鋼糸使いと猫の戦い
お待たせしました。感想などがあったら嬉しいです。
傲慢の部屋
戦いが始まり、7分ぐらい経過して、部屋の至る所に樹が生えていた。
「くらえっ!」
俺は木種に向けて鋼糸を撃つ。
「そんな一直線な攻撃当たらないぞ」
木種は樹を壁代わりにし、鋼糸を避けて俺に向けて弾を撃つ。
「それはお互い様だろ!」
俺もまた樹を壁代わりに弾を避けた。
この二人はさっきからこの繰り返しである。
「ちっ、仕方がない本気を出してやる」
そう言って木種は銃を構えた。
「させるかよっ!」
俺は木種が何かをやる前に鋼糸を撃ち飛ばす。しかし、鋼糸を撃った所には誰もいなくて、鋼糸はそのままさっきまで木種がいた後ろの樹に当たった。
「どこを狙っている?」
「なっ!」
そしたら、いつの間にか俺の後ろに銃を構えている木種がいる。
「チェックメイト」
その瞬間、木種は引き金を引いた。
「くそったれっ!」
俺は体を捻り、弾が頭に当たるのを避けた。
「ぐあああああっ!!!!」
でも、その代わりに弾は左肩に当たってしまった。
「さて、弾もようやく。お前に当たったことだし、これで俺の勝ちは決まったな」
木種が勝利宣言をした瞬間、俺の左肩の弾痕から樹が生えてきた。
「ぎゃあああああああっ!!!!」
それにともない、左肩に激痛が走り俺は悲鳴を上げてしまった。
そう、これを見てわかることだが。木種が撃つ弾には一種の魔法がかかっている。弾が当たった所には、樹が生えてしまうのだ。
だから、この部屋が樹で囲まれているのも、海が避けた弾が地面やら壁やらに当たり、そこから生えてきたものである。
「いい悲鳴だね。やはり、敗者にはそうゆう悲鳴がお似合いだ」
木種は海を見下ろしながら嬉しそうに笑っている。
「ああ、そうそう。お前の仲間に猫の髪留めをしている女の子がいたよな」
「か、花純のことか?」
俺は激痛に耐えながら答える。
「へえ~、花純ちゃんっていうのかあの子」
「花純がどうした?」
「うん。俺、花純ちゃんのことが気に入ったから貰うよ」
「ふざけんなっ!!」
海は思わず大声をあげた。
「ふざけていない。俺は本気さ」
「花純に手を出してみろ。俺が許さねえ」
「お前が許さないって?何を言ってるこの死にぞこないがっ!」
木種は俺の左肩から生えている樹を蹴っ飛ばした。
「くうあっ!」
俺の左肩からまた激痛が走る。
「いいかっ!この樹はなどんどんとお前の生命を吸っていくんだよ。そして最後にはお前は干からびて死んでいくんだよ」
確かに木種のゆう通りだ。さっきから段々と樹が成長するごとに俺の力が減っていくのがわかる。
「死ぬより花純ちゃんの方が心配か?大丈夫だって、お前が死んだあと俺がたっぷりと花純ちゃんを可愛がってあげるから。って、痛みとか俺の声はもう聞こえないか。あははははははは」
木種は卑猥な笑みを浮かべながら大笑いした。木種の言う通りだ。俺は樹に生命力を吸われまくり意識が段々と無くなっていっていた。
これはヤバイな。
俺も自分が危険な状態にいるのがわかる。でも、俺はそんなことより、別のことを考えていた。
つかこいつさっきなんつった?花純を可愛がるだと?ふざけんなっ!花純を可愛がってもいいのは俺だけだ!
