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ピッキングって犯罪じゃないのかな?

「ただいま」

 俺は体に疲労を感じながら、家に戻ることができた。

 よく、俺、生きて帰ってこれたな。

 あの後、俺はすぐに乃亜の家から脱出をした。脱出をするさい、メイドや執事の軍団に追いかけられたり、侵入者用の罠だろうか、いたるところから矢が飛んできたり、床から槍が出てきたり、挙句の果てに落とし穴(そこが見えませんでした)に落ちそうになりました。

 おかげで、新品の制服はいたるところが擦り切れボロボロになっていた。

 あとで、乃亜に請求しないとな。・・・・・いや、止めとこう。あいつの場合、何をしでかすかわからない。

 俺がそんなことを思いながら玄関を開けると大きい物体が叫びながら飛んでくる。

「おかえりなさーい!!!!」

 俺はそれをいとも簡単に避け、その物体が外に出たことを確認するとさっさと中に入り、ドアに鍵を掛けた。

 中三にもなったんだからいい加減、学習しろよ。我が妹よ。

「え~ん、お兄ちゃん。開けてよ~」

 そういえば婚約者について親父に電話しないとな。

 ドンドンとドアを叩く音が聞こえてくるが、俺は無視してさっさとリビングに入って行く。

「お帰りなさい。あなた」

 リビングに入ると何故かエプロン姿の乃亜が料理を運んでいた。

 俺はその瞬間、固まってしまった。

「もう、ひどいじゃん。ボクを置いて行くんなんて。これから一緒に住むんだから置いて行かないでよ」

 乃亜は少し怒り気味に言ってくる。

「まあ、いいや。そんなことより、ご飯にする?お風呂にする?それとも、ボク?」

 お決まりのセリフを乃亜は言ってきたので、俺はとりあえず乃亜の首根っこを掴み、玄関に連れて行き、鍵をすべて開け、外に出した。

「あ、ちょっ」

「お兄ちゃん、待っ」

 そして、乃亜と妹が何かを言う前に玄関を閉めてまた鍵を閉めた。

「う~ん。今日は疲れているんだな。今日はさっさと風呂に入って寝るかな」

 そんなことを思っていると外の方から声がする。

「お姉ちゃん。何をやってるの?」

「しっ、少し黙ってて。ここをこうして、これを回すと」

 いかにも怪しそうな会話が聞こえてきた瞬間、いきなりガチャという玄関の鍵が開く音が聞こえてきた。

「あ、開いた。お姉ちゃんすごい」

「ふふーん。ボクにかかればこんなの朝飯前だよ」

 という、会話が聞こえてきながら段々とドアが開いてきた。

 俺にはそれが地獄へのカウントダウンにしか聞こえない。

「それで、お姉ちゃん。私達に意地悪をしたお兄ちゃんをどうしよっか?」

「そうだね。とりあえず、一晩だけ僕に預けてくれない?レンを僕達に逆らえなくしてあげるよ」

 それはもはや死刑宣告を意味するぞ。つか、二人の目がヤバイ。あれはもはや飢えた獣の目だ。隙を作ればすぐに食べられてしまう。

「それで、お兄ちゃんは私達に何か言うことはある?」

「今、言えば許してあげてもいいよ」

 二人して笑っているが、どんどん俺に詰め寄ってくる。俺はそれに対して距離をひらき。

「そんなの逃げるに決まっているだろ!」

 そして、俺は自分の部屋に逃げだした。

「コラッ、お兄ちゃん。逃げんなっ!」

「レン。しっかり教育してあげる!」

 後ろからは、予想通り二人が追ってきた。

 この二人から逃げられるかな?



「それで、なんで乃亜がいるんだ?」

 俺は結局、自分の部屋に逃げて鍵を閉めたものの、乃亜のピッキング技術により開けられ捕まってしまった。

「あれ、聞いてない?ボク、今日からこの家に住むんだよ」

 乃亜は俺に覆いかぶさり、両手を取り押さえながら言ってくる。

 別にもう逃げないから離してくれないかな?つか、その小さい体のどこにそんな力が隠れているんだ?

「あ、それはね。お父さんがお兄ちゃんには内緒にしとけだって」

 妹のあきらが下半身を押さえながら説明してくれた。

 玲。兄のズボンのベルトを取りながら何をする気だ?

「ちなみに、なんで?」

 俺は顔をあげながら玲を見た。

「黙っておいた方が知った時のお兄ちゃんの反応が面白いからって」

 あのクソ親父いいいいいいい!!!!!

「ちなみに、私はお姉ちゃんが婚約者ということも知っているから」

 もしかして、知らなかったの、俺だけ?

「それと、お兄ちゃん以外はお姉ちゃんがここに住むことは賛成しているから」

「お前もか?」

「うん。ちなみに、お父さん、お母さん、お姉ちゃんの両親もだから」

 うわ、俺の味方誰もいない。

「大丈夫だよ。レン」

 乃亜が俺を見下ろしながら言ってくる。

 やばい、嫌な予感しかしない。

「レンはボクにすべてを委ねておけばいいんだよ」

 やっぱりね。

「でも、その前に罰を受けてもらいましょ」

 玲がとんでもないことを言いだしてきた。しかも、俺から取り外したベルトで両方の足首を固定した。

「そうだね。それじゃあ、レン。覚悟してね」

 乃亜もそれに賛同して、不敵な笑みをしていた。

「嫌だああああああ!!!!!」

 俺は叫んだ。暴れようともしたが、二人の力によって押さえられてしまった。

「レン、逃がさないよ」

「お兄ちゃん、覚悟」

「止めててててて!!!」

 その晩、俺は乃亜と玲の手によって眠れない夜を過ごしてしまった。


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