林間学校だよ、全員集合 No,1
感想などお待ちしております
「はあ、面倒だな」
「なんで、すごく楽しみじゃん」
「そうだよ。みんなで泊まりなんてめったにないよ」
「違うんだって、こいつは男子どもにこの期間中に殺意の目を向けられるのが嫌なんだって」
俺達は今日、六月の行事、林間学校に行く途中で、今はバスの中でいつものメンバーで話をしている。ちなみにさっきの会話の順番は俺、乃亜、大地、真衣の順番である。
「いや、それもあるけど。俺達の護衛科の場合、実習も兼ねてだから面倒なんだよ」
「でも、それってまたパートナーカードを貰った人を護衛すればいいんでしょ?」
大地はお菓子を口に含みながら聞いてくる。
「だから、ボクを護衛すればいいんだよ」
乃亜はそう言って俺に抱きついてきた。
勘弁してくれ。
「ねえ、思ったんだけど?その実習って四六時中、護衛していなければいけないの?」
真衣が不思議そうに聞いてきた。
「主にそうなるな。乃亜が行く場所には俺も付いて行かないといけないからな」
「寝る時も?」
「それは「寝る時もだよ」乃亜、勝手に決めないでくれ」
俺がわからないと言おうとした時に乃亜が勝手に話した。
「えー、だってレンはボクの護衛なんだら、ご主人様の命令は絶対だよ」
「こうゆう時だけご主人ぶるな」
ほら、それを聞いたクラスの奴(大半は男児)が俺を睨んできているよ。
まあ、俺が睨み返した瞬間、すぐに視線を逸らしたがな。
「ねえ、レン君。今日、出発する時、護衛科の先生からなんか紙を貰っていたみたいだけど、何が書いてたの?」
「ああ、これか」
実はまだ内容を見ていない。
「まさかラブレター?」
「なんでだよ」
俺は乃亜にツッコミを入れながら紙を開いた。紙にはこう書かれていた。
『任務書 紅沙花蓮斗。
今回の林間学校の任務はパートナーの命令を絶対に聞くこと。もし任務を放棄する場合、留年をするかもしれない』
俺はすぐに紙を握り潰し、乃亜を見た。
乃亜はものすごく微笑んでいる。
「おい、乃亜」
「何?」
「図ったろ?」
「なんのこと?」
うわ~、こいつの頬笑みが憎たらしい。
俺は少々ムカついたので、乃亜の両頬を引っ張った。
・・・・・やっぱりこいつの頬は柔らかいな。
「う~、レンもっと強く引っ張って」
乃亜が何か変なことに目覚めそうだったのでので引っ張るのを止めた。
「もう、冗談なのに」
乃亜は俺が引っ張っるのをやめてふてくされた。
「俺には冗談に聞こえないんだが」
「あははは」
乃亜は笑ってごまかした。
「まあ、とにかくこの林間学校中ではボクの命令は絶対なんだから逃げないでね」
「へいへい」
俺は今すぐに自宅に帰りたいと思ってしまった。
「なんだか、面白いことになりそうだね。大地君」
「そうだね。真衣さん」
大地と真衣はまるで他人事のように楽しんでいた。
くそ、後で大地も巻き込んでやる。
俺はバスに揺れながらそんなことを思っていた。
「それでは今日の予定は山を歩いて一周してきてもらう。クラス問わずいろんな人と交流をするように。その後、班を作って夕食の準備をしてもらうからな。後、はめを外しすぎないように。それでは解散」
先生の話が終わると周りにいる生徒達が仲良い友達とかとチームを組んで出発し始めた。
そうゆう、俺達はというと。
「透咲さん。俺達と一緒に行きませんか?」
「いやだ。ボクはレンと2人っきりでいたいの」
「円堂君。私達と一緒に行きませんか?」
「なんだか、襲われそうな気がするのでお断りします」
「真衣さん。俺と一緒に将来のことを話しながら山を歩きましょう」
「20点。出直してきなさい」
「はあ~、いつになったら出発できるんだ?」
俺はため息をついた。
何故なら、俺以外のメンバーが別のクラスの生徒達に囲まれていた為、出発することはできなかった。
ちなみに、俺は護衛科の実習がある為、誰からも誘われない。
「あ、やっと見つけた」
「よ、蓮斗」
そしたら、スバルと楓太がやってきた。
「あれ?お前ら実習は?」
「今回、あたしの護衛対象を真衣にお願いしたんだ」
あ、だから、俺の所にやってきたのか。
