広告ブロックの果てにあるもの
なろうの広告をブロックすると、煩わしくない。連載中の更新パートを読み始めるとき、読み終わるとき、作品からのエモーションが崩されない。以前からなろうを読む用に使っているブラウザソフト Sleipnir の設定で広告ブロックをオンにすると綺麗さっぱり広告を消せるようになったので、エロ広告もなろう発小説のゲームの広告も、普段は見ることがなくなった。
でもこれは、広告ブロックしている、しなければいけない現状はマズイものだと思っている。
広告ブロックする人が増えれば当然、なろう運営の収入は減る。今のバナー広告は「1回表示したら〇〇円」というインプレッション広告は皆無である。ほとんどがクリック報酬型広告であろう。広告がブロックされればクリックされる機会は永久に無いので、なろう運営の収入は減る。3年前(ヒナプロジェクトとナイトランタン合併時)は年間広告収入3.5億円、運営経費1.5億円(それぞれ推計値)であったが、ページビュー増加によるサーバー転送量増加、為替の円安、従業員の増員により運営経費は1億円以上増えていると試算する。この先、広告ブロックが広まれば広告収入は減少し、増大した運営経費を補えなくなってサービスが止まる未来である。
一方で、広告ブロックしないと小説家になろう全年齢サイトはとてもとても人には勧められない、そして自分の子どもには絶対触れさせたくないサービスになっている。コンテンツである小説の内容は、全年齢と18禁サイトで分けられていて、濃淡ありつつも分別がされている。しかし広告が酷すぎて読者や作者を混乱させ、傷つけ、新規利用者ばかりでなく常連読者、更には投稿者をも立ち去らせる危険性が常にある。
サイトによっては広告収入確保のため、広告ブロック機能/アプリを掻い潜って広告を表示したり(昨年の今頃のT0PT00Nの広告は、通常の広告バナーの表示エリアに予めT0PT00Nの広告を仕込み、バナー広告をブロックするとT0PT00Nの広告が表示されるものであった)、複数の広告バナーを貼り付けたり、コンテンツを覆い隠したり、バナー広告を消す☒を押しづらくしたり誤タッチを誘うようにしたり、記事を模した広告リンクが仕込まれたり、様々な仕掛けをしてくる。現在、YouTubeでは広告ブロックは利用規約違反になっており、今年(2025年)1月には広告ブロック利用者に3時間もの動画広告か表示され、再生を止めることができなかったと話題になった。
これらの仕掛けがサイト運営側の常套手段になると、一般ユーザーからは「広告収入て運営されるサイトは満足なユーザー体験を得られない」と立ち去るきっかけになりかねない。もはや広告収入に頼ったビジネスモデルは崩壊しつつある。
それではこの先、どのようにしてサービス運営に足る収入を確保すればよいのだろうか。またそれは可能なのだろうか。