子犬と張り合わないでほしい
「これは魔力生命体だね」
大地はミコトを見ながら言った。
「魔力生命体?」
俺はミコトをいじりながら大地の言葉を聞いていた。
「って、なに?」
俺が質問したら、大地がずり落ちた。
「それぐらい、知っていてもいいと思うんだけど」
大地は俺を呆れながらみてくる。
「俺は必要ないことは覚えない主義だ」
「いや威張って言うことじゃないよ」
今日の放課後、大地と真衣が俺の所に遊びに来た。それはもちろん、ミコトのことを大地に調べて貰う為。真衣はついでに来たという感じだ。そして、その真衣と乃亜は只今、夕食を調理している。
「それで、魔力生命体ってなんだ?」
「簡単に言ってしまえば、人工的に作られた魔力を持った生物だね」
なるほど、だから翼や水晶がついているのか。
「でも、不思議なんだよね。普通、魔力生命体ってきちんと管理されていて、成体まで育つまで世間には出てこない筈なんだけど」
大地は不思議そうにしていた。
「ご飯出来たよ」
そうしていると、乃亜が俺を呼びに来た。
「わかった。今、行く」
俺と大地は立ち上がりリビングに向かった。
その後ろにミコトもきちんとついてくる。
俺と乃亜は寝る為に一緒に布団の中にいた。
「魔力生命体?」
「ああ、大地がいうには人造的に作られた生物だそうだ」
俺は日中に大地に教えて貰ったことを乃亜に教えた。
「へ~、あんなに可愛いのにね」
乃亜はいつの間にか用意した籠の中を見た。籠の中にはクッションがあり、それに包まれながらミコトが眠っていた。
「そうだな」
俺は乃亜の意見に賛成しといた。
「そこは、乃亜の方が可愛いよって言ってよ」
なんでだよ。つか子犬と勝負するなよ。
「ねえ、レン。ボクにも可愛いって言ってよ」
「嫌だ」
俺はすぐに却下した。
「なんで~。言ってもいいじゃない。減るもんじゃないし」
乃亜はいじけながら俺の上に乗ってきた。
「言って」
「嫌だ」
「言って」
「嫌だ」
「言って」
「嫌だ」
これじゃあ、埒が明かないな。
「言わないとキスする」
乃亜は強硬手段に出た。
「乃亜。ミコトよりも可愛いよ」
俺は脅しに屈した。
「えへへ、ありがとう」
乃亜は嬉しそうに微笑んだ。
「ほら、言ったんだから上からどけろ」
俺はそろそろ寝たいんだ。
「やだ」
乃亜はすぐに拒否をした。
何を言っているんだ、このお嬢様は?
「とりあえず。なんで?」
「疼いてきちゃった。てへ」
てへ、じゃねえええええ!俺、大ピンチじゃん。
「乃亜。待て話し合おう」
「いや、話す時間がもったいない」
乃亜の目がうつろになっている。
「ああ、この時をどれだけ待ったか。やっとで、やっとでレンと繋げる時が来たんだ」
この頃、乃亜がそんなことを言ってこなかったから。すっかり油断していた。こうなったら、やりたくないが最終手段だ。
「乃亜」
「何?レンが嫌だと言っても逃がさないよ」
「愛している!」
「えっ」
俺の一言で乃亜に隙が出来た。
「隙あり」
そして、乃亜の後頭部に手を回し、顔を引きつけ。
「んっ」
自分の口で乃亜の口を塞いだ。
「ん、んぅ、はむぅ」
乃亜の力が抜けてきたのか口が開いてきた。
俺はそれを狙って、口の中に自分の舌を入れる。
「はむ、んむ、んんん。は、あ、んむぅぅうう」
そして、乃亜の口の中を舌で舐めとり、ゆっくりと口を離す。
「はあ、はあ、はあ」
乃亜は口を俺の唾液で濡らしていた。
俺はそんなことはお構いなく、乃亜を抱きしめる。
「ず、ずるいよ。いきなりは」
乃亜は力が入らないみたいで、俺の腕から逃げようとしても逃げられないみたいだ。
「う、うるさい。俺はすごく恥ずかしいんだぞ」
俺は自分の顔が赤くなっているのがわかる。
「ほら、もう遅いんだし。もう寝ろ」
俺はそう言って、乃亜を自分の上からどかした。
「え、これから続きしないの?」
乃亜は寂しそうに言ってきた。
「するか!」
理性もギリギリなのにこれ以上やったら大変だっつうの。
「まあ、いっか。レンといろいろ進展できたし。それじゃあ、ボクは眠るね」
「ああ、おやすみ」
「うん。おやすみ」
乃亜は俺に体重を預け、ゆっくりと目を閉じた。そしたら、すぐに寝息が聞こえてきた。
「はあ、俺も寝るか」
俺はそれを見て、目を閉じた。
やばい。もう少しキスをしていたら我慢ができなかったかもしれない。
だんだんと意識が薄れていくなか、そんなことを考えていた。