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林間学校だよ、全員集合 No,3

林間学校二日目

「さて、今日の予定は、午前はまず始めにくじを引いてもらいチームを作ってもらう。その後、ゲーム大会を行う。午後はそのチームでスタンプラリーを行うからな。では、一人ずつくじを引きに来てくれ。なお、護衛科の者たちはそのまま護衛対象が引いたチームに入ってくれ」

 先生の指示の下、生徒達は次々にくじを引いて行く。

「あっちゃん、どんな絵柄だった?」

 真衣がくじを引いてきて聞いてきた。

「ウサギだよ。真衣ちゃんは?」

「え~と、あ、やった。私もウサギだ」

「やった。同じチームだね」

「うん。よろしくね」

 2人して手を取り合って喜んでいた。

 ということは、必然的にスバル達と行動を共にするな。

「大地君はどうだった?」

 真衣がくじを引いてきた大地に聞いた。

「えっと、これはウサギだね」

「え、じゃあ、私達と一緒じゃん。やったね」

「うん。そうだね」

 大地も喜んだ。

 これでいつものメンバーがそろった訳か。

「おい、乃亜」

「何?レン」

「いかさましたか?」

 これは何が何でもおかしすぎる。

「まさか、レンと一緒になるならいかさまするけど。他の人達にわざわざするわけないじゃん」

 確かに乃亜は俺に関してなら何でもやるが、他に関してはまったくと言って興味をしめさない。

「今回のはみんなの運が良かっただけだよ」

「そうか。それでこれで全員なのか?」

「う~ん、あと二、三人いるはずだけど?」

「あ、あの、すみません」

「ん?」

 俺達は声をかけられたのでそちらの方を向いた。

 そこには左目に眼帯をした男子と長い髪をゴムで一つにまとめている女子がいた。

「ここってもしかして、ウサギのくじを引いた人達が集まった班ですか?」

「あ、うん。そうだけど君は?」

 大地が代表して聞いた。

「あ、申し遅れました。私は普通科の高峰桜といいます。それで、こちらが」

「・・・・・同じ普通科、礎甲」

 2人は淡々と自己紹介をしてくれた。

「君たちはウサギのくじを引いたんだね」

「はい」

「ん」

 2人して、大地達が引いたウサギの絵と同じ物を見せてきた。

「あ、本当だ。同じチームみたいだね。それじゃあ、僕達も自己紹介をしないといけないね。僕は特殊科の円堂大地。よろしく。それで、こちらが」

「護衛科一年 紅沙花蓮斗」

「同じく、一ノ瀬昴。よろしく~」

「右に同じで、真田楓太」

「ボクは嬢育科の透咲乃亜。よろしくね」

「私も嬢育科で月魅真衣よ。よろしく」

 大地を始め、みんなそれぞれ自己紹介をした。

「こちらこそよろしくお願いします」

「・・・・・よろしく」

 桜と甲はそれぞれ頭を軽く下げた。

 それから、みんなしてゲーム大会が始まるまでお喋りを始めた。

「ねえ、レン」

「ん?」

 その様子を俺と乃亜は少し離れて見ている。

「あの2人どう思う?」

「あの2人って高峰と礎のことか」

「うん」

「俺から見れば一般人にしか見えない。・・・・・あの2人から何かを感じたのか?」

「ううん、何も。ただ」

「ただ?」

「あの高峰さんを見ていると昔のボクを思い出しそう」

「そうか、なら俺は何をすればいい?お前の事だ、俺にしかできないんだろ?」

「うん。本当はレンにこんなことをやらせるのは嫌なんだけどね。お願い、あの2人に何かあったら助けて上げて」

「わかったよ。乃亜」

 俺はそういい乃亜の頭を撫でてあげた。

 さて、乃亜の頼みだしさっさと終わらせようか。

 俺はそう思いながらゲーム大会に向かった。



 ゲーム大会はいいところまで行ったが、最後の歴史ゲームでスバルが間違ってしまい二位に終わった。今は休憩でみんなで作ったご飯を食べている。その場には何故か桜と甲がいなかった。

