第2話 初めての/2
彼との食事自体はなんの変哲もない雑談をしながら終わった。彼は俺に対して何も聞こうとはしなかった。
だか食べ終わった後もまだ俺たちはファミレスを出てなかった。
「それで、君はこれからどうするんだ?」
「そうですね。貴方は私を泊めてはくれないんですか?無理なら別の人を頼るだけですが。」
「それは、さっきみたいになんでもするとでも言うのかい?」
彼の声色が変わった。それが心配なのかどうかはわからないが真剣なのは分かった。
「さぁ、どうでしょうね?でも私には手段を選んでる余裕なんてないので使えるものは使うだけです。」
俺はそう言うしかなかった。そして俺は少し揶揄うことにした。
「それともこの短時間の間に独占欲でも出てきました?僕以外にそんなことしてほしくないです〜、って言うなら考えなくもないですよ」
「そうだね。僕は君にそんな事して欲しくないかな。」
「へ?」
俺は柄にもなく頬を染めてしまった。彼の顔は、声は、目は、真剣そのもので本当に俺を心配しているのが分かった。あぁこの人はお人よしなんだなと。そう思ってしまった瞬間に何か心の中で変な感覚がした。ある種の期待にも似た感覚。俺はそんな初めての感覚に戸惑っていたが表にはできるだけ出さないようにはしていた。
なのに
「君もそんな顔をするんだね。」
彼の微笑んだ顔が眩しかった。だからは俺は彼を信じようと思った。
「ふふ、じゃあ今夜そんなことしないように今夜の宿お願いしますね。」
「分かったよ、でもご両親には何か言い訳をして欲しい。心配するだろう。」
「家出中の非行少女に親に何か言い訳用意しろって、本当に何処までお人よしなんですか。」
彼の発言に笑ってしまう。彼との時間が心地いいかもしれない。
「これでいいですか?」
俺はスマホの画面をわざと相手が絶対に見える位置に出して、母との連絡画面を見せた。
やっぱり彼は良い人だ。この行動に動揺している。可愛いなぁ
「そんな簡単に画面を見せたらダメですよ。わかりましたからそれでは僕の家に行きましょうか。はぁ。」
疲れたようなため息を出して彼は席を立った。
「それでは今晩お世話になりますね。
どうぞ私を堪能してくれていいんですよ。」
わざと試すようなことを言いつつ彼の背中を追って行った。こんなこと初めてだったが運が良かった。これから彼の家を逃げ先にしたり、居心地によっては合鍵くすねて休むのに使うのもいいかもしれない。そんなことを思いながら俺たちはファミレスを出て、俺は彼について行った。