いきなり殴りかかるのは酷くないか?
人物紹介
円堂大地
男、六月一日、15歳
身長160㎝、体重60Kg
特徴、可愛い顔立ち
好きな物 イチゴ
嫌いな物 ピーマン
蓮斗の親友で、蓮斗を怖がらない人物の一人。周りではなんで蓮斗と仲良しなのか不思議がっている。
月魅真衣
女、九月十日、15歳
身長165㎝ 体重 秘密
特徴、ポニーテイル
好きなこと ジョギング
嫌いなこと 勉強
スポーツ少女で、毎日、元気に笑みを浮かべている。
隠れファンがいるらしい。
乃亜と再開して一週間が経過したホームルーム前の教室。
クラスメイト達は新しい学校にも慣れてきたのか、新しい友達などを作って話などをしていた。
「・・・・・・」
そして、俺はというと机にうつ伏せになりながら死んでいた。
「レン君。おはよう」
そうしていると誰かが俺に話しかけてきた。
俺は気を振り絞って顔を上げると、そこには親友の円堂大地が立っていた。
「ああ、大地か。おはよう」
「はい。おはよう」
大地はにこやかに笑った。
その瞬間、教室が騒ぎ出した。
「ああ、円堂君。今日も可愛いな」
「私にもあの笑顔で挨拶をしてきてくれないかな?」
「お持ち帰りしたい」
教室の女性陣の眼がすごいハートマークなのは気のせいか?
「それより、どうしたの?すごく疲れているみたいだよ?」
大地は周りのことは気にしないで話しかけてきた。
「あ、やっぱりわかる?」
そりゃあ、この一週間で3キロは減ったもん。
「うん。そりゃあ、日に日にやつれていくとわかるよ。それと、その理由もね」
「さすが親友。そこで、お願いがある」
「おっはよー!」
バシッという音と共に何かで後頭部を叩かれた俺はそのままおでこを机にぶつけてしまう。
「おはよう。真衣さん」
大地は俺のことは気にせず、俺を叩いた月魅真衣に挨拶をする。
それって酷くないか?
「おはよう。大地君」
真衣も大地をみながら嬉しそうに挨拶を返した。
「相変わらず。元気だね」
「うん。それが私の取り柄だもん。ところで、こいつはなんで死んでいるわけ?」
「お前のせいだろおおおおがああああああ!!!!!」
俺は思いっきり立ち上がりながら、真衣を睨みつける。
「あはは、ごめん、ごめん。ところで、話を変えるけどさ。朝からアッちゃんを見かけないんだけど。どこに行ったの?」
真衣は乃亜の事をアッちゃんと呼んでいる。
「そう言われればいないね。どうしたの?まさか、風邪でも引いて休んだ」
大地と真衣は辺りを見回し、乃亜を探した。
「いや、知らない男子生徒に呼び出されて付いて行ったぞ」
「なるほど」
二人は納得してくれたみたいだ。
「よっと。しかし、相変わらずアッちゃんはもてるね~。私も男だったら確実に告白しているわ」
真衣は俺の机の上に座りながら言ってきた。
おい、はしたないだろうが。
「え、真衣さんが男だったら困るよ」
大地が焦りながら真衣を見た。
「ん?どうしたのかな。大地君。私が男だとなにか困ることでもあるの?」
真衣は悪戯な笑みを浮かべながら大地に顔を近づけていく。
「え?いや、その」
「ねえ、なんでなんで?」
大地、口が滑ったな。まあ、それは自分が悪いんだから自分で何とかしてみろ。
ここだけの話。大地と真衣はお互いの事が好きなんだけど告白できないでいる。大地は大地で断られたらどうしようよという、ネガティブ思考の為か。なかなか告白できないでいて。真衣も真衣で、告白は男からでしょという、乙女心を持っている為かなかなか告白するということができない。親友からして見れば、さっさと告白して恋人同士になってほしい今日この頃。
さて、そろそろ大地が困って来ているし助けてやるかな。
「おい、そろそろ」
「ここに紅沙花という奴はいるかあああ!」
大地に助け舟を出してあげようと喋りはじめた瞬間、いきなり、ガラッという音共に大柄の生徒が入ってきた。しかも、俺のご指名をしながら。
エンブレムが緑ということは二年か。
この天川学園は色によって学年が分かれている。今の所、赤が三年、緑が二年、そして、俺ら一年は青である。
「お前が紅沙花か?」
二年の先輩はいつの間にか俺の前に立っていた。ここからは、この人の事をAとでも呼ぼう。
「はい。そうですけど。僕になんの用ですか?」
俺は高校になってまで騒ぎを起こしたくなかったので丁寧に対処した。
「俺は護衛科の佐々木という者だ」
Aは丁寧に自己紹介をしてきた。
見た目より紳士だな、この人。まあ、でも今さら呼び方変えるのも面倒だからAでいいや。