無くなりかけた意識を覚醒させ、右手と鋼糸を使い左肩に蝕んでる樹を一気にひっこ抜いた。
「いっでええええええええええ!!」
「なっ!」
俺の行動に木種は驚く。俺は樹を引き抜いた後、すぐに鋼糸を使い左の肩の傷口を縫った。
よし、これでまだ俺は戦える。
「待たせたな。今から2回戦の始まりだ」
俺は木種を睨みつけながら言う。
「君は馬鹿か?せっかく楽に死ねたのに自ら苦しんで死ぬ方を選ぶなんてどうにかしているよ」
「それはやってみないと解らないぞ。今度は俺の鋼糸に刻まれて苦しむのはお前かもしれないしな」
「ほざけ、ガキが」
「うるせえ。ロリコン」
木種は海の一言にムカつき姿を消した。
「いいだろ。そこまで言うならお前をじわじわと苦しめながら殺してやる」
そして、周りから声が聞こえてくる。
「そして、今度こそ花純ちゃんを俺の物にしてやるよっ!!」
今の一言で俺は完全に切れた。
「花純をお前の物にするだと?ふざけんなよ。花純は俺の物だ!誰にも渡す気はないんだよっ!!つか、お前が生やした樹が邪魔なんだよ!」
俺は一気に鋼糸をすべての樹に向けて放った。鋼糸はすべての樹に絡みつき辺り一面、鋼糸が張っている。
「切れろ」
俺は思いっきり鋼糸を引っ張る。その瞬間、樹が根元部分を取り残し全部切れ倒されてしまった。
さて、あいつはどこかな?
「なっ、なんだこれは?」
俺は声が聞こえた方を見た。そしたらそこに、樹の根元から上半身を出している木種がいた。
なるほど、こいつは樹から樹えと移動する能力か。だから、魔法弾で樹を生やし自分の有利なフィールドを作っていたという訳か。種がわかればなんとでも対策を練れるな。
「いいのか、そんなところにいても?」
俺は木種に向けて鋼糸を放った。
「くっ」
木種は樹の中に潜りこんだ。
「逃がすかよ」
俺は近くに合った根元に触り鋼糸を放つ。
「ぎゃああああっ!!」
その瞬間、遠くの方にある根本から鋼糸に串刺しされた木種が叫び声を上げていた。
「これで、お前はもう樹に潜れないな」
俺は木種にゆっくりと近づく。
「お、俺が悪かった。お前たちにはもう手をださないから許してくれ」
木種は恐怖を感じ涙目になっている。
「駄目許さない」
俺はその後、倍返しのつもりで動けないことをいいことに木種を殴りまくった。もちろん相手が許しを乞うても止めない。相手が気絶するまで殴り続けた。
「ふう~、こんなもんか」
俺が一息つく頃には木種の顔は赤く晴れていて原形を留めていなかった。
「さて、花純の所にでも行くかな」
こうして、俺はエレベーターに乗り、一階に向かった。
傲慢の部屋
勝者 海 17分28秒(主に木種を殴ることに集中していて時間がかかった)
嫉妬の部屋
「はあっ!」
「とうっ」
海が木種を殴っている頃、花純と犬塚はスキルを使わずにお互い体術で争っていた。
「はあ、はあ、はあ」
「はあ、疲れて来ているんじゃないか?能力を使ったらどうだ?」
「おばさんこそ、歳なんだから無理しない方がいいよ」
「俺はまだ29だっつてんだろう」
犬塚は花純の顔面に向けて拳を放つ。
「それを言うなら、私は16」
花純はそれを蹴りで受け流す。
「ムカつく野郎だ」
「お互い様」
2人は一旦、お互いに距離を取った。
「もういい、さっさと終わらしてやる。うおおおおおおお」
犬塚が吠えた瞬間、犬塚の体形が変化した。体はだんだん大きくなり、黒い毛が全身を覆い尽くし、頭と腰には耳が生え、そして何より、頭が三つできた。その体形ははっきり言えば、ある動物を蓮想させる。
「ケルベロス」
花純は犬塚を見て言った。
「ああ、そうさ。俺のスキルは変身だが、その中でも希少種のモデル『犬』のケロベロスだ」
「・・・・・」
「どうだ?恐くて何も言えないだろう?そりゃあ、そうだよな。これを見た奴は恐怖のあまりに何も言えなくなるんだから」
「・・・・・黙れ、犬」
「何っ!」
犬塚の聞いた言葉は恐怖で怯えている声ではなく相手を見下している感じの声だった。
