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強欲、嫉妬、色欲

 強欲の部屋

「さて、俺の相手は誰かな?」

 楓太はのんびりしながら部屋に出ると、部屋の中心に老人が立っていた。

「あんたが俺の相手か?」

「ああ、そうだ」

 老人は楓太を見ながら答えた。

「それじゃあ、早速やりますか」

「いや、待て。少しばかりこの老人の話しに聞く耳を立ててくれないか?」

「・・・・・それって長い?」

「すぐに終わる」

「なら、聞くよ」

「ありがとう。それでお主。お主は今、何かやってみたいことはあるか?」

「やってみたいこと?んー、そうだね。全世界を旅してみたいかな」

「全世界を旅か。いいな。わしもやってみたい。でもな、わしはその他にもやりたいことがあるんじゃよ。でも、ワシも齢じゃ。やるのにも限度が見えている。しかし、もし、永遠に生きることができるなら、どうだ?」

 そこでようやく老人の雰囲気が変わった。

「永遠の命。若返ることはできないが死ぬことはない。無茶なこともやってみたい事もすべて出来る。それは素晴らしい事だとは思えないかね?でも、その考えにいくつくには少々、時間がかかり過ぎてしまった。わしは老い、何もできなくなっていた。そこで、わしはこの動かない体をどうやって動けるか考えた。そして、ある仕事の時、好奇心で若い者を取り込んでみたのだ。そしたらどうだ。体に力が漲り、体が動くようになったんじゃ。それからというもの、ワシは若い奴を取り込んでは自分の力に変えてきたのだ。・・・・・ここまで、くればもう話の意味はわかるよな?」

「要するに、俺を取り込んで自分の力にしたいんでしょ?」

 楓太は少々飽きていた。

「正解だ!」

 そう言って、老人は両手をアメーバ状の物に変化させ、鞭のように振るい楓太に攻撃をしかけた。

「んー、でも。それはお断りかな」

 しかし、楓太は大鎌を出しそれを切断した。

「女の子、特にスーちゃんにお前を自分の物にしたいと言われればすぐにOK出すけど。老人に言い寄られても気持ち悪いだけだよ。つーことは商談は不成立だね」

「そうか、なら、力尽くまでよ。煉獄館所属 強欲の吸妖。いざ参る」

「真田楓太。恨みは無いが倒させてもらう」

 そうして、楓太は大鎌を構えた。


 強欲の部屋

 楓太VS吸妖 戦闘開始



 嫉妬の部屋

「・・・・・」

 花純は無言のまま、部屋の奥へと進む。

「俺の相手はあんたね」

 そしたら、そこに一人の女性が立っていた。

「うん」

 花純は頷いた。

「へえ、若い子が来るって聞いていたけど。ここまで、若いとはね」

「花純はまだ高校一年生」

「そうなんだ。お姉さん、少し羨ましいね」

 女性は花純を見て微笑んだ。

「お姉さん?・・・・・おばさんの間違いじゃないの?」

 しかし、花純の一言により女性は微笑んだまま固まってしまった。

「・・・・・え、おば?・・・・ごめん、今なんて言った?」

「おばさん。化粧が濃いし、肌が荒れているし、枝毛や皺が目立っている。だから、お姉さんというよりはおばさんの方が合っている」

 花純は素直に答えた。

「こ」

「こ?」

「これでも、まだ俺は29歳だあああああ」

 女性は怒りを面に出しながら叫んだ。

「へえ、そうなんだ。」

 しかし、花純には興味がなかった。

「ああ、そうだよ。ガキがムカつくことを言うんじゃね!」

「ガキじゃない。私はもう大人の女になっている」

「え、お前。まさか」

「ん、処女じゃない」

 花純は恥ずかしい素振りも見せずに堂々と言った。

「はっ、ど、どうせ。売春とかやっているんだろ」

 女性は少しばかり動揺しながら言ってくる。

「やっていない。私には愛している人がいる。処女もその人にあげた」

「・・・・・」

 相手はもう何も喋らず、口が開いているだけだった。

「・・・・まさかだとは思うけど。おばさん、もしかしてやったことがない?」

 花純の一言に女性はビクッと体を震わせた。

「あ、図星」

「・・・・・五月蠅いガキだ」

 花純の一言により、とうとう女性がキレてしまった。

「彼氏がいるからって良い気になりやがって殺してやる」

「あ、問題はそっちなんだ」

 花純は冷静にツッコミを入れた。

「俺は煉獄館所属 嫉妬の犬塚。ガキ、お前の名は?」

「舞草花純」

「じゃあ、花純。お前を食いちぎってやるよっ!」

 その瞬間、犬塚の体から光が放たれた。


 嫉妬の部屋

 花純VS犬塚 戦闘開始



 色欲の部屋

「よお、久しぶりだな。影法師」

 夢が部屋の奥に行くと懐かしい人が夢を出迎えた。

「お久しぶりですね。姉さん。・・・・いえ、元姉さんと言えばいいのでしょうか?それと、私は今、夜霧夢といいます。影法師ではありません」

 その人物は、夢と瓜二つで、違うと言えばその人物は黒いスーツを着ていた。

「元姉さんねえ。あたいも嫌われたものだね。しかし、煉獄館随一の暗殺者のお前が今じゃあ、透咲のメイドとはね。聞いて呆れるよ。しかも、夜霧夢っていう名前までもらっちゃってさ」

