5、回想と、師匠と、ランタン特訓①
こんにちは〜♪
5話目に入りました!!ぜひお読みくださいな!
5、回想と、師匠と、ランタン特訓①
「こまちちゃん、せっかく来たので一回お庭が見たいのですが…」
「だから、『まいかちゃん』でいいんだってば」
二階の、一番真ん中の部屋。もふもふのソファーに二人で腰がけて、雑談していた。
「お気遣いは嬉しいんですが…こまちちゃんに悪いですし、こまちちゃんはこまちちゃんとして、新しく接したいです────まいかちゃんは……しっかり心にいますから」
「おっ、なんかかっこいい!」
わたしのセリフに反応して、目を輝かせるこまち。
──────やるな、わたし。
再びごろんと、わたしの太ももの上に頭を載せて、
「…ガーデンは別に今日見なくても、これから飽きるほど見るよ?」
……飽きるほどって。
「へっ!? そそそれってつまり─────」
「うん。もし良かったら、二人でここに住もってお誘い。……ほら、あやちゃん一人だと不安だし、あたしも一人だと寂しいから……どう?」
「……」
あまりにも早すぎる展開に、言葉が出なかった。
「……あれ、あやちゃん……?」
「あ、ごめん。…………わたしは賛成ですが…ほんとにいいんですか」
「うん! 遠慮しないで。あでも、代わりに…」
「代わりに?」
「今日からあやちゃん、特訓ね」
へ?
……ええええええええっっっ!?
□□□
というわけで、さっそく特訓。
わたしはこまちに手招きで導かれながら、「訓練所」に向かった。
「あれ、ここって……」
既視感。淀んだ雲が低空一面に広がり、その下は足場のほぼない植物園。
「うん。あやちゃんが行きたいって駄々を捏ねてた、うちのガーデン」
(駄々を捏ねた覚えはありませんが…)
「すごいですね……これ全部こまちちゃんのですか?」
「うん、まあそうね」
足に絡まるイバラや蔓から何とか凌ぎながら、こまちの後ろについて行く。風が強い。
進みながら、こまちが自慢げに植物を紹介してくれた。
「これは『異世界を呑む薔薇』の名をもつバラ。あれが『異世界を蝕むオニユリ』。この小さいのは『異世界を切り裂くスズラン』」
(……異世界に恨みでもあるのかな……)
「すごい…個性的なネーミングセンスですね。えーっと……ど、どこまで進むんですか……?」
「もうつくわ。……はい、ここ」
────────!!!!
周囲は、先が見えない鬱蒼とした森。円形のタイル張りの「訓練所」を囲んでざぁざぁ音を立てる。
そのちょっとした(と言っても結構大きい)スペースの中央に、なんとも言えない形をした石像つきの噴水があった。
くねる石像。滑らかな表面の所々に、大小の水晶玉がはめられている。
「…………」
二人だけ。
相手はめちゃくちゃの異能のプロ(?)。
ここは訓練所。
─────嫌な予感しかしない!!!!
あっけに取られて棒立ちするわたしの、肩をポンポンと叩いて、こまちが説明をし始める。
「───ここが訓練所ね。あやちゃんはこれから、『異能』を消したいのよね。……そしたら、確かに、異能の強化はいらないのかもしれないわ。────けど!」
(やっぱり「けど」ってつくんですね……)
こまちがわたしの表情を伺いながら、話を続ける。
「異能で防御すら出来ないのは論外だわ」
……ギクッ。
「だから、今日から『あやちゃんが防御ができるようになるまで特訓』しようね!!!」
嫌だぁああああ。
……だが、はい、というしか無かった。反論したら何かまずいかと言うと、全くそんなことは無いと思う。
が、これから、こまちちゃんと一緒に生活していくのにあたって、色々迷惑をかけてしまうことを考えて。
自分の「目的」を考え直して。
この異能の世界で虐められないために。
わたしは両手で自分の頬をパンパンと叩いて、改めて深く一礼した。
「こまちちゃん──────いえ、夕夕師匠様、よろしくお願いいたします!!!」
「あやちゃん……」
こまちちゃん、否、わたしの師匠はちょっと目を見開いてから、「その気やぁよし♡!!」と目を細めてニコッと笑った。
──────師匠可愛い…。
天使。
「では早速やっていこー!」
「はい!」
「まずはわたしの全力を一時間耐えてね♡」
───────悪魔だあああああ!!!!!
いかがでしたか?
一体どんな訓練になるのでしょうか……?こまちちゃんの実力は一体!?
第6話お楽しみに♪!