前にもこんなことが合った気がするな
今回は少し長めです。
そして、土曜日になった。
俺と乃亜は頼まれたとおりに、スーツとドレスに着替えて迎えの車に乗りパーティー会場に向かった。
パーティー会場に着くと、いきなりみんなして俺達に注目してきた。
「ほう、あれが透咲家のお嬢様か。なんという美しさだ」
「その隣にいるのも、あの紅沙花家のご子息ですよ」
「お二人は確か婚約していますよね」
「でも、言っちゃあなんだか、あの男じゃお嬢様には不釣り合いだろ」
「あれなら、私の息子の方が似合っていますよ」
「いやいや、私の息子ですよ」
周りして言いたい放題だった。俺はとりあえず少々ばかりムカついたので周りに居る奴らを睨みつけた。そしたら、周りに居る者達は気まずくなりそれぞれが俺から眼を逸らした。
けっ、器が小さい奴らばかりだ。
「これはこれは透咲様と紅沙花様」
そうしていると一人の青年が話しかけてきた。
「この度は私の婚約パーティーにおいでください。ありがとうございます」
どうやら、今回の主催者のようだ。
「今回、パーティーにお呼びしていただきありがとうございます。父も参加ができなく残念がっていました」
乃亜は丁寧に挨拶をした。
「そうですか。それだったら今度、日を改めて挨拶に行くと伝えておいてくださいませんか?」
「わかりました」
「ありがとうございます。それでは今日は楽しんでいってください。それと紅沙花様」
「ん?」
なんだかついでみたいな感じがするけど気にしないことにしよう。
「あなたの父親に、いつもお世話になりありがとうございますと伝えておいてください」
「わかりました。父にそう言っておきます」
言う気はこれっぽっりもないけどね。
「それでは」
そう言って青年は他の人に挨拶しに俺達から離れて行った。
「気に喰わないな」
俺は青年の後姿を見ながらそう思った。
「ん?どうかしたの。レン」
乃亜が不思議そうに聞いてきた。
「いや、なんでもない」
念の為、情報を集めておくか。俺は携帯を取り出し、ある奴にメールを送っておいた。
さて、何も起こらなければいいんだが。
それからしばらくして、パーティーが始まり。ダンスや料理、会話を楽しむ者たちがちらほら出てきた。
「これはこれは乃亜様」
「お初にお目にかかります。紅沙花様」
そうゆう俺達も何かを企んでそうな中年男性達が話しかけてきていた。
「レン」
「ん?」
「飽きた」
「そゆうなって」
現に俺も飽きているんだから。
「お父様の顔を立てる為に参加したけど、もう、それも立てたし帰ってもいいんじゃない?」
「それじゃあ、帰るか?」
「うん」
「じゃあ、最後にさっきの奴に挨拶をしていかないとな」
「そうだね」
俺は主催者の青年を探す為に当たりを見回した。そこで、俺はある異変に気が付いた。
なんで、グラサンを掛けて黒いスーツに身を包んでいる奴が多いんだ?1、2、3、4、5。全部で5人。いや、他にも入り口やら窓付近にもいるな。SPか?いや、SPにしちゃ、怪しすぎる。それにSPならバッチを付けているはずだけどやつらは付けていないな。まさか。
ピピピ、ピピピ、ピピピ
そこまで考えると俺の携帯が鳴りだした。
「もしもし」
俺はすぐに携帯に出た。
「あ、もしもし、レン君?」
相手はさっき主催者の情報を頼んだ大地だった。
「何かわかったか?」
「うん、とりあえず。まずはそこから逃げた方がいいよ」
「わかった。乃亜、行くぞ」
大地は無茶な注文をしてきたが俺はすぐに動いた。
「え、でも、挨拶は?」
「いいから、黙って俺についてこい」
俺と乃亜はパーティー会場の出入り口に向かった。
「それで、何がわかった?」
「うん。実は最近、そこの会社の息子がある所に莫大な資金を出資したんだ」
「その所は?」
「煉獄館」
聞いたことがある。金を積まれればなんでもやるという何でも屋だ。
「何のためにかわわからないけど、事を起こすなら今日だと思う」
「その為の婚約パーティーか」
