親友はどう考える?
「ねえ、大地君はこの話を聞いてどう思った?」
放課後、僕は真衣さんと帰っている途中に、午後にあったことを聞かされた。
たぶん、僕がレン君と乃亜さんの幼馴染という理由もあるのだろう。
「う~ん、別にどうとも思わないよ」
僕は正直に話した。
「なんで幼馴染なのにそんなことが言えるの?アッちゃんが死んじゃうかも知れないのに」
真衣はショックを隠せないようだ。
言葉を間違えたかな?
「乃亜さんが死んじゃうのはレン君がいなくなったらの話でしょ。大丈夫。レン君は絶対、乃亜さんの側から離れないから」
「アッちゃんも言っていたけど、なんでそんなに自信を持って蓮斗がアッちゃんから離れないって言えるの?」
「だって、レン君が離れて乃亜さんが自ら命を絶つってことはレン君自身が一番わかっていることだもん」
「えっ、そうなの?」
「うん。そして、レン君は絶対にそうさせないと心に誓っている。だから、乃亜さんから絶対に何があっても離れない」
まあ、GWの件の時は奇跡的にああなったけど、下手すると今頃、レン君も乃亜さんもいなくなっていたんだろうな。
「これで、わかった?自信を持っている理由」
「うん。なんとなくだけどわかったわ」
「そう、なら良かった」
僕は微笑んだ。そしたら、真衣さんの顔が少しだけ赤くなった。
・・・・・やっぱり、真衣さんってかわいいな。
「ん?どうしたの顔が赤いよ」
どうやら、それを見て僕も顔を赤くしていたようだ。
「い、いや、なんでもない」
「まさか、私に見惚れていた?」
「え?それはその」
僕は必死に弁解の言葉を考えようとした。
「あなたが円堂大地ですか?」
そしたら、黒髪の女子生徒が別の高校の男子生徒を連れて僕たちの前に現れた。
あの男子達の制服って確か隣町の不良達の高校だよね。
「はい。そうですけど、あなたは確か」
「失礼。私は来栖真利谷といいます。以後お見知り置きよ」
やっぱり、さっき真衣さんの話に出てきた人物か。
「これはご丁寧にどうも。それで、来栖さんは僕に何の用かな?」
僕は真衣さんを後ろに庇いながら真利谷を見た。
「ええ、円堂大地。私に協力しなさい」
「協力?」
「ええ、あなたは確か紅沙花蓮斗の幼馴染でしたよね?だから、私の護衛になるように紅沙花蓮斗を説得してくださりませんか?」
「あなた、まだそんなことを言っているの?」
真衣が驚きを隠せないようだ。
「あら、あなたは透咲乃亜と一緒にいた人ですわね。テラスはどうも。しかし、あなたも大変ですわよね。あのツインテールと友達なんて。ついでにあなた達もどうです?あんなツインテールとの友達なんて止めて私の友達になると言うのは?」
「あなたみたいな自分主義とはお断りよ」
真衣はそう叫びながら真利谷を睨みつけた。
「そう、残念ですわ。で、話がずれましたけど円堂大地。紅沙花蓮斗を交渉してくれますか?交渉してくれたあかつきにはあなたも私の友人にしてさしあげますわよ」
「すいませんけど。お断りします」
「それは何故?」
「僕は友達を裏切りたくないからです。それに、あなたみたいな人をレン君の護衛対象にしたくありません」
「わかりました。残念ですわ、私もこうゆうことはしたくなかったんですけどね」
真利谷は指を鳴らした。
そしたら、それを待っていたかの用に後ろにいた不良共がぞろぞろと真利谷の前に出てきた。
「えへへ、待っていました。約束通り、この可愛い子と美人の子を好きにして良いんですよね」
不良のリーダーらしき人がにやけながら真利谷に聞いた。
「ええ、いいですわ。そうゆう約束でしたし。後でお金も払いますわよ」
「それじゃあ、遠慮なくやらせてもらいますか」
それを合図に不良達はどんどんとにじり寄ってくる。
人数は全部で十人。僕一人なら逃げれる自信はあるけど、真衣さんを守らないといけないし、これって絶対絶命かもな。
「俺、可愛い子がいいな」
「俺は美人だ」
「俺も美人だな」
「じゃあ、俺は可愛い子にする」
つかさ、さっきから可愛いってさ、それって僕のことか?
