12、新生活と、双子と、『ミダレガミノヒメ』
こんにちわー
ぜひお読みくださいな!!
今回新キャラ出ます!!
12、新生活と、双子と、『ミダレガミノヒメ』
わたしは火丁あや。
「もし今学校に行っているのなら」、今は高校一年生だ。
入学式の日から、三ヶ月が経った。
死にたくなる時もあれば、生きていてよかったと思う時もあった。
最初は弱小異能───《照明》しか持たないわたしだったが、今は(強いかは置いといて)戦えるくらいにまで成長できた。
少なからず、こまちの存在は大きかった。
というより、こまちがいなかったら────……。
校舎から飛び降りて─────そのまま地面に落ちて、はらわたを散らしていたのかもしれない。
あの一か月前の奇襲のあと、学校どころか町、神奈川県全体が封鎖となった。
そんな中でわたし、火丁あやは、命の恩人であり、師匠であり、大親友である夕夕こまちと二人で……
あちこちを自由に散策しながら、修行することになったのだ。
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わたしの目標
異能を消す。
出来なかったら、逆に強化させるという選択肢は……なくもなくもなくもない。
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そして、
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こまちの目標
力試しで、いつか「第48県」────「乱神県」を自分の手で滅ぼす
……ついでにグルメを食べ尽くしたい
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…………ちょっと次元が違うような気はするが、まあ、放っておこう。
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暗すぎる、部屋。
光ひとつ当たらない、密室。
ギイイイイ、と白い隙間ができて、人影が現れた。深く一礼する。
「失礼致します、一音様。私目より、ご報告が二つございます」
一音と呼ばれた 、輪郭だけ見ると大変恐ろしい形をした「イキモノ」はそれを聞いてピクっと反応し、
───カチッ。
となにかのボタンを押した。
それからしばらく間が空いて、「イキモノ」から醜い声が流れ、何度も語尾を反響させた。
『クククッ……そうかそうか。これは聴いておこう……』
再度、深々と一礼する人影。
「ごほんっ。───まずは一つ目……『スカラー』を───『スカラー大佐』を処刑致しました。今回は毒ガスを用いました……」
それを聞いた瞬間、部屋の奥から、小さな女の子の声がした。
「嘘っ!? おじさんなんで───」
「一音様ッッッ!!!!」
女の子の苦情を遮るようにして、声を張る人影。またしばらく、重い空気だけが空間を流れた。
それから、小さめの音量で、さっきの野太い声が続いた。
『その訳を述べよ』
「一音様、『スカラー』はあの、『白スーツの嵐』の異能で名をあげた者ですよ。……一音様のお命を狙おうとした無謀者でございます」
『……そうか』
「では二つ目のご報告───ランチを用意して参りました…どうぞお召し上がりください」
「ねえ、あなた」
再び、少女の声がする。
「…ちょっと、逃げないで!!」
「……一音様、なぜ今日はそんなに───変声機を外したがるんですか!?……まあ早く、仰ってください」
「あなた────わたしのこと、愛してる?」
その言葉が下りたとたん、暗い部屋の入口に立っていた男は言葉に詰まり、後ろに下がりながら怒鳴った。
「一音様ッッッ、私目と一音様は『そのような』関係ではありませんッッ!!! もうお願いしますから……それ以上───『愛する犠牲者』をお増やしにならないでくださいッッ!!」
沈黙。
男の言葉に怒りを覚えたのか、少女は、
「あっっそ」
と吐き捨てた。
全身を、震わせる男。もう一歩後ろに下がってから一礼し、
「『ダイヤの爪の少女』のお披露目会もお用意が出来ました。……生き取りに成功しましたのでぜひご覧……」
「もう出て行って!!!」
「……わかりました。では、これで……」
────キイイイイ……。
大きなドアが閉まり、また暗闇に戻る。
ねえお母様。
一音ね。
変声機つけられて。
話す内容はだいたいボタンを押して流して。
なのに誰も愛してくれないの。
「ねぇお母様───なんでみんな一音のことが嫌いなの?」
その返事をするように。
我が娘を抱擁するように。
天井からドロドロした、人型で紫色の肉塊が垂れてきて。
優しげに、そしておぞましげに少女を車椅子ごと包んだ。
心無・手無・一音、九歳。
──異能力者にして、乱神県最高権力者。
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「こまちちゃんに問題」
「ほいほい」
「わたしの『ランタン生命体』の中で、いちばん有力な動物はなんでしょうか!」
「んー、ハムスター? ほら、最近あやちゃん、修行のときだいたいハムちゃんを作ってるし」
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発展技──『夜叉姫恋心』
自分より弱い発光体をテイムすることが出来る
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「ちがいまーす」
「もーっ。じゃあ……教えて!」
「諦めるの早くないですか!?……まあ直感ですが、『ナメクジ』、……かな」
「なにゆえ?」
「変形できるんですよ、自在に。押し潰しても消えないし、隙間に入れるし」
「………それランタンって言わなくない?」
(まあ、半分生き物ですからね……)
神奈川の港町、川崎。
「銀柳の通り」をぐるぐるまわりながