勘違いにもほどがある。
「へ~、GWにそんなことが合ったんだ。大変だね」
GWが明けての初日の学校、真衣と乃亜は食堂でお茶を飲んでいた。
嬢育科に所属している2人の午後の予定は何もないのでGWについての話をしていた。
「うん。でも、そのおかげでレンとの仲が深まったよ」
乃亜はニヤけていた。
「はいはい。ご馳走様」
真衣は呆れながらお茶を飲み、窓の外を見た。
「あ、ほら、あっちゃん。君の愛しい愛しい蓮斗がいるよ」
「え、どこどこ?」
乃亜は喰いつくように窓の外を見た。
「ほら、あそこ」
そんなに好きなんだと思いながら、真衣は指を指した。
「誰あれ?」
その瞬間、乃亜から殺意を感じてしまった。
「の、乃亜さん。どうしました?」
真衣は思わず乃亜に敬語を使ってしまう。
「レンが浮気したああああああ!」
乃亜は叫びながら食堂から飛び出していった。
「え、どういうこと?」
真衣は意味もわからず、その場に取り残されしまった。
「蓮斗。今日こそはアタシと組み手をしてもらうよ」
一ノ瀬昴は俺の腕に自分の腕を組みながら見てきた。
昴だと、なんて読むかわからなくなるので、これからはカタカナで表そう。
「断る」
乃亜がその様子を見ていたとは知らない俺は腕を振りほどきながら断った。
「なんでよ!」
「面倒だから。それに今日は二年と合同の訓練なんだから、二年とやれよ」
「二年の中であんたより強い奴がいるわけないじゃん」
おい、それを言うと俺が二年に目を付けられるんだぞ。わかっているのか?ほら、今あそこでガタイがいい二年が俺のことを睨みつけてきているよ。
「おいおい、何、騒いでいるんだ?」
「いた」
そしたら、いきなり何かで後頭部を軽く小突かれた。
俺が後頭部を押さえながら振り返るとそこには、龍次が刀を肩に背負いながら立っていた。
たぶん、俺の頭を小突いたのは持ち手部分だろう。
「よお、龍次」
俺は軽く挨拶をした。
「お前、一応、俺の方が先輩なんだから敬語ぐらい使えよ」
「敬語を使ったらお前が俺の先輩に思われるじゃないか?」
何を言っているんだこいつは?
「先輩だっつうの!」
「またまた、冗談を言うのも大概にしろよ」
「ははは、斬ってやろうか?」
龍次は刀を構えて、笑顔で俺に言ってくる。
「あはは、全力で遠慮するよ」
俺は笑顔で龍次から距離を置いた。
「たく。それで、なんで騒いでいるんだ?」
龍次は呆れながら構えをといた。
「龍次先輩。聞いてくださいよ」
スバルは龍次に話を聞かせようと近づいた。
「あれ、スバルいたんだ?」
「ひどっ!」
スバルは今、気付かれたことにショックを受けいじけてしまった。
「いいんだよ。アタシなんて。どうせ影が薄いんだ」
スバルは地面にのの字を書き始める。
「さて、スバルは無視して。どうだ、龍次。俺と組み手でもやらないか?」
俺は体をほぐしながら龍次に聞いてみた。
「遠慮しとく」
あれ、珍しいな。龍次なら乗ってくると思ったんだけどな。
「なんでだ?」
「後ろ見ればわかるよ」
「後ろ?」
俺は言われたとおりに後ろを振り返った。
「レンは何をしているのかな?」
後ろには何故か、微笑んでいるのに何故か怖く感じた乃亜がいた。
「の、乃亜。なんでここにいるんだ?」
今は授業中のはずでは?
俺は冷や汗を掻きながら聞いてみた。
「そんなことはどうでもいいから。ちょっと、ボクと一緒に来てくれないからな?」
乃亜はまだ俺が了承してないのにも拘らず、俺の首根っこを掴みそのままグランドの隅まで引きずっていった。
「の、乃亜、ちょ、ちょっと待て。い、いったい、なんのこ、止めてえええええ」
それから、十分後、ボロボロになった俺を引きずりながら、少し恥ずかしそうに顔を赤くしながら乃亜が隅から出ていく。
これを見たクラスメイトや先輩たちはいったい、この十分間で何が起こったかのと不思議に思っていた。
それから十分後。
「え~と、初めまして一ノ瀬昴って言います。よろしくお願いします」
スバルは乃亜に挨拶をした。
「こちらこそ。よろしく。ボクは透咲乃亜。乃亜って呼んでね」
乃亜もスバルに対し挨拶をして、スバルと握手を交わした。
「でも、ごめんね。ボクが勘違いして」
「いやいや、アタシも軽はずみな行動をとったから、ごめんね」
二人して共に謝った。
「おい、まず謝るなら。俺に謝れ」
俺がそういうと2人して、俺から顔を逸らした。
こいつら。
「まあまあ、少しは落ち着けよ。誤解解けたことなんだし」
「俺は元々、誤解を生むような事はしていないぞ」
「ドンマイ」
龍次は俺の肩に手を置いた。
こいつ殴ってもいいかな?
「はあー、もういい。それで、乃亜。お前は俺らの授業を見学していくのか?」
俺はもう怒るのが面倒なってきたので話を変えた。
「うん。どうせ、今日の午後は授業が無いし、見学していくよ」
「わかった。それじゃあ、龍次どうする?」
「ん~、そうだな。チーム戦でもやる?」
「はいはい。賛成!賛成!」
スバルは元気よく手を上げた。
「俺もそれでいいけど、チームはどうするんだ。俺達三人しかいないぞ」
「じゃあ、俺とスバルがチームで、蓮斗は一人な」
「ふざけんな。それだと、お前らが有利だろ!」
俺は龍次を睨みつけた。
「じゃあ、どうするんだよ?」
龍次も俺を睨みつけてくる。
「その訓練面白そうだからオレが参加するよ」
真田楓太が話しかけてきた。
「あれ、楓太?いつ帰ってきたんだ?」
確か最後に見たのはGW前だったな。
「今、さっき帰って来たばかり」
楓太は笑いながら話しかけてくる。
「そうか、とりあえず。後ろの人に謝っとけ」
「え?」
俺が指示して楓太が後ろを振り返った。
「チェスト!」
スバルは楓太の腹を思いっきり蹴った。
「ぐっ、い、いきなり何するのさ。スーちゃん」
楓太はお腹を押さえ崩れ落ちながら、スバルを見上げる。
「うるさい。黙れ。死ね」
スバルは片手の骨を鳴らしながら、楓太を睨みつける。
「どんだけ、おじさん達を心配させたら気が済むのかな?」
スバルの体に電気が浮かび上がってくる。
あ、やばい。
「いや、だから、きちんと置手紙を」
「アタシとの約束もほったらかしにするしさ」
「え~と、それは」
楓太はもう言い訳が思いつかなかったようだ。
「フウちゃんの」
スバルの片方のローラースケートに電気が集まって、その片足を上げた。
「乃亜。危ない」
「え?」
俺は乃亜の腕を引き、自分の背中に隠した。
「龍次」
「わかってる。断空剣」
龍次は刀を引き抜き、地面を斬りつけた。
この行動までわずか5秒。
「馬鹿ああああああ!」
スバルが楓太に向けて足を振り下ろした。その瞬間、閃光が発された。
閃光が治まった頃には、そこには頭にたんこぶを作り、焦げて痺れている楓太とそれを見下ろしているスバルがいた。そして、周りには感電して倒れているものが多数いた。
こりゃあ、もうチーム戦どころじゃないな。
そう思う、午後の授業だった。