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誕生日の夜に 後編

「ふうう、大丈夫か乃亜?」

 さすがに、ここまで全速力で来るのは疲れたな。

 俺は呼吸を整えながらそう言って、乃亜に話しかけた。

「ほ、本当にレンなの?」

 乃亜は予想通り驚いていた。

「ああ、俺だ。なんなら、証拠でも見せようか?」

 俺はそう言って、乃亜に自分の上着を掛けてあげた。

 さすがに、下着姿は俺も恥ずかしい。

「ううん。いらない。この暖かさと匂いはレンのだから」

 俺、どうやって判別されているの?

「さてと、乃亜。ちょっと待っていろ。すぐに終わらせるから」

 俺は乃亜の涙をぬぐってあげた。

「うん。わかった」

 乃亜はすんなり頷いてくれた。

「さて、待たせたな」

 俺は振り返り、青年を睨みつけた。

「お、お前は死んだ筈じゃないのか?」

 青年は部屋に備え付けのテーブルに体重を預けて立ち上がっていた。

 やはり、今の一撃が効いているな。

「ああ、後少しで死んだよ」

 俺は青年に段々と近づいていく。

「でも、喧嘩を売る相手を間違えたな」

「く、来るな!」

 青年は懐から銃を出し発砲してきた。たぶん、俺が避けたら、後ろにいる乃亜に当たるから、俺が避けないと思ったんだろう。たぶん。

「ふん」

 しかし、俺は銃弾を意図も簡単に払った。

「なっ!」

 青年は予想通りに驚いていた。

 まあ、それもそうか。一般人が銃弾を払いのけるなんて普通不可能なんだから。

「言っとくけど、今の俺には当たらないよ」

「お、お前、まさか異能者?」

 青年は驚いていた。

 この世には全部で三種類の人間がいる。一つ目は何も力を持たない一般人。二つ目は数は少ないが風や水を生む魔術士。三つ目は自分を転移させたり、自分自身を強化する超能力者。後、召喚術師とかがいるみたいだが、それは魔術士の部類に入る。一般人はそうゆう能力を持つ人たちのことを異能者と呼ぶ。でも、俺は超能力だとしっくりと来ないのでスキルと呼んでいる。

「ああ、そうだ。ちなみに俺の能力はシャープネスって言って。自分の体や自分が触れた物を強化できる。ちなみに、弾を払うことはできたのは腕と目の神経、反射神経を強化したから、出来たってわけ。ついでにいうと二階から落ちた時も無意識にこれが発動して助かったわけ」

まあ、弾は偶然にバッチに当たったから助かったんだけどね。

 俺はどんどんとネタばらしをしていく。

「それで、どうする。まだやる?」

「こ」

 こ?

「この化け物があああああ!」

 青年はどんどんと俺に向けて弾を撃ってくる。

「だから、無駄だって」

 弾の無駄遣いだろ。

 俺は全弾、手で払い落した。

 その結果、銃から弾が無くなり、青年が俺に対抗する武器がなくなった。

「く、くそおおおおお!」

 青年は銃を捨て、俺に殴りかかってきた。

「くたばれ」

「がは」

 俺はそう言い残し青年の拳を避け、腹に一発入れ。そして、青年が前のめりになった瞬間、後頭部めがけて、踵落としをした。

「おし、終わり」

 俺は体をほぐしながら、青年を見下ろした。

 最後は呆気なく終わったな。つうか、最後までこいつの名前がわからなかったな。

「レン。終わったなら、早くこれを取って頂戴」

 ベッドの上で、乃亜が俺に手錠を見せながら言ってきた。

 こいつは休憩もさせてくれないのか?

「へいへい」

 それでも、俺はそんなことを乃亜には言えず、ただ従うだけだった。

 あー、しかし、久々にスキルを使ったからすげー疲れたな。今にも倒れそうだ。

 俺がそんなことを思っていると、突然、眠気が襲ってきて、体に力が入らなくなってきた。

 あ、やばい。落ちた。

 俺はそう思いながら、そのまま闇の中に落ちていった。

 ・・・・・そういえば、青年の名前わからずじまいだったな。



 蓮斗が突然、ボクに覆いかぶさってきた。

「ちょ、ちょっと、レン。い、いくら、我慢できないからって、いきなりはダメだよ」

 ボクは突然のことだったので驚いていた。

「こ、こゆうのは、きちんと雰囲気があるところでしたいよ」

 いつもは、ボクから蓮斗対していつもやる側の筈なのに、自分がそのやられる側に立つと、とても恥ずかしい。

「で、でもレンがそこまで言うなら、ボクはいいよ」

 ボク何を言っているんだろう。

「すー、すー」

 そしたら、蓮斗から寝息が聞こえてきていた。

 え、まさか、寝ている?