「悪いちょっと、トイレ」

 俺はそう言ってその場から離れた。

「さて、あの2人はどこにいるかな?」

 本当はトイレに行くのは嘘で、甲と桜を探していた。

「お、いたいた」

 俺はようやく目的の人物を見つけた。

「よお、礎。ここいいか?」

 さっきみんなの所から隠して持ってきたジュースを出しながら聞いた。

「・・・・・ん」

 甲は静かにご飯を食べながら頷いた。

「どうも」

 俺は甲の前に空いている席に座った。

「ところで高峰さんは?」

「・・・・・ジュースを取りに行った」

「そうか。なあちょっと聞きたい事があるんだがいいか?」

「・・・・・何?」

「その左目ってどうしたの?あ、別に嫌なら答えなくてもいいぞ」

「・・・・・これは、子供の頃にあることが原因で怪我をした」

「それは高峰さんが原因か?」

「・・・・・お前には関係ない」

 関係無いってことは高峰さんが絡んでいるってことか。

「・・・・・先に言っとくがただの好奇心だけで俺達のことを調べていたら怪我をするぞ」

「それは警告か?」

「・・・・・ああ、そうだ」

 どうやら、本気のようだな。

 俺は甲の瞳からそう感じた。

「わかった。注意するよ」

 俺はそう言ってその場から離れた。



 そして、しばらくしたら午後の日程のスタンプラリーが始まった。

 俺達はさっきのチームで集まり、山を歩きながらスタンプラリーを楽しんでいた。

「・・・・・なあ、紅沙花。話がある」

 スタンプも結構集まってきたところで甲に話しかけられた。

「蓮斗でいい。親しい奴らはみんなしてそうやって呼ぶ」

「・・・・・なら、俺も甲でいい」

「OK。甲。それで話って何だ?」

俺と甲はみんなより少し離れて話し始める。

「・・・・・どこまで調べた?」

「何のことだ?」

「・・・・・しらばくれるな、俺と別れた後も、色々と聞きまくっていたんだろ?」

 ありゃ、ばれている。

 そう、俺はこいつと別れた後も、こいつと同じクラスの奴や中学の頃同じ中学の奴から話を聞きまわっていた。

「・・・・・一体何が目的だ?もし、桜に手を出す気ならただじゃおかないぞ?」

 甲は俺を睨みつけてきた。

 うーん、殺気を込めて睨んできているし本当の事を言った方がいいのかな?

「いや、高峰さんに手を出す気は無いよ。ただ、乃亜が心配だからどうにかしてくれって頼んできたから、俺が動いているってわけ」

「・・・・・どういう意味だ?」

「乃亜ってさ、俺のこと以外になるとあまり興味を示さないんだよね。でも、その乃亜が頼んできたから俺も動いているわけ。頼んでこなければ俺も動かないよ」

「・・・・・そうか、悪い。なんだか、勘違いをしていたみたいだ」

 甲の瞳から殺気がなくなった。

「いや、こっちも悪いからお互い様だ」

「・・・・・不思議だ。お前ならこの左目について話しても良い気がする」

「いいのか?」

「・・・・・ああ、お前ならいい」

「わかった。じゃあ、話してくれ」

 これで、原因がわかればいいんが。

「・・・・・この左目は桜を庇って見えなくなったんだ」

「庇った?」

「・・・・・ああ、ガキの頃の話だ。俺と桜が桜の家で遊んでいる時にたまたま泥棒が入ってきたんだ。泥棒は俺達に気が付くと、人質にしよう襲って来やがったんだ。俺はその時、桜を庇おうと必死だった。殴られても蹴られても必死に桜を守ろうとした。そしたら、泥棒がイラつき初めて、俺を窓に叩きつけたんだよ。そしたら、その時、窓ガラスが割れてその破片が左目に刺さたんだよ。そのおかげでこの左目は失明しちゃったわけ。それからというものあいつは俺の左目の代わりになるって言って、俺の側にいるんだ」

「つまり、簡潔に言うと、高峰さんは自分のせいでお前が傷ついたと思い、責任を感じているんだな」

「・・・・・まあ、そうなるな。俺は何回もお前は悪くないと言っているんだが。あいつは自分が悪いんだと言って聞かないんだ」

 本当に昔の乃亜に似てるな。

 俺が好きでやっているのに、自分が悪いんだときかない所が。つまり、頑固者だな。

「・・・・・なあ、お前はこのままでいいと思うか?」

「何が?」

「・・・・・本当の所、俺はあいつを縛り付けている感じがしているんだ。俺の世話があるとかであいつは友達との遊びを断るし、やりたいこともある筈なのに俺に付きっきりなんだ。俺はあいつには好きなことをやってほしいんだ。やりたい事をやり、自分の人生を楽しんでほしんだ」

「その話を高峰さんには?」

「・・・・・した。そしたら、これが私のやりたいことです」

「ん~、なら俺から言えるのは一つだけだな」

「・・・・・なんだ?」

「高峰さんはやりたいようにやっているんだから、それでいいじゃない。お前がそんなに気を使わなくてもいいと思うよ」

「・・・・・なんだか、お前を見ていると考えるのも馬鹿らしくなってきた」

「そうそう、それで良いんだって、高峰さんがそれをやりたいって言っているんだからやらせればいいんだって。それで、飽きたら勝手に離れて行くんだから」

「・・・・・だな」

 甲は俺の話を聞いてどこか荷の肩が降りたみたいだ。

「レ~ン」

「甲ちゃ~ん」

 そしたら、前で乃亜と桜が俺達を呼んで来た。

「2人が呼んでいるから行くぞ」

「・・・・・だな」

 俺と甲は走り出した。


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