君は生き延びることが出来るか
ネットサービスの広告依存のビジネスモデルは、崩壊しつつある。広告はクリックされなければ運営の収入にならないが、広告自体がコンテンツ利用の妨げになっているため利用者の満足度を下げるしサイト運営と広告主に対してのヘイトを溜める。また誤クリックしかされない広告は広告主としても自社サービスへの導線としては断線しかかっており、コスパが悪い。webメディアの主軸デバイスがパソコンからスマホに移行し、狭くなった画面をコンテンツと広告で奪いあっている今、広告依存モデルは既に崩壊したと言える。
でもこの先も収入を得なければサービス(小説家になろうサイト)は運営できない。どうやって収入を確保するか。方策は、
①広告収入を増やす
②課金を導入する
③新規サービスを導入する、手数料収入を増やす
④スポンサー企業をつける、売却する
それぞれを説明して行きたい。
まず先に、小説家になろうの弱みと強みはなんだろうか。
【弱み】
・収入を広告に依存している。
・広告の質が悪い。広告を運営がコントロール出来ていない。
・掲載作品の権利を持っていない。IP(知的財産)ビジネスが出来ない。
・出版部門がない。
・株式上場していない。する気も(多分)無いし、出来ない。
・金主がない。ファイナンスが脆弱。
・経営サイドの同人気質、ヲタ気質が抜けていない。経営センスがない。
【強み】
・日本最大級の小説投稿サイトである。過去の作品数、作者数が最多。
・どの出版社、プラットホームとも組める。
・収入に関してのビジネスモデルを新規に組める。
・過大な営利追求をしなくて良い(……多分)。
これらを勘案したうえで。
①広告収入を増やす
1ページに同じバナーを複数貼るのは愚策。1つの誘導先には1つのバナー、それもサイトに関係ある(成功した作品)の〇〇とか、でなければ小説を書くのに役立つ本や道具や体験のものにすべき。ゲームは小説を読む時間書く時間と喰い合うから避けたい。その上で。
【Googleアドセンスと契約】する。クリック単価が他社より高く(他社1〜9円に対して、15〜30円)、クリック率も高い(他社0.2%に対して、0.5〜1%)。これだけで全年齢サイトの広告収入が最低4倍になる。
(※試算根拠は、「ネットサービスのマネタイズ研究」https://ncode.syosetu.com/n1106ir/ を参照のこと。)
18禁サイトでは使えないのと、広告ハンドリングはGoogleがやるので運営は一切関与できない、という欠点がある。
②課金を導入する
サービスは無料、ではない。経費を広告を代償に他人に押しつけるか、利用者が負担するか。利用者が課金を払ってでも利用したくなるサービスメニューが求められる。
まず考えられるのは、月額課金で広告表示免除、であるが、今は広告ブロック機能で出来てしまうから利用率は低いと予想される。これだけでは課金の動機づけにはならない。
同業他社、カクヨムの「サポーターズパスポート」は有効だと考えられる。広告表示免除にプラスしてお気に入りの作者に所定の額を贈れる「ギフト」を月1個からセットしたもので、価格設定は月480円から複数プランがある(運営の取り分は月300円程度+ギフト1個40円くらいだろうか)。「推し活ビジネス」の一種と言える。一方、noteには「チップ機能」、いわゆる投げ銭がある(運営の取り分は10%弱)。こちらの方が金銭の動く額は大きくなるかもしれない。
③新規サービスを導入する、手数料収入を増やす
以前提起したことがある(https://ncode.syosetu.com/n6233ja/)のだが、トップページ下部の「書報-出版作品紹介」が他社(取次さん?)のサービスを使っているように思われるのだが、ここから運営にはお金が落ちていないと推測している。これを自社で構築してAmazonアソシエイトと契約しておけば、書籍で3.0%、KDPなどKindle本で8.0%のマージンが入る(上限1000円)。それ以外の執筆に必要な道具やデバイス購入や、読者側ならアマゾンのサービス(Kindle Unlimited や Prime など)の契約を経由してしてもらえれば、これもマージンが入る。Amazon側の経費が差し引かれるとは言え、これはデカい。小説家になろう(ヒナプロジェクト)には紐がついていない(出版業界と資本関係がない)のだから、Amazonをもっと利用するべきである。
当然のことながら、Kindle本の出版支援を有償で請け負えば、商材も増やせるし事業収入にもなる。他社を紹介してバックマージンにとどめても良いけど、自社もしくは関連会社でやる方がAmazonとズブズブになれる。
④スポンサー企業をつける、売却する
Amazonに会社(事業)を売る、または出資を得るのが当面の目標。と言っても、GAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)が日本ローカルの会社を欲しがるのか?は、「分野によっては協業や買収もあり得る」と私は考えている。直近では、note(東証コード:5243)にGoogleが第三者割当増資に応じて4.9億円を出資(持株比率約6%)、株価が500円前後から2900円超まで約6倍に高騰、その後、半値まで下落したが2025年2月21日の終値で1619円、時価総額265億円の株式銘柄になった。Googleは10億円ほどの含み益を抱えている計算になる。
小説家になろうの強みは「日本最大級の小説投稿サイトであり、過去の作品数、作者数が最多」である。但し、作品を集めた実績はあるが、IPは持っていない。実はAmazonは、米国で小説の投稿を受け、Kindle本にする事業を持っていた。しかし2月26日をもって撤退する、ということだ(満足な質の投稿を集められなかったようである)。日本でなら、Amazon日本法人とヒナプロジェクトで組めば、この事業は成り立ち、作者も含めメリットがあると考える。
これくらいの夢物語を語らないと、エロ広告を吹き飛ばせないんだよ。