暗殺者と妖精 ～気軽に旅も出来やしない～

0.プロローグ

夢を見ているのだろうか。

月夜に舞う美しい妖精が舞っているのが見える。

全身には、同じギルドの暗殺者にやられた傷から血が流れ出ている。

致命傷になった刃が腹部に刺さったまま鈍く光っている。

視界が闇によって狭くなってくる。

月光のような銀色の妖精が血しぶきの中、舞っている。

手を伸ばす。

――――――まだ見ていたい。

身体の感覚がなくなる。

すべてが遠くに感じる・・・闇に溶けていく。

「必ず助ける！」

力強い声が聞こえた気がした。