「だろうね。だから変なことが起きる内に早く逃げた方がいいよ」
「わかった」
俺は電話を切り、乃亜を連れてパーティー会場から出ようとした。
「おや、逃がしませんよ」
その瞬間、シャッターが落ちてきて出入り口を塞いでしまった。
ちっ、気付かれた。
「どこに行く気だったんですか紅沙花様に透咲様?」
青年が黒服の奴らを連れて俺の前にやって来た。
「飽きたからもう帰るところだったんだよ」
俺は乃亜を庇いながら、青年を睨みつけた。
「そうですか。でも、それは無理です」
「何が目的だ?」
「そんなの決まっていますよ。あなたが後ろで庇っている透咲さんですよ」
「え、ボク?」
乃亜は自分が目的だと言われて驚いた。
「はい」
「なんで、乃亜なんだ?」
「それは教えることができません。でも、強いて言うなら、透咲さんに関わらず、透咲家の能力ですかね」
透咲家の能力だと。
俺はその時、乃亜の子供の頃を一瞬、頭に浮かべた。
「さて、お喋りすぎましたね。さて、そろそろ本題に入りましょう。透崎乃亜を渡しなさい」
「俺がそう簡単に渡すと思っているのか?」
俺は乃亜を抱き寄せた。
「レン」
乃亜が俺の服を掴んで来た。
「大丈夫。俺が護るから」
そう言ったものの、出入り口は青年の後ろにしかないし、あの黒服達はたぶん煉獄階の奴らだから油断はできない。むしろ、俺だけ逃げるだけならまだしても、乃亜と一緒に逃げるのは至難の業だろう。
「困りましたね。あまり手荒いことはしたくないんですけど」
「じゃあ、ここから逃がしてくれない?」
「それはお断りです」
さっきまで、出入り口付近に居た青年がいつの間にか俺の目の前にいた。
「なっ!」
俺は驚き、すぐに乃亜を庇おうとした。
「遅いです」
しかし、いつの間にか俺は蹴飛ばされ乃亜から離れてしまった。
「レン!」
乃亜はすぐに俺に駆け寄ろうとしたが、黒服の奴らに押さえられてしまった。
「ミコト!!」
それを見た俺は瞬間的に自分のパートナーの名前を叫んだ。
『乃亜ちゃんを離せっ!』
ミコトはすぐに獣姿になり黒服の奴らに魔弾を撃とうとした。
「無駄ですよ」
そしたら、青年が今度はミコトの前に現れて、ミコトが魔弾を撃つ前に俺に向けて蹴り飛ばした。飛んできたミコトを俺はキャッチをした。
「大丈夫か?」
『うん。大丈夫』
「わかった。なら、武装だ」
『OK』
ミコトは獣姿からナックルになり俺の手に装着された。
「行くぞ」
俺が青年めがけて距離を縮めようとした。
「無駄ですよ」
そしたら、また、青年は俺の目の前に現れ、俺の胴体を蹴った。
「ごほっ」
俺は防御をする暇も無く窓に向かって飛ばされそのまま床に倒れた。
「弱いですね。これが、乃亜さんの護衛なんて聞いて呆れます。もう、少し、私を楽しませてくれると思いましたが期待外れですね」
青年は俺を見下すように言ってくる。
「まだ、俺は終わっていないぞ」
俺は青年を睨みながら立ち上がった。
「ほう、頑丈ですね。今、私はあなたの胴体を五発も蹴ったのによく立ち上がれましたね」
「うるさい。乃亜を離しやがれ」
「それは無理な相談です。・・・・・でも、そうですね。ならこうしましょ、今からあなたを地上まで叩き落とすのでそこから最上階にあるスイートルームまで来なさい。でも、簡単にこられてはつまらないので各階に刺客をいさせるので、そいつらを倒しながら来てください。制限時間は四時間です。あ、そうそう、その間は乃亜さんに手は出さないので大丈夫ですよ」
「それを俺が応じると思うか?」
「思いませんよ。でも、もう、スタートしているんだから仕方がないじゃないですか」
はあ?何を言っているんだお前?と、俺が言おうとした瞬間、後ろから何か割れる音がした。
そして、俺はそのまま下に急降下していった。
なんか、前にもこんなことが合った気がするな。
「では、頑張ってください」
最後に青年が微笑んでいるのを見て俺はムカついた。
野郎、絶対殴ってやる。