「あなたには関係ないことです。ところで、元姉さん。ちょっと聞きたい事があるんですが?」

「ん、なんだ?つか、頼むから普通に姉さんと呼んでくれ」

「私の記憶が正しければ、色欲の人はメガネをかけた秘書みたいな女性だと思いましたがどうしましたか?」

「ん?ああ、結衣か?あいつなら結婚して子育てをしているぞ。んで、色欲の席が空いたかあたいが受け継いだってわけ」

「つまり姉さんは取り残されましたね」

「・・・・・それはどうゆう意味かな?」

 夢の姉はイラついた。

「そのままの意味です。あ、すみません。行きたくてもお相手がいなくて行けないんですね」

「相変わらずの毒舌だな。あいにくあたいは独身主義だからいいんだよ。それより、お前はどうなんだよ?お前も本当はもてないんじゃないのか?」

「私ですか?私は姉さんと違い、結構、透咲家の執事達に人気でして、毎日お茶のお誘いとかがあります。姉さんと違い」

「なぜ、あたいの所で二回言うんだ?」

「嫌味です」

 夢が素っ気なく答える。

「嫌味かよ。まあいい。ところで一つ、お前に良い話があるんだが聞くか?」

「なんですか?」

「お前、あたいとまた一緒に働く気はないか?」

「つまり、煉獄館に戻って来いということですか?」

「まあ、簡単に言えばそうだな。お前はあの時、透咲の娘を暗殺しに行き。その時に丁度いた紅沙花の奴に返り討ちに合い死んだと思われていたんだし、お前が生きているのを知ればみんな喜ぶぞ」

「・・・・・そうですね。私も久々に会いたいですね」

「なら」

「でも、私は戻れません」

「なっ」

 夢の一言により夢の姉は驚いた。

「私には大切なものができました。今はそれを取り返す為にここに来ています。たとえ、誰が相手だろうと、私はそれを取り返して見せます。たとえ、それが実の姉が敵だとしても」

 夢は殺意を含みながら実の姉を見た。

「そうか、実の姉を敵にしてもそれを取り返しに行くか。なら、お前はもうあたいの妹じゃねえな。あたい達、煉獄館の敵だっ!」

 そして、夢の姉も殺意を含みながら夢を見た。

「最初に言いましたよ。元姉さんって」

「ああ、そうだったな。妹よ。いや、夜霧夢っ!煉獄館所属 色欲の影切。行くぞっ!」

「透咲家メイド隊 一番隊隊長 夜霧夢。綺麗にお掃除させてもらいます」

 こうして、激しい姉妹喧嘩が始まった。


 色欲の部屋

 夢VS影切 戦闘開始



「失礼しますよ」

 雪崩はそう言って、豊がいる部屋に入って行った。

「おや、帰ったんではなかったんですか?」

 そしたら、豊が見ていたテレビから視線を外し、雪崩を見た。

「ええ、そうしようと思ったんですけど。ちょっと、こっちの方に興味が出たんでもどってきました。ところで、戦況はどうなっていますか?」

 雪崩は豊に近づきテレビを見た。そのテレビには現在、戦闘を繰り広げている龍次達が映っていた。

「おもしろいですと。あなた達の煉獄館の人達といい勝負をしています」

「あー、本当ですね。ただの高校生と思っていましたが、なかなか筋がいいですね。・・・・・ん?旦那、何故、紅沙花蓮斗の映像がないんですか?」

「彼ならもう戦いを終えてエレベーターが動くまで、エレベーターの中で寝ているよ」

 豊は呆れながら言う。

「え?今、なんて言いました?」

 雪崩は驚きを隠せなかった。

「だから、彼は戦いを終わらせてエレベーターの中で休んでいるよ」

「いや、ありえませんって、うち達、煉獄館のものがそう簡単に負ける筈がありません」

「でも、事実だよ。これを見たまえ」

 テレビの画面が変わった。そこには、大男が床に埋め込まれて倒れているシーンが映し出されていた。

「この人は確か、怠惰の鉄塊さんですね。彼は確か煉獄館でも上位の実力があるはずでしたんですけど、こんなに弱かったけ?」

「いえ、この人は強い筈ですよ。ただ、それ以上に彼の方が強かっただけです」

「・・・・・さすが、『鬼神』と恐れられた男の息子だけありますね」

 雪崩は指の爪を噛んだ。

「ええ、ですね。でも、彼がここに来ることは無いでしょ?」

「何故ですか?」

「それは他の人達が負けるからですよ」

 豊がそう言うと、またテレビの画面が変わった。

「あー、本当ですね。一人脱落しちゃっていますね」

 その画面に映し出されていたのは、床に倒れている映像だった。


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