昼休みの一時
月は六月になった。
つか、まだ六月なんだ。
俺は相変わらず昼休み乃亜が誰かに呼び出しを受けていいことに屋上で昼寝を勤しんでいた。
え?乃亜の護衛をしなくていいのかって?それは大丈夫。ミコトをマスコットに変身させて乃亜に渡しているから。何か乃亜に危険なことが合った場合には、ミコトに容赦なくぶちのめせと許可を出している。
「あ、蓮斗。助けて!」
そしたら、いきなり楓太が現れて俺に助けを求めてきた。
「やだ」
俺はすんなり断った。
「なんでだよ?ミコトを助けるのに協力してやっただろ」
「その借りは、スバルにまた勝手に旅に出かけた時のことを一緒に謝るということで、もう返しただろう」
それに俺は昼寝に忙しい。
「じゃあ、なんでもするから助けて」
なんでもするならこのまま眠らせてください。
「はあ~、わかったよ。だから早く隠れろ」
俺は起き上がり面倒くさそうに言った。
「ありがとう。恩に着る」
楓太はさっさと物陰に隠れた。
「あ、蓮斗!フーちゃん見なかった?」
そしたら、今度はスバルがやってきて楓太のことを聞いてきた。
「いや、見てない」
本当はそこの物陰に隠れているけどな。
「そう、わかった。見つけたら、あたしの所に連れて来て」
「わかった」
「あの野郎。どこに行きやがった」
スバルはそう言ってどこかに行ってしまった。
女の子なんだからスカートで走らないでほしいな。
「おい、行ったぞ」
「ありがとう。助かった」
楓太は物陰から出て来てお礼を言ってくる。
「それで、今度は何をしたんだ?」
楓太とスバルの追いかっけこは今日だけではなくほぼ毎日している。理由はほぼ楓太が何かをやらかす。
「ああ、実はな」
「レン君。助けて!」
楓太は訳を話そうとしたら今度は大地がやってきた。
「どうした?」
「とにかく、真衣さんが来たら僕は来てないことにして」
そう言って、大地も物陰に隠れた。
一体なんなんだ?
「あ、蓮斗。大地君知らない?」
そしたら、真衣が現れ、俺に大地がどこに行ったか聞いてきた。
「いや、知らない」
とりあえず、俺は知らないふりをした。
「そう、見かけたら私の所に連れて来て」
「はいよ」
「もう、せっかくがんばって作ってきたのに無駄になるじゃない」
真衣はそう言ってその場から立ち去った。
「真衣さんは行った?」
物陰から声が聞こえてくる。
「行ったよ」
俺が答えると大地は物陰から出てきた。
「助かった」
「んで、お前ら今日は一体どうしたんだ?」
俺は面倒事に巻き込まれたなと感じた。
「まずは大地から答えろ」
「真衣さんに女性物の服を着させられるところだった」
「それは、ご愁傷様」
大地は女顔だからきっと似合うな。
「楓太は?」
「スーちゃんが作った弁当を喰わされるところだった」
「喰ってやれよ」
「はあ、お前知らないのか?あいつの料理は核兵器なんだぞ」
「わかった。後で告げ口しておいてやるよ」
「やめて、それだけは」
「レン。見っけ」
楓太が土下座をしながら頼みこんでいると、乃亜が嬉しそうに近づいてくる。
「あれ?楓太と大地、ここにいたんだ。真衣ちゃんとスバルちゃんが2人を探していたよ」
そしたら、楓太と大地に気がつき、携帯を取り出しどこかに連絡した。
たぶん、スバルと真衣にだろう。
「今、真衣ちゃんとスバルちゃんがここに来るってさ」
やっぱりな。
「大地」
「楓太君」
その瞬間、2人は顔を見合わせ。
「「逃げよう!」」
その場から立ち去ってしまった。
「あ、大地君。続きをしようよ」
「フーちゃん。あたしから逃げられると思うな!」
「「嫌だあああああ!」」
そうして、遠くの方から楓太と大地の叫び声が聞こえてきた。
「ボク、何か悪いことしちゃった?」
「お前は気にしなくてもいいよ」
さて、これで昼寝が出来るぞ。
俺はベンチに寝転がる。
「レン、お昼寝するの?」
「ああ、あの2人のせいで出来なかったからな」
「じゃあ、ボクもする」
乃亜は俺の上に乗ってきて、俺の胸付近に自分の頭を置いた。
「むふふ、レンの鼓動が聞こえるよ」
乃亜は目をつぶりながら言ってくる。
「いいから寝ろ」
「は~い」
俺はあまり気にしないで眠りについた。
平和な昼の出来事だった。
「「誰か助けてえええええ!」」
・・・・・遠くから叫び声が聞こえたけど気にしない事にしよう。