「俺の場合は、頼んだ奴が風邪をひいてしまって休み。そのことを先生に言ったら、スバルのサポートでもやていろだって」
「へー、そうなんだ」
先生、適切な判断だな。
「しかし、何?この人ごみ?」
スバルは辺りを見回した。
「先生が親睦を深めろって言ったろ。だから、他のクラスの奴らが乃亜達を誘いに来たんだ」
「でも、そろそろ出発しないと夕食を作るのが遅くなっちゃうよ」
そりゃあ、そうか。
「じゃあ、そろそろ行くか。おい、乃亜、真衣、大地。行くぞ」
「うん」
「わかった」
「はーい」
俺の掛け声の元、三人は他の生徒達を無視して俺の所に集まってきた。
「スバルに楓太。護衛よろしくね」
「任されました」
「へーい」
真衣は2人に挨拶し、2人供それに答えてあげる。
「レン。命令は絶対だからね」
「わかっているよそれぐらい。大地。この山の地図は?」
「はい。これだよ。僕が見た感じ歩いて一時間の道のりかな?」
俺も乃亜に返事をしつつ、大地と地図を見ながらコースの確認をしていた。
さって、コースも確認したしそろそろ行くかな。
「おい、ちょっと待て」
そしたら、さっきまで乃亜達を誘ってきていた生徒達が俺達に声をかけてきた。
「ん、何?」
無視すれば良いものの、スバルは返事を返した。
「今回の林間学校の目的は他クラスとの交流なのだよ。だから、私たちも一緒に行動してもかまわないよな?」
なんだか、ナルシストぽい生徒が代表して話してきた。
「そうですわ、私たちも大地君と行動をしたいですわ」
「そうだ。そうだ」
他の生徒も続けて言ってくる。
「だってよ乃亜どうする?」
「・・・・・君達、ボクとレンの2人っきりになるのを邪魔するき?」
何故だろう、乃亜は微笑んでいるはずなのにすごく怖い。
「ひっ」
それを見た生徒達も恐怖を感じたようだ。
「で、でも、それを言うならそちらの円堂達とかはどうなんだ?思いっきり透咲さん達のふたりっきりの邪魔をしているだろう?」
ごもっともな意見だな。ナルシスト。
「真衣ちゃん達はいいんだよ」
「何故だい?」
「真衣ちゃんは親友だし。大地君達はレンが認めている人達だからボクも認めてあげないとね。それに、ボクとレンが2人っきりになりたい時は空気を読んで先に行ってくれるし」
俺的には空気を読んでほしくないな。
「つまり、紅沙花君が私達を認めてくれたらいいんだね?」
ん?なんか面倒なことが起きそうだな。
「まあ、そうなるね」
「よし、ならこうしよう。私が紅沙花君戦って勝ったら私たちのことを認めて貰おう」
「いいよ」
乃亜は簡単に了承した。
「おい、勝手に了承するな」
「レン君。ガンバ」
「ドンマイ」
大地と楓太が俺の肩に手を置いた。
「まあ、いいじゃない。そろそろ私たちも行きたいし。そっちの方が手っ取り早いでしょ」
真衣は確実に面白がっていた。
「なんだい。怖いのかい?」
ナルシストは俺を挑発してくる。
「わかったよ。やればいいんだろ」
俺はもう諦めてナルシストの前に出た。
面倒だし、あれでもやるかな?
「そう、それでいい。そんじゃ、行くぞ!」
そう言ってナルシストは殴りかかってきた。
「あっ?」
俺はナルシストを睨みつけた。
「ヒイイイイイイイ」
俺と目を合わせた瞬間、ナルシストは恐怖のあまりに後ずさりし、尻もちをついた。
他にも、ただそれを見ただけなのに気絶する者、恐怖のあまり後ずさりする者がいた。
「もう、俺達に絡んでくんなよ」
俺がそのまま睨みつけながらナルシストに言うと、ナルシストは早く上下に頷いた。
「よし、じゃあ行くか」
俺は乃亜達に行って歩きだした。
「あ、待ってよ」
乃亜はそう言って俺を追い掛けてきて腕にしがみついた。
「やれやれ、これじゃあ弱いものいじめだよね」
「大地君。私たちも行こうよ」
真衣は大地の手を掴んで歩きだした。
「え、あ、うん」
大地は少し照れながら歩き出す。
「なんだか初々しいね」
「そんなことより、俺達も早く追わないと。護衛対象を見失うよ」
「あ、そうだね。待ってよ。真衣」
スバルは真衣を追い掛けた。
「はあー、俺がしっかりしないと駄目だよな」
楓太はどこか諦めた状態でその後ろを追い掛けた。