気に入った奴しかつるまない
「おい、聞いたか?」
「え?何を?」
「一年の透咲の周りにいる奴ら」
「ああ、知ってる。なんでも、どんどん勢力を伸ばしてきている奴らだろ」
「そうだよ。まず一年護衛科の紅沙花、真田、一ノ瀬の最強トリオ。それに二年の五十嵐」
「何故か特殊科の円堂もいるね」
「そん中に月魅様に理事長の孫の天川様もいるみたいですわよ」
「不思議だ。何故、透咲様の周りにはそんな人達がいるんでしょう?」
「なあ、大地。聞きたいことがある」
「何?レン君」
俺と大地は体育の時間に話していた。今、体育はサッカーをやっていて、俺と大地は相手が攻めてくるのを待ちながら話しをしている。ちなみに俺がディフェンスで大地がキーパー。
「なんだかこの頃、周りからとてつもなく視線を感じるのは気のせいか?」
「気のせいじゃないよ。今、僕たちはこの学園の噂の的になっているからね」
「ん、それはどういう噂だ?」
「単になんで乃亜さんの周りには僕やレン君。スバルさん、楓太君、真衣さんが集まっていることだよ」
「それがなんで噂になるんだ?」
別にただ仲良い人達が集まっているだけだと思うんだが。
「そのメンバーがすごすぎるんだよ」
ん?メンバーがすごすぎる?
「悪いがもう少し簡単に説明してくれ」
「えっとね。つまり、まず乃亜さんの周りにレン君、スバルさん、楓太君がいるでしょ」
「ああ」
「知らないと思うけど。レン君達って一年の護衛科の中でベスト5に入っているんだよ。全員が」
「え?俺達ってそんなに評価されていたの?」
今、初めて聞いたよ。
「因みに、レン君が一位だかね」
「な、何故?」
いつも、不真面目に練習しているのに。
「そんなの知らないよ。とりあえず、そのベスト5に入ってる三人が乃亜さんの周りにいることが注目されているの。それで、次に特殊科に所属している僕だ」
「うん」
「僕は別にそれほどすごくは無いんだけど、みんなして僕の能力に注目しているみたい」
それと、お前の容姿だと思うがな。
「それで、最後に真衣さんだね」
「ちょっと待て、真衣は乃亜の親友だからという理由で騒がれているんじゃないのか?」
「まあ、それもあるけど。真衣さんっていろんな人達に人気あるでしょ。それで、友達はたくさんいるはずなのに後から来た乃亜さんになんでくっついているのがみんな不思議がっているんだって」
「なるほど。よくわかった」
つまり、俺達のメンバー一人一人が目立つんだな。
「まあ、みんなして根本を間違えているんだけどね」
「根本を間違っている?」
「そう乃亜さんの周りにみんなが集まるんじゃなくて、レン君、君の周りにみんなが集まってくるんだよ」
「あ~、そう言われるとそうかもな」
俺は自分が気に入った奴としかつるまないことにしている。
「乃亜は幼稚園からだな。スバルと楓太は出会った時に仲良くなったし、大地は小学校からだし、真衣は中学の頃だっけ、仲良くなったのは?」
「そう、僕が、真衣さんが絡まれているところを見つけて、僕が真衣さんを庇って殴られている所にレン君がやってきてくれたんだよ」
「そういえばそんなこともあったな」
今にして思えば懐かしい。
「あ、そうそう、この噂ついでに悪いニュースがあるけど聞きたい?」
「聞きたくないと答えたいが。どうせ、俺ら関係だろ。言ってみろ」
「このメンバーの仲間に入りたい奴らがいっぱいいるから気を付けた方がいいよ」
「何のために俺らの仲間に入りたいんだ?」
「それはもちろん、僕らを利用したいからじゃないの?それか、乃亜さんや真衣さんと仲良くなりたいのか?はたまた、僕たちの名前をだして、周りの人達をビビらせたいのか。とにかく気を付けた方がいい」
「了解。わかった。とにかく、その話は乃亜達にもしとこう」
「うん。そうだね。何が起こるかわからないしね」
俺と大地はお互いの顔を見ながら頷き合った。
「蓮斗!そっちにボールがいったぞ!」
そしたら、チームになったクラスメイトが俺に向かって叫んできた。
あ~、そういえば体育の時間だったな。
俺がそう思いながら前を見るとサッカーボールが大地めがけて飛んできていた。
「レン君。任せた」
「あいよっと!」
俺は大地に任された為、そのサッカーボールを相手のゴールに向けて蹴り返した。
ボールは勢いを付けて、そのまま相手のゴールキーパーごとネットの中に入っていった。
・・・・・う~ん、力加減を間違えたな。
俺はそれを見ながらそんなことを思っていた。