表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/30

23、旅行前日と、ばーすと、「ショーナ」①

23、旅行前日と、ばーすと、「ショーナ」①


夜。


わたし、火丁ひのとあやの家。アパート「水車みずぐるま」、七階の一番右端。


「ただいまです…って、誰もいませんよね」


「さすがにいないだろ。お邪魔しまーす」


異能持ちの老人襲来に。兵隊包囲に。最近はみんな、あまりちゃんと休めていない。


だからある程度落ち着いてから、ビーチに行こうと決めたら───……双子と出会って、もう一ヶ月が経っていた。


そして今日は、その旅行の前日なのだ。


わたしを先頭に、不死鳥少女ばーす、お嬢様こまち、双子純、素が玄関の奥に入っていく。


「すみません、やっぱりこの人数で入ると狭いですね……」


地面に散らかるノートやお菓子の袋を橋に退かす。


純さんたちと出会ってから、そういえば一回も掃除していませんね……。


「一日くらいなら大丈夫だろ……ん、この音は…」


純は奥の部屋を指した。寝室だ。


確かに耳を澄ませば、かすかに火花が弾ける音がする。


───パチッ…バチバチッ……。


……これは、扉を開けるべきなのだろうか…。嫌な予感がしてきた。




「あっ、ショーナちゃんだ!!」


突然ばーすが、見えないはずの奥を指して声を上げた。


「「……しょうなちゃん?」」


またまた、初めて聞いた名前だ。


「うん、前の、お友達」


(…………………………………………今は?)


聞いてみたい気持ちを抑えて、わたしは扉をガラッと開けた。


そこにいたのは……。


ベッドの上で仰向け大の字になっている、見知らぬ少女。ばーすと同い年くらいだろうか。わたし達が近づいても、目をじっと瞑ってピクリとも動かない。


時々パチパチっと空中に火花を放つ。


ベージュのかかった、白い髪。ふわっとしたまろ眉が、目にかかる前髪にうっすら隠れる。ローツインテの毛先が鋭く二三束に分かれている。


だが何よりも気になったのは、黄ばんだ包帯に巻かれた、両手両足だった。


(ちょっと前まで、管で繋がってたんだろうな……)

と純が私の耳元で囁く。


(それは…どうしてわかったんですか?)


「勘だ」


…………。


勘、かぁ。


つまり、包帯を解いたらその中は……穴?


(うぅ……想像してしまいました…)


こまちを見る。


じっとそのまろ眉の女の子を凝視して、何かを考えているようだった。


「こまちちゃん、もしかして知り合いですか?」


「んー。知り合いではない気がするけど……でもどこかで見たことあるような…………」


どこだろう。


すると、その時。


さっきまで黙っていたばーすが、少し全身に火を纏い、ショーナと呼ばれる少女に近づいた。なぜか、ちょっと怒っている。


「ずーるーい〜〜〜!!」

ばーすは、ショーナの耳元でおもいっきり叫んだ。アパートが少し振動する。耳が痛い。


(……さすがフェニックスをまとった人間ですね)


だが、反応は返ってこなかった。


それを見て、ばーすがショーナのお腹をポカポカ叩き始める。可愛い。


「…………」


だがしかし、こちら側は相変わらずの不動。


そしてついに……


「えいっ」


ばーすはショーナの両足をガシッと掴んだ。ズズズッとベッドから無理やり引きずり落とす。


さすがに、眉をひそめたショーナ。ゆっくりと目を開けて、


「いおんはお眠なの…起こさないでちょうだい……」


(あれ、いおん……って言いました?)


「「……!?!?」」


そのセリフに双子が反応したのは、気のせいだろうか。


「もー、ショーナちゃん…ここはママのベッドなの!!」


(なんていい子……!!)


────むにっっ。


ばーすはショーナの頬っぺをつねった。


それから、自分がベッドによじり上って───大の字になる。五秒もしないうちに、ばーすは眠りに落ちた。


…悪い子だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