「聞こえなかったか?犬のくせに耳が悪いね。なら、もう一回言ってあげる。犬は犬らしく犬小屋で丸まっていろ」
「お前この状況わかっているのか?」
「うん。わかっている。お前がスキルを使った瞬間、お前の負けが確定した」
「本当にムカつくガキだな?なんで、俺が負けるって確定したんだ?俺はケロベロスでお前はたかが人間だ。俺の方が有利に決まっているだろう?」
「じゃあ、逆に聞くけどなんでこんな狭い部屋なのに獣化したの狭い部屋んだから人獣化にすればよかったのに」
「人獣化?なんだそれは」
「なるほど、齢が齢だけに人獣化を知らないか」
「殺すっ!」
齢の事を言われた犬塚は我慢の限界みたいで、花純に襲いかかった。
「遅い」
花純は犬塚の突進を意図も簡単に避けた。
「人獣化というのは人間の体形のまま変身の能力を使えるということ。つまり」
花純はスキルを使い、頭に耳が生え、腰から尻尾が生え、爪が伸びた。
「こうゆうこと」
「その人獣化というものはすごく弱そうだな」
「見た目だけで判断しない方がいいよ、おばさん」
「だから、俺は29歳だっ!」
犬塚はまた突っ込んで来た。でも、犬塚がそこにつっこんだ頃には花純はもうそこにいなかった。
「どこに行った。あのガキ」
「ここだよ」
花純はいつの間にか犬塚の懐に入っていた。
「人獣化のいい所は獣化とは違いスピードがあること」
そして、そのまま犬塚の腹を殴る。犬塚はそのまま空中に浮いた。花純はそのまま追撃する。
「また、力もそのまま獣化と同じぐらい出せるので自分より大きい者も簡単に浮かせることができる」
花純は犬塚の背中を蹴る。
「ぐっ」
「後はその人の鍛え次第でだんだん強くなる」
花純は淡々と説明しながら攻撃の手を緩めない。
「以上で、人獣化の説明を終わる。久々に一杯喋ったので疲れたのでもう終わりにしよう」
「ふざけるなっ!!」
犬塚は顔を三つ使い、前左右から襲ってきた。
「最後の悪あがきにもほどがある」
「ぐふ」
花純は左右の顔を両手で押さえ、正面からの顔は足で踏みつけた。
「さようなら。おばさん」
花純は踏みつけた顔を思いっきり蹴りあげた。犬塚は勢いよく空中に浮いた。花純はそのまま追撃し、最後の一撃を放つ。
「猫猫波」
花純は犬塚の懐に向けて、猫の闘気を放つ。
「ごほっ」
犬塚はそのまま闘気に当たり壁に叩きつけられて地面に倒れた。そして、犬塚は気を失いそのまま人間の姿に戻り気を失った。
「勝った」
花純も人獣化を解き、ここに自分が勝ったことを宣言した。
「でも、少し疲れた」
花純はその場に座る。その一瞬をあいつは見逃さなかった。
「死ねええええ」
気を失ったと思った犬塚がいつの間にか後ろにいて、ナイフを振り下ろそうとした。これには花純も気が着くのが遅れて、やられると思った。
「人の彼女に何する気だ?」
「ぐはっ」
だが、そこにタイミング良く海が現れ犬塚を鋼糸で切り刻んだ。
「海?」
「よう、花純。大丈夫か?」
「うん。なんとか」
花純の心配するより、血まみれの海の様子から自分の心配をしたらどうだと思っている自分がいる。
「ところで、なんでここにいるの?」
「そりゃあ、もちろん。お前が心配だったからだよ」
海は優しく花純を抱き寄せる。
「俺たちの喧嘩はここまでだ。後は蓮斗に任せて俺達は休もうぜ」
そして海は花純をお姫様で抱っこする。
「うん」
花純は体重を海に預け、そのまま海の胸によっかかった。
「なあ、これが終わったら。このままここに泊まらないか?」
「お金あるの?」
「2人分のお金ぐらいあるよ」
「じゃあ、泊まる」
「今日は寝かせないぞ」
「海のスケベ」
「男はいつだってスケベなんだよ」
「じゃあ、その前に休もうよ」
「だな、この戦いが終わるまでな」
「うん」
そうして、2人は一緒にこの場から去った。
嫉妬の部屋
勝者 花純 23分56秒(止めを刺したのは海だがあまり気にしない方向で)