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2.転生者

――――ドゴンッ・・・・

――――バァン・・・ドガァァァン――――

――――ドゴァン・・・バァァァン――――


・・・・・・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。




あれ?・・・・・・・ここどこだろ?

私、会社に向かっていたよね・・・いつも通り、バスに乗って、電車に乗り換えて・・・降りたっけ?


「乗り過ごしたぁぁぁぁぁ⁈」


「・・・・・・・・起きましたか?」


「へ?・・・え、ここどこ?私電車を乗り過ごしたんですよね?」


「いいえ」


「いいえ?・・・え、真っ白なんですけど。どこです?ここ」


「ここは狭間です」


目を開けているのに、開けていないと錯覚するほど、真っ白な空間。

自分の姿は見えるから、ちゃんと目は見えている。


だが、質問に答えてくれている声の主の姿は見えない。


「姿が見えないのですが、別の空間?にいるのですか?」

「いいえ」


「え?では、この空間にいる?」

「はい、意識はあなたと同じ空間にいます」


「意識?ということは姿は見えない?」

「はい」


「幽霊じゃないですかぁ!!!!!!」

「霊体です。あなたが考えている幽霊ではありません」


「霊体?神様みたいな?」

「霊体です。あなたが考えている神ではありません」


「・・・えっと、では霊体さん。私はなんでこの狭間?の空間にいるのでしょうか」

「あなたが、今のあなたと認識ていた肉体が亡くなったからです」

「へ?」

「簡潔に言いますと、死んだのです」


「し?えぇぇぇぇぇぇ!!なんで?!」

「爆発事故です。電車に乗っている時に、爆発しました」


「爆発事故?!じゃあ、私以外にも死んだ人が?」

「はい。別の狭間で別の霊体の説明を受けています」


「説明?」

「はい。今からあなたに転生について説明し、転生先の世界にご案内します」


「転生?」

「はい。あなた自身が転生する世界を創造し、転生します」


「元の世界に戻ることは?」

「できません。そちらの世界での生は終了しています」


「終了って・・・そんな・・・」

「ご説明を開始してよろしいですか?」

「ちょっとまって欲しいんですが・・・」

「申し訳ございません。次の方のご案内がございますので、その場合は説明は省略させていただき、強制的に自動で設定された世界への転生となります」

「は?ちょ、ちょっとまってください!それなら説明お願いします!!」

「承知いたしました」


「まず、世界の設定をいたします」

「世界の設定と言っても・・・どういいう風にしたらいいのですか?」

「転生先の世界に望むことを私にお伝えください」

「望むこと?たとえば、魔法がある世界がいいとか?」

「はい。可能です」


すごい・・・ということは、小説や、ゲームの世界観を設定して、転生できるってことだよね!!

どうしよう!!色々あるけど、ゆっくり考える時間とかなさそうだし、とりあえず思いついたまま伝えればいいよね。



えっと・・・


・地球に似た星

・魔法が使える

・伝説や神話とされた生き物が実際に生きていて人間と共存している


「あとは・・・」

「申し訳ございません。次の設定に移ります」


「え?!なんで!!」

「意識を取り戻されるまでに時間がかかりましたので」


なんてことだ!気絶?している間に制限時間が進んでいたらしい。

死んだら時間と言う概念なくなると思ってたのに、がっちりかっちり時間厳守ではないか!!


「次は転生する際のご自身についてです」

「同じように伝えるだけでいいの?」

「はい」


それなら、願望詰め込みしてやる!!


