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契約

「ぐっ!」

 背中に衝撃が走る。

 これで、何回目だろうか?

 俺はミコトの突進を喰らい壁に吹っ飛ばされた。

「ミコト、いい加減に目を覚ませ」

「ガアアアアアア」

 俺が何度もミコトを説得しようとしたが。

 ミコトは俺に襲いかかり、俺は反撃をできずにただ受けることしかできなかった。

「あははは、どうだい。その化け物の威力は?」

 また、田村の声が聞こえてくる。

「ミコトは化け物じゃない!」

 俺は体のあちこちから血を流し叫んだ。

「ふん、つまらない返事だ。おい、そろそろ時間だ。止めを刺してやれ」

「ガアアアアア!」

 ミコトの目の前に魔力の塊が集まって、一気に俺に向かって放たれた。

 俺は瞬時にやばいと思ったが、ダメージを受け過ぎて反応が遅れ、喰らってしまった。

「ウワアアアアアアアア!」

 そして、そのまま倒れてしまう。

「ははは、さすがだな。他の道具の中で一番強い」

 また、田村の声が聞こえてくる。

 つか、道具だと?

「ふざけんな!」

 俺はゆっくり立ち上がった。

「おや?まだくたばってないか、ほら化け物、元お前のご主人様に止めをさしてやれ」

「ガアアアアア!」

 ミコトからまた魔力の塊が放たれた。

 俺は避けることもしないでそれをただ受けた。

 でも、今度は倒れることはしなかった。

「ほお、まだ立っているか」

「うるせえ、弱虫」

「なっ、私が弱虫だと?」

「ああ、そうだ。こうゆう動物達を使って自分は高みの見物しているんだから弱虫だろ」

「うるさい」

「何がうるさいだ。自分では戦わない弱虫が!」

「うるさい。おい、化け物そいつの喉を噛みきれ!」

「ガアアアアア!」

 ミコトは田村の指示通りに俺に噛みついてこようとした。

 しかし、それは出来なかった。何故なら。

「この馬鹿犬が!」

「キャウン!」

 俺が思いっきりミコトを蹴り飛ばしたからである。

「な、いいのか!そいつはお前の家族だぞ!」

 この行動には田村も驚いたらしい。

「どうでもいい」

「なっ!」

「こいつが、俺を倒してどっかの国の武器になり人を殺していくなら。今、ここで俺がこいつの命を絶つまでだ!」

 俺は拳を構えた。

 乃亜が悲しむけどしかたがない。そうしないと、こいつは戦争の道具にされてしまい、他の奴らを無差別に殺してしまうから。それだけは絶対にさせたくない。俺の家族を人殺しにしたくない。つか、俺が我慢の限界だ。

「ガアアアアア!」

 ミコトは俺の殺意に気が付いたのか、全力で襲いかかってきた。

「遅い!」

 しかし、手でそれを止められ、そのまま地面に叩きつけられた。

「お前もお前だ。いい加減に目を覚ませ!そうじゃないと、殺すぞ?」

「ガ、ガアアアア!」

 ミコトは俺にビビったのか距離を置き、また魔力の塊を放ってきた。

「何度も喰らうわけないだろ!」

 俺はその魔力の塊をミコトに蹴り返した。

「クウウウウウウッ!」

 ミコトは吹っ飛び壁に叩きつけられる。

「おい、まだ終わった訳じゃないよな」

 俺はゆっくりとミコトに近づいていく。

「ガ、ガアアアアア!!」

『う、うわあああああああ』

 その時、また空耳が聞こえた。

 だから、なんなんだよ。この声は?