「ちょっと聞くけど可愛い子って僕のこと?」
「当たり前じゃん何を言っているんだ?」
「つか、ボクっ子いいんですけど」
「やべ、興奮してきた」
「先に言っとくけど、僕はこう見えて男だ!」
僕がそれを言った瞬間、ほとんどの不良達がショックを受けた。
「嘘だろ!あんなに可愛いのに」
「俺様ショッーク!!」
「弱味握って俺の彼女にしようとしたのに」
おいおい、本当にショックを受けているよ。つか、名前で気づいてよ。
「くそ、本当にそうなのか確かめてやる」
リーダーは僕の腕をいきな掴んだ。
「離せっ!」
「ぐっ」
僕が腕を解こうとしたら偶然、僕が持っていた鞄がリーダーの顔に当たった。
「何すんだテメエエエエエエ!!!」
そしたら、リーダーの逆鱗に触れたみたいで、いきなり僕に向かって殴りかかってきた。
「っ!」
僕は殴られると思い思わず目を瞑ってしまった。
「・・・・・」
しかし、一向に殴られる衝撃が来なかった。
なんでだ?
僕は不思議に思い、目を開けるとそこには。
「よう、大地」
「レン君!」
リーダーの拳を手の平で受け止めていた紅沙花蓮斗が立っていた。
「なんでここにいるの?」
レン君の家って確か、僕の家と逆の方向じゃなかったけ?
「その話は後、とりあえずまずこいつらを、潰す」
「ぎゃあああああ」
蓮斗はそう言って、リーダーの拳を握り潰した。
「おらああああ、かかってこいや」
そして、リーダーをそのまま不良どもに投げ飛ばし、蓮斗も不良達に襲いかかった。
五分後
「あー、ストレス溜まってたからすっきりした」
俺は笑顔で動かした体をほぐした。俺の足元にはさっき大地に襲いかかって奴らがボロボロの状態で全員倒れている。
「レン君、相変わらず強いね」
「当たり前だ。強くなければ護衛なんてできねえよ」
「で、なんでこんな所にいるの?」
大地は不思議そうに聞いてきた。
「あ、そうそう、乃亜が大地に用事があるって」
「え?それじゃあ、メールで伝えてくれればいいのに」
「俺もそう言ったんだけどさ。なんだが、直接話したいんだと」
しかも、俺が断ったら今日の夜楽しみにしていてねと脅してくるし、困ったものだよ。
「ふ~ん、わかった。じゃあ、今から行くよ」
「悪いね。2人っきりの下校だったのに」
俺がからかいながら言うと、2人して顔を赤くした。
こいつらをからかうのは面白いな。
「お待ちなさい。あなた達私をお忘れではなくて?」
そしたら、俺達の行くてを女子生徒が防いだ。
「誰こいつ?」
「来栖真利谷さん。レン君を護衛にしたいから交渉してくれと僕に頼んできたお嬢様」
へ~、俺を護衛にね~。
「わざわざ説明ありがとう。円堂大地。それで紅沙花蓮斗、単刀直入でいいます。私の護衛になりなさい」
真利谷は堂々と言ってきた。
「ごめんなさい。さあ、大地に真衣、とっとと行こうぜ」
俺はすぐに断り大地と真衣と一緒に歩き出そうとした。
「ちょっとお待ちなさい」
「待たない」
俺は真利谷を無視して歩き出した。
「覚えてらっしゃい!」
後ろから声が聞こえてきたが気にしないことにしよう。
「蓮斗。あんな断り方していいの?」
「いいんだ。俺はあんな目的の為なら手段を選ばないやつは大っ嫌いなんだ。それに」
「それに?」
「俺は乃亜の護衛しかやる気は無い」
「レン君。それを乃亜さんの前で言ってあげた方がいいよ」
「うん。私もそう思う」
「うるせえ」
俺は自分でも恥ずかしいセリフを言ったと感じた。