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家族団欒

「相変わらず大きい部屋ですね」

 前回もこんなセリフを言った気がするな。

 乃亜の父親、仁に呼び出されて乃亜の家にやってきていた。

「ははは、これでも私の別荘の中では一番小さい建物なんだけどね」

 目の前にいる仁は嬉しそうに言ってくる。

「それでお父様。なんでボク達を呼んだんですか?」

 乃亜は俺の隣に座りながら聞いた。

「久々の休みに娘と義理の息子の元気な姿を見たくなったんだよ」

「帰ってもいいですか?」

 乃亜は真面目な顔で言った。

 つか、帰ってもいいですかは無いだろ。お前の家はここなんだから。

「い、いや、それは冗談だからまだ帰らないで」

 仁は乃亜の態度に少々、焦ってしまった。

「それで、用件は?」

「うん。全部で三つほどある。まず、一つ目はこれだ」

 仁はそう言って布に包まれたものをテーブルの上に置いた。

「なんですか、これ?」

「名前は忘れたけど、君の父親に頼まれた物だよ。玲ちゃんに渡しておいてくれと伝言も頼まれている」

玲の奴、親父に何を頼んだんだ?

 俺はそう思いながらもそれを鞄の中に閉まっておいた。

「それで、二つ目だ。実は私の代理として、あるパーティーにでて欲しいんだ」

「パーティーの代理ですか?」

「そう、ある会社の息子の婚約発表会なんだけど。私はその日どうしても外せない用事があるんだよ」

「外せない用事とはなんですか?」

 乃亜は不思議そうに聞いた。

「それは私たちの結婚記念日だからです」

 そしたら、乃亜みたいな赤い髪を長く伸ばした女性が部屋の中に入って来た。その後ろには夢も控えている。

「椿。寝てなくてもいいのかい?」

「大丈夫よ。今日は体調がいいの。それに、たまには娘と親友の息子の顔をみないと罰が当たってしまうわ」

 そう言って、その女性、透咲椿は仁の隣に座った。椿さんはもともと体が弱く殆ど屋敷の中で生活をしている。

「お久しぶりです。椿さん」

 俺はとりあえず挨拶をしておいた。

「お久しぶりね。蓮斗くん。あんなに小さかった子供がこんなに大きくなっちゃって時が経つのは早いわね」

 椿さんは嬉しそうに微笑んえんだ。

「それと、いつも乃亜を護ってくれてありがとう。これからも、私たちの大事な娘を護って頂戴ね」

「こんな、俺でよければなんなりと」

 真っ正面からいわれるとなんだか照れてしまうな。

「それで、話を戻してもいいかな?」

 仁が区切りのいい所で言ってきた。

「まあ、そういうことだから、私たちの代わりにパーティーに参加してくれないかな?別に嫌というなら断ってもいい」

「レン。どうする?」

「俺はどちらでもいい。乃亜が決めてくれ」

 どうせ、俺の仕事は変わらないんだし。

「そのパーティーっていつ頃に行われるんですか?」

「君たちが夏休みに入る前の土曜日だよ」

「まあ、其の日はレンにいちゃつく日程しかありませんしいいですよ」

 いや、いちゃつくは日程にならないから。

「本当か?じゃあ、よろしく。当日は迎えをやるから、それに乗って向かってくれ」

 仁は嬉しそうに言ってくる。

「はい。わかりました」

 ぼーん、ぼーん、ぼーん

 そしたら、区切りがいい所で時計の鐘が鳴り、今が18時というのを教えてくれた。

「おや、もう、こんな時間が。2人供今日はもう、泊まって行ったらどうだい。いや、むしろ泊まって行きなさい」

「え、でも、家に玲を待たせているので帰らないと」

 ピピピ、ピピピ、ピピピ

 そしたら、俺の携帯が鳴りだした。

「ちょっと、失礼します」

 俺は携帯を確認してみると相手は玲だった。

「もしもし、お兄ちゃん?」

「おう、どうした?」

「今日さ、友達の家でちょっとデバイスの修理を頼まれちゃったから、そのまま友達の家に泊まるからね」

 タイミング良すぎないか?

「ああ、わかった。迷惑かけんなよ」

「うん。大丈夫。それじゃあね」

 そう言って電話が切れた。

「玲ちゃん、なんだって?」

 乃亜が聞いてきた。

「友達の家に泊まるだと」

「それじゃあ、泊まって大丈夫ってこと?」

「まあ、そうなるな」

「本当かい?」

「ええ、どうせ、家には誰もいませんし乃亜がいいなら。いいですよ」

「ボクはもちろんOKだよ」

「それなら、早速、準備をしないとな。夢、夕食を2人分追加だ」

「かしこまりました」

 夢は仁に指示され部屋から出て行った。

「ふふふ、今日は楽しい夜になりそうね」

 そんな光景を見ながら椿は笑っていた。


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