『止めろ!止めろ!自分は失敗作じゃない!』

 まさか、ミコトか?この声はミコトなのか?だったら、今までの声の理由もわかる。一番初めに聞こえてきた時も、ミコトが玄関に倒れていたし。お礼の時もミコトがいた。それだったら、ドラゴンが現れた時に、自分に危険を教えてくれたのも説明がつく。

「そうか、あの声はオマエだったのか」

 俺はようやく納得がした。

『自分は失敗作じゃなあああああい!!!』

 ミコトは立ち上がり魔力の塊を俺に向けて放ってきた。

 でも、俺は避けることも撃ち返す事もしないで、ただそれを正面で受け止めるだけだった。

 でも、俺は倒れずに一歩ずつ確実にミコトに近づいていき、とうとう、ミコトの顔を両手で掴んだ。

『止めろ。止めろ。自分を廃棄しようとするな』

 ミコトは逃れようと足掻いた。でも、さっきのダメージがある為か、動けずにいた。

「ミコト。しっかりしろ」

 俺はミコトに言い聞かせる。

「お前は化け物でも、失敗作でもない。俺や乃亜、玲の家族、紅沙花命だろ。だから、いい加減」

『自分は。自分は』

「正気に戻りやがれえええええ!」

 俺は思いっきりミコトに頭突きをした。

 その時、ちょうど俺の頭突きが水晶に当たった。

 その瞬間、水晶から光が放たれた。



 俺は気が付いたら、白い空間にいた。

『セットアップ。あなたのお名前をどうぞ』

 そして、目の前にはいつものミコトがいて、俺に聞いてきた。

「な、なんだ?」

 俺は訳がわからずにミコトを見た。

『あなたのお名前をどうぞ』

 ミコトは表情を変えずにまた聞いてくる。

「こ、紅沙花蓮斗」

 俺はとりあえず言われたとおりに答えた。

『自分の名前をどうぞ』

「お前の名前は決まっている。紅沙花命だ。もう、忘れるなよ」

『マスター、紅沙花蓮斗。自分の名前、紅沙花命。契約完了』

 そして、俺はその声と共にまた光に包まれた。



 気が付いたら、さっきまでミコトと戦っていた部屋にいた。しかし、俺の目の前にいた筈のミコトがいなくなっていて、その代わりに俺の両手にいつのまにかナックルが装備されていた。

「なんだこれは?」

 いつの間にこんな物を手に入れたっけ?

 俺は、ナックルをよく見ると右手の甲部分にミコトの額に付いていた水晶があった。

「まさか、ミコトか?」

『そのとおりだよ』

 俺が疑問に思った瞬間、水晶部分から声が聞こえてきた。

 俺は驚いた。なんせ、いきなり声が聞こえてくるんだもん。

『そんなに、驚かないでよ。蓮斗』

「いや、普通に驚くから。つか、お前、意識が戻ったのか?」

『そうみたい。蓮斗の声が聞こえたからかな?』

「そうか、それは良かった。つか、なんでこんな形になっているんだ?」

『自分の額に付いている水晶は別の動物達よりは特別で、魔力石の役割を行うみたいなんだ』

「へえ~、そうなんだ」

 だから、さっき契約完了とか言っていたんだな。

『それで自分が蓮斗に合っている武器を想像したらこの形になったわけ』

「もう、子犬の姿にはなれないのか?」

『わからないけどそれは蓮斗自身によると思う?』

「俺自身?」

 一体どういうことだ?

『さっきも言った通りに自分の水晶は特別で、使うたびに使用者が武器を想像しないと形にならないというわけ』

「だったら、俺が子犬の姿を思い浮かべれば。子犬の姿になれるってわけか?」

『たぶん、そうだと思うよ』

 それを聞ければとりあえず安心だな。

「わかった。とりあえず、これでミコトを取り返したな」

『蓮斗、助けに来てくれてありがとう』

「どういたしまして。さて、それじゃあ、お前はどうする?」

『どうするって?』

「このまま、家に帰るか?それとも、あの田村を一緒にぶん殴るか?」

『そんなの言わなくてもわかるでしょ?』

「確かにな。それじゃあ、行くか。相棒」

『イエス。マスター』

 蓮斗VSミコト戦 引き分け


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