 ボクは蓮斗の顔をよく見てみた。そしたら、蓮斗は目をつぶり眠っていた。

「ね、寝ている」

 ボクは今までの行動を思いだし、段々と顔が赤くなっていくのがわかった。

そ、そうだよね。レンが進んでそうゆう行動に移すとはありえないよね。

「このヘタレ。思わず、期待しちゃったじゃない」

 ボクは眠っている、蓮斗の両頬を引っ張る。

 でも、蓮斗は目覚めることは無かった。

「でも、良かった。レンが生きていて本当に良かった」

 ボクは蓮斗を横に寝かせ、蓮斗の懐から預かって貰っていたピッキング工具を取りだし手錠の鍵を開け、手錠を外した。そしてそっと蓮との顔を撫でてあげた。

「ん~」

 蓮斗は気持ちよさそうな顔をして眠りに付いていて起きる気配がない。

「・・・・・もしかして、これはチャンス?」

 レンは起きないし、たぶん、会場の救助は夢がやっていると思うから、当分、ここに人が来ることはない。ましてや、今はレンと二人っきりだし、レンはレンで当分起きないだろう。

「既成事実を作るなら今しかない」

 別にレンのことを疑っているわけではない、でも、もしもの事があるかもしれない。ボクにとっては不安要素を一つでも消しておきたいのだ。

「それじゃあ、早速」

 ボクは蓮斗の体に覆いかぶさり、蓮斗の唇に自分の唇を重ねる。

「ん・・・・ぷちゅ・・・・あむ・・・・ぴちゃ・・・・」

 そろそろ、唇の中に下を入れてみるかな?

 ボクはそう思いながら蓮斗の半開きになった口に舌を入れようとした。

「乃亜お嬢様、何をやっているんですか?」

 そしたら、後ろから声が聞こえてきた。

「にょわあああああ!」

 ボクは驚き、振り返った。そこには夢が平然とした顔で静かに立っていた。

「えっと、これは、その」

 ボクは言い訳を考えようとした。

「まさか、あなたを助けて、疲れきって眠っている蓮斗様が起きないことをいいことに、既成事実を作ろうとしているんじゃないんですか?」

 夢は確信をついてくる。

「うっ」

 ボクは図星をつかれ黙るしかなかった。

 前から思っていたけど。なんで、夢にはボクの考えがわかるのかな?

「そ、そんなわけがないでよ。そ、それで、夢がここにいるってことは、お父様達は助かったのね」

 ボクは無理やり話題を変えた。

「ええ、私がその場に着いた頃には、蓮斗様のお父上が全滅させていました」

 ちっ、レンのパパめ余計なことを。

 てか、来てたんだ。会場では見かけなかったんだけどな。

「でも、今日はさすがにパーティを続けること出来なさそうなので、このまま終わるそうです。それとご主人様が乃亜様は今日はもうお休みになっていいそうです」

「わかった。今日はボクも疲れたし、このまま寝るよ」

「わかりました。あとで、着替えを蓮斗様の分と一緒にお持ちします。それと、この者はどういたしますか」

 夢はそう言って、青年の腕を掴み持ちあげた。

「処分という方向でいいんじゃない?処分方法は夢に任せるよ」

 こいつはレンを殺そうとしたんだし、死んでもいいんだ。

「わかりました。それでは失礼いたします」

 夢はそれだけ言い残し、青年を引きずりながら部屋から出て行った。

「さてと、続き続き」

 邪魔が入っちゃったけど、もう大丈夫。

 ボクはまた蓮斗に覆いかぶさり、さっきの続きをしようとした。

「ん~」

「きゃあ!」

 しかし、蓮斗に抱きつかれてそれが出来なくなってしまった。

「ちょ、ちょと、レン」

 ボクは必死に抵抗したが、やはり男の子なのか力が強く抜け出せることができなかった。

 これじゃあ、既成事実が作れないよ。

「・・・・・ノンちゃん・・・・・大好き」

 蓮斗が寝言を呟いた。しかも、幼稚園の頃のボク呼び方で。

「こんな時に言うのはずるいよ」

 ボクはそれだけを聞いてとても幸せな気持ちになってしまった。自分でも顔を赤くしているのはよく分かる。

 しょうがない、今日は諦めよう。そういえばまだ、お礼を言っていなかったけ?

「レン。助けに来てくれてありがとう。ボクもそんなレンが大好きだよ」

 ボクはそのままレンに体重を預け、眠りについた。

 やっぱ、レンの匂いはとても落ち着くよ。だから、ずっとボクの側にいてね。レン。


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