あ、ちなみにこの学園には、このAが所属している護衛科を始めいろいろな科が存在する。まあ、それは後々説明していこう。ちなみに俺もこのAと一緒の護衛科ね。つまり、この人は俺の先輩にあたるな。
「それで、今日はどういったご用件で?」
「恨みは無い。俺に倒されてくれ」
「はい?」
何言ってだ、この人は?と俺や周りでそう思った瞬間、おりゃあという掛け声と共にAがいきなり殴りかかってきた。
しかし、俺はいきなりだった為、避けることができず、思いっきり殴られてしまった。その為か、座っていた椅子からは落とされそのまま壁に頭をぶつけてしまった。
「ははは、これが、乃亜さんが言っていた紅沙花か。他愛もないな」
Aは俺を殴ったことにより高笑いしていた。
あー、ムカついてきた。
「あーあー、可哀想だね」
「だね。これだと全治半年はかかるかな?」
「そう思うよ。それより、早くみんなをここから退散させないと」
「ああ、そうだったね。ということだからみんな早く逃げた方がいいよ」
真衣と大地は同情するかのようにその様子を見ながら、教室の生徒達を誘導していた。
「おい、お前ら何をしているんだ?」
Aは不思議そうに大地に聞いてくる。
「何って誘導だけど?」
「何故だ?避難訓練でもあるまいし」
「だってね、これから鬼が暴れちゃうんだもん」
「鬼だと?」
「まあ、すぐにわかるよ。それと佐々木さんだっけ?その鬼には気をつけた方がいいよ。最近、ストレスや疲れが溜まりすぎて凶暴になっていると思うから。それじゃあ、がんばってね」
大地はそう言って教室のドアを閉めた。そのことによって、この教室に残されたのはAと俺だけになる。
「ふん鬼だと。ここにいるのは俺と気絶した紅沙花しかいないだろ。て、おい、この気絶した紅沙花を連れていかなくてもいいのか?まあいい、その鬼が出ないうちに俺も早くここから退散するか」
Aは俺を置いて、とっとと教室から出ようとした。その時、Aは勘違いをしていた。
「あー、痛いな。痛い痛い」
「なっ!」
Aは驚いて振り返った。そこには俺がゆっくりと立ち上がっていた。
「な、何故立っている。俺はお前を倒したはずだぞ」
「あほ。誰があんなので倒されるか」
そう、俺は倒されていない。そこをAが勘違いをしていた。
「でも、確かに俺はお前を殴った筈だぞ」
「おう、そのおかげで顔面と後頭部と背中が痛い」
俺は後頭部をさすりながら言った。
「まあ、ということなので死んでくれ」
「え?」
俺はにっこりとほほ笑み、一気に間合いを詰め、呆気にとられているAの顔面をから始まり、喉、腹、脇、胸、鳩尾を殴り、次に腕、指、脛などの部分の骨を折り逃げられなくして、Aがバランスを崩し仰向けに倒れた所で、顔面に片足を押しつけた。
「おい、先輩ということに免じで。最後に何か言い残すことでもあるか?」
「ひっ」
Aは怯えきっていた。そこには先ほど自分に丁寧に話していた紅沙花はおらず、今、自分を見下ろしているのは紅沙花蓮斗であって紅沙花蓮斗ではない者だった。
「ば、化け物」
Aは俺を見上げながら言ってきた。
化け物か今の俺に合っている言葉だな。
「それじゃあな。先輩」
俺は一旦、片足を上げ、そしてAの顔面にむけて一気に落とした。
「だめ!」
「痛っ!」
しかし、いきなり教室に乱入してきた乃亜に思いっきり、さっきぶつけた背中を蹴られてしまった。
「もう、ボクがいないからって暴れちゃだめだよ。てっ、どうしたの、その背中?」
乃亜は俺が背中を押さえながら、うずくまっているのを見て不思議そうにしていた。
「い、いやなんでもない」
こいつ、ぶつけた所を思いっきり蹴りやがった。
俺は必死に痛みを堪えた。だって、こうしないと大変なことになってしまうんだもん。
「あ、もしかして、怪我でもした?それなら、早く保健室に行かないとだめだよ」
ほら、始まった。
「い、いや大丈夫だから」
「大丈夫じゃない。ほら、ボクが優しく治療してあげるから早く保健室に行くよ」
「おい、乃亜。よだれが垂れているぞ」
絶対こいつはこれから保健室に行って、俺にいろいろやる気だ。
「おっと、こりゃあ、失礼」
じゅると、音をたてながら乃亜はよだれを袖で拭いた。
「それじゃあ、保健室行こうね」
「嫌だあああああ!」
乃亜は両手で俺の両足首を掴み、そのまま無理やり保健室に引きずっていた。
「あはは、アッちゃんはまるで猛獣使いだな」
「笑い事じゃないでしょ」
真衣と大地やクラスメイト達は静かにその光景を見守っていた。
あ、Aのこと忘れていた。・・・・・まあ、いっか。