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第25話 壊滅を理解できるか



 ここで整理しよう。

 なにを整理するか。


 アメリカがどういう情報を得て、それをどう判断したかだ。


 『正常性バイアス』


 つまり、すでに危機的な状況に陥っているにも関わらず、未だ自分は大丈夫。問題ない。といった楽観的な思い込みを優先してしまう、やっかいな心理。


 そのど真ん中で、いきなり発生したこの奇天烈な大事件をどう理解しどう納得するのか。


 ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆


 現状、横須賀海軍施設 (アメリカ海軍横須賀基地)が何者かに攻撃を受けて

 第7艦隊が『壊滅』した。


 その情報は正しく伝わったのか。



『壊滅』というと、あたかもすべての艦艇がことごとく沈められ

 1隻も残っていないか

 あるいは1隻残らず攻撃されて戦闘不能に陥ったと思われるかもしれないが

 そうではない。


 通常は、そういう意味で使われる言葉ではない。


 わかり易い表現としては『本来の機能を果たせない』状態に

 陥ったというのが近いだろうか。


 まぁ、大日本帝国海軍みたいに

 ホントにボロボロになるまでとことんドツキ合うという例もあるにはあるが

 それはあくまで特殊な例であるといえる。


 だが残念なことに

 今回のケースはその『特殊』にかなり近い酷いものであることも事実だ。


 被害額は一節では五兆円とも言われる規模だ。

 あの6分間で五兆円が失われた…………。


 第7艦隊所属の残存艦はまだ数十もあり、揚陸艦、揚陸部隊が健在だが。

 艦隊防御の基本を担う重要なイージス艦の七割が喪失。


『艦隊』として使い物にならないのでどうしようもなく

『壊滅』判定であろう。



 なにより第7艦隊戦闘部隊『第5空母打撃群』なのに

『空母』を失ってしまっているのだ。


『空母を失う』


 それはただ艦艇のひとつを失うという意味ではない。

 一番取られてはいけない『王将』の駒を取られたのだ。

 即敗北と言って良い。


『主力空母』というものは

 それ一つで大抵の小~中程度の国の空軍力に勝るほどの力を有している。

『動く空軍』なのだ。


 もちろんそのような大事なものを丸腰で置いては居ない。


 それこそ将棋の盤面で王将を守るべく、金将、銀将、飛車ひしゃ

 角行かくぎょう桂馬けいま香車きょうしゃ歩兵ふひょう

 と様々な駒が配置されているように。

 時に10隻前後にもおよぶ、イージス巡洋艦、イージス駆逐艦、補給艦

 攻撃型原子力潜水艦などが周囲に複数配置され、空中、水上、水中の脅威を問わず

 完全な防御フォーメーションを固めている。


 そんな、一国相当の『空軍』が丸ごと失われた。

 と言えば事の重大さが伝わるだろうか?

 そういうレベルの大惨事が発生している状態である。


 我々は客観的に見ているので分かり切っていることであるが

 当事者である在日アメリカ軍がこのときこの状況を正確に理解できていただろうか?


 つまりこれは『課題』である。


 普段から警戒し対応を訓練している『仮想敵』からの攻撃。

 やつらはこう来るであろうと『想定しているあらゆる攻撃』

 あるいはその『兆し』


 そのようなものが一切ない状況で。

 まったく何も気配も無いのにも関わらず。


 ある日突然。

『第7艦隊が壊滅した』という報告を受けたとして。

 それが『空想の産物』でしかありえないものだったとして。


『責任ある立場の人間』が

 それを事実として認識し、整理し、理解するのに。

 少なくともまぎれもない『事実』であると『納得』して

 対応する命令を出すに至るのに。


 どのくらいの『時間』と、『情報量』が必要になるのか?

 という事だ。




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