・今の私の記憶を保持

・誰もが惹きつけられる美女

・強大な魔力を自由自在に使うことができる

・賢者のように知識をたくさん得られる頭脳

・しなやかな肢体と女性らしいスタイル

・武術の才能もある


「先ほど設定した世界では、妖精族となりますが、よろしいでしょうか」

「え?人間じゃなくなるの?」

「はい」

「それなら・・・」


「お時間となりましたので、転生の準備に入ります」

「え、ちょっ!!」


「強運も追加してください!!」

「承知いたしました」

「では転生いたします」


「ま・・・・・」



―――――――――シュッ








「うぅ・・・・・」

「ここ・・・どこ?」


大きな満月が見える。

起き上がると、鬱蒼とした森の中にいた。


「え・・・なっ!森?なんで!転生したんだよね?!」

「はい」

「ひゃ!!」

「説明役の霊体です」

「霊体さん!ここどこですか?」

「先ほど設定された世界の森の中です」

「そ、それはわかりますけど、転生と言えば、生まれ直しですよね!もしくは幼少期とか!」

「あなたは今世では妖精族です。大人の姿で生まれた妖精です」


そういえば、手足が長い。確かに子供ではなさそうだ。


「大人の身体だけど、生まれたて?」

「ご認識の通りです」


「服着てますね」

「はい。妖精族は自身の力で身に着けるものを創造できます」

「あ、なるほど」

「お伝えできることをご説明いたします」


「お名前はご自身でお考えください。あなたは月光の妖精です。月光より生まれました。以上です」

「い、以上?!ここは何て言いう森ですか?」

「この世界では『ゼナスの森』と呼ばれています」


「えっと、この星はなんという名前なんですか?」

「星としての名前はありません。ご自身でお考えください」

「へ?星の名前がない?」

「この世界では、まだ天文学がそこまで発展していません」

「でも、月はあるんですよね?」

「はい。月や太陽など、観察可能な星には名前がついています」

「なんと・・・自分たちが存在している場所が星だと思っていない・・・って、かなり昔の時代?!」


「あなたの前世ですと、古代と呼ばれる時代が近しいです」

「古代?!」

「神話や伝説の生き物を設定した際に、時代設定も確定しました」

「なんてこった!!」


「・・・言葉・・・文字は大丈夫かな・・・」

「言語は、会話は妖精族の能力で自動翻訳されるので、問題ないと思われます。文字は知識を得る必要があります」

「う・・・文字も自動翻訳されればいいのに」

「ご自身の能力を向上させることで可能になると思われます」

「そうなんだ!!」


「では、ご説明は以上となります」

「ま、まって!!これから私どうしたらいいの?!」

「自由に生きてください」

「え?自由に」

「はい。行動制限はございません」

「ちょ、それなら能力を使って大虐殺なんてしたらどうするの?!」

「何もございません」

「何も?」

「はい。では失礼いたします」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


「あのー、霊体さん?」

「・・・・」

「霊体さーん」

「・・・・」


「うわ、本当に離脱したっぽい・・・どうしよ」


とりあえず立ち上がると、前世の記憶より、視線が高い気がする。


身体を見ると、長い手足が月あかりに照らされて輝いている。

ちゃんと靴・・・サンダルみたいなものを履いて、ギリシャ神話に出てくる神様みたいな薄い白い布を体に巻きつけたような服だ。


周囲を確認すると、月光に照らされた美しい湖があった。

湖を覗くと、そこには美女が写っていた。


「え!!すごい!ほんとに私?!」


湖に写された美女は、私が身体を動かすと、同じ動きをした。


「細かな設定はできなかったけど、色々詳細は自動補完されたのね・・・」


髪は月光のような銀髪。サラサラストレートな髪は腰のあたりまで伸びている。

瞳は大きく、くっきり二重で紫色。アメジストみたいな輝きを宿している。

唇は小ぶりだが、形は良く、ふっくらと優しいピンク色。


そして背中には輝く透明な羽根が2枚生えて・・・・

羽根が・・・・


「羽!!!!!」


背中の羽根を意識すると、動く・・・


「飛べたり・・・するの?」


と、思おうと、フワッと身体が浮いた。


「うわぁっ!!」


前世の記憶はあるけど、飛んだことはないので、まったく経験したことない感覚に声が出る。


「意識するだけで飛べるのか・・・すごいわ」


うーん・・・これからどうしよ・・・

月が出てるから、今は真夜中だよね。


「とりあえず、寝ようか・・・なんか疲れたし」


私は、飛ぶ練習も兼ねて、大きめの木の上に飛び、大きな枝の上で眠ることにした。


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