学際準備
久々の投稿
「さて、そろそろ文化祭の季節になってきたので君達に仕事をまかせたい」
いつんもどおりの生徒会室で、俺達に向かってシオンは笑いながら話しかけてくる。
「つまり、人がいないから準備を手伝ってほしい訳ですね」
「さすが大地君。話の飲み込みが早くて助かるよ。それで、手伝ってくれる」
「はい。僕達はいいですけど、1人だけめんどくさそうな人がいるんですけど」
大地の一言で全員が、俺に視線を向ける。
俺、そんなにめんどくさそうな顔をしていたか?
「はあ、また君か。いい加減、諦めてすんなり生徒会の仕事を手伝ってくれないか」
「いや、手伝い事態はいいんだが。大地や真衣、乃亜はいいとして、俺やスバル、楓太が手伝えるとしたら荷物運びぐらいだぞ」
「ああ、大丈夫。君達3人と龍次には文化祭の見回りなどをしてもらう予定だから」
「でも、俺たちにも護衛の仕事が」
「それも大丈夫。君たちが見回る際に自分達の護衛対象も一緒に見回りしてもらうから」
シオンは俺が言い終わる前に答える。
「他に聞きたい事は?」
「特にないです」
「よろしい。それじゃ、みんな頼むよ」
こうして、俺達は文化祭が始まることになった。
数日後。
学校全体が文化祭ムードに広がっており、あちこちで文化祭の準備をしている。
「あ~、めんどくせ~」
俺はそんな中、大型の段ボールを3つに重ねて両手で持ちながら愚痴っていた。
ちなみに段ボールの中身はアンケートの紙がびっしりと敷き詰められている。
「もう、レン。さっきからそればかりじゃない」
乃亜は俺の隣で少量のプリントを胸に抱えこみながら歩いている。
「そうゆう、お前は楽しそうだな」
「うん、だってレンと文化祭を回るの楽しみなんだもん」
「楽しみね~」
つ~か、いつ俺はこいつと文化祭を回る約束をしたんだ?
・・・・・まあ、こいつのことだから俺と文化祭を回るのは決定事項なんだろうな。
「てか、お前、他の奴らから誘われなかったのかよ?」
「あー、何十人かの男性に誘われたけど、丁寧にお断りしたよ」
「ちなみにどうやって」
「ボクは紅沙花蓮斗と一緒に回るのでご遠慮いたします」
お、こいつにしては普通だ。
俺は乃亜の成長に感心しつつ、生徒会室に向かった。
「アンケート用紙を持って来たぞ」
「あ~、そこの角に置いていて」
シオンは何かの書類と睨めっこしながら教室の隅を指差した。
「へいへい」
俺はシオンの指示通りに教室の隅に段ボールを置いた。
「あ、シオンさん。これ頼まれたプリントです」
「ありがとう」
シオンは乃亜からプリントを受け取った。
「シオン。実は同じ出し物をしようとしている所があるんだけど」
水姫はクラスの出し物表をみながら言ってきた。
「じゃあ、そのクラス同士で話合わせて決めて貰ってそれでも決まらないなら、合同でやってもらって」
シオンは水姫の質問にすんなり答えた。
「おい、シオン。警備の段取りとか交代の時間帯の話し合いが終わったぞ」
「何か指摘事項はあった?」
龍次が生徒会室に戻ってきた瞬間、すぐにシオンは質問した。
「え~と、何人体勢で見回りをするのか、とか、警備には何人の護衛科を回せるのかなどだな。あと、交代時間だな」
「見回りは3人体勢で、護衛科の人数は嬢育科の生徒の警護をしない生徒を主に回して、それでも足りなければ私に当てがあるからとりあえずそれでやってみて。交代時間はそっちで決めてちょうだい」
「了解」
相変わらずシオンは資料から目を離さないで的確に指示を出していく。
「レン、どうしたの?さっきからシオンさんを見て、まさかシオンさんに」
「いや、それはないから」
俺がさっきからシオンを見ていたせいか乃亜が俺を睨みつけながら言ってきた。
でも、俺はすぐにそれを否定した。
「じゃあ、なんで見てるの?」
「いや、あそこにいるの誰かなっと思ってな?」
「え、シオンさんじゃないの?」
「俺の知っている先輩はこんなに働いている人じゃない」
俺は本人がいるのにも関わらず堂々と告げる。
「君、日頃から私をなんだと思っているのかな?」
シオンはプリントから目を離して俺を睨んで来た。
「俺達をこき使うぐうたら会長」
「よし、外に出ろ。私に喧嘩を売ったこと後悔させてやる」
そう言ってシオンは立ち上がった。
「そんな暇はありません」
「あた」
そう言って水姫はシオンの頭をバインダーで軽く叩いた。
「蓮斗、あなたもです。あまりシオンをからかわないでください」
「へいへい」
「でも、水姫」
「いいから、仕事しなさい」
「はい」
シオンが言い訳をしようとした瞬間、水姫に遮られてしまった。
「それと蓮斗、あなたは楓太、スバルと共に手分けしてこのリストに載っている場所に行ってきて」
水姫は俺に企業名が載ったリストを渡してきた。
「ちなみになんで?」
俺はリストに目を通しながら言った。
つか、ほとんどヤクザ系じゃん。
「簡単に言えばここの学際を邪魔しようと考えている人達」
「つまり、その企みを俺達に壊してきてほしいわけか」
「ええ、話が早くて助かるわ」
「こと「わったら、後で乃亜にお仕置きしてもらうわよ」
俺が言う前に言葉を重ねてきた。
その言葉を聞いた後、なんとなく乃亜の方を見てみた。
「じゃあ、今夜は精が付くものを作らないと」
乃亜はすごいやる気だった。
「わかったよ。行けばいいんでしょ」
「話が早くて助かるわ」
「はあ、めんどくせ」
俺はそう言って生徒会室から出て行った。