悪役令嬢、ですの?なにかの間違いではないかしら?
浮気者にはきついお仕置きを
セレスティーヌ・ベルナデット公爵令嬢。それが私。私の趣味は楽しい遊戯に身を浸すこと。今日も楽しい遊びを味わい尽くしましょう。
「王太子殿下。反省なさいました?」
「ふ、ふざけるなセレスティーヌ!私にこんな真似をしてただで済むと…がぼっ!」
今一緒に遊んでいるのはクロード・フェリシアン王太子殿下。このフェリシアン王国の第一王子にして、私の婚約者。水に何秒顔を付けていられるかという遊びをしているのですけれど、全然へこたれないので遊び甲斐がありますわ。
「まだ、ご自分のお立場がわかりませんの?王太子殿下の浮気の証拠は、もう掴んでいましてよ?」
王太子殿下はカロリーヌという平民の女性と浮気をしておりましたの。この国の王族や貴族の通う学園に特待生制度を使って入学したカロリーヌさんは、玉の輿の一発逆転狙いで王太子殿下にアピールをし見事その心を射止めたそう。その可愛らしい容姿と、平民ならではの価値観や考え方を武器にした戦術には恐れ入りましたわ。
なぜそんなことを知っているかと言えば、王家の影のおかげですわ。諜報機関である彼らは、非常に優秀ですの。
「ぷはっ!…いい加減にしろ、セレスティーヌ!父上も母上もこのようなことはお許しにならないぞ!」
「あら、まあ。そうですの?それは初耳ですわね。国王陛下も王妃陛下も、とっくに王太子殿下のことは見限っていらっしゃるはずなのですけれど…」
「…は?」
目が点になる王太子殿下。ああ、可愛らしい方。
「簡単に平民の娘などに籠絡されるような者を王太子にしてはおけないとおっしゃっていましたわよ?だから、処分は私の好きにして良い、と」
「なっ…嘘だ、そんなわけっ!」
「そうそう。王太子殿下は表向きには急な病に倒れたことになっていますの。そのうち第二王子殿下に王太子位が譲渡されるでしょうね。そして、きっとその後は病死なさるのでしょうね?」
ひゅっと王太子殿下の喉がなる。真っ青でとても素敵なお顔。
「ついでに言うと、カロリーヌさんはもう虹の橋を渡りましたわよ?」
王太子殿下が目を見開く。大きな目玉がこぼれ落ちそう。
「王太子殿下を誑かした罪で密かに牢獄に入れられたのですけれど、どうせ秘密裏に処分するなら私にくださいと言ったら国王陛下が譲ってくださいましたの。だから、焼ごてで身体中に跡をつけたり、爪を剥いだり指を落としたり、最後は全身の皮を剥いだりしましたの。意外と丈夫でしたわよ?」
王太子殿下ががたがたと震える。あらあら、うふふ。お小水が床に広がりましたわね。汚いこと。
「ゆ、許してくれ、セレスティーヌ…私が悪かった…」
「ふふ。大丈夫ですわ、王太子殿下。第二王子殿下が王太子になられる際には、私も第二王子殿下の婚約者になることが決まっておりますの。幸い、第二王子殿下の婚約者は今のところいませんから。だから王太子殿下は安心して私と一緒に遊んでくださいませ」
「ひっ…く、くるな、やめてくれ…」
「そうですわね。水責めはもう飽きてしまいましたし、お腹を割いて腸を取り出しましょうか。腸でリボン結びなんて面白いと思いませんか?」
「う、うぅうううう…」
「可哀想で可愛らしい王太子殿下。最後くらいは楽しませてくださいませ?」
こんな主人公ですが次期王太子妃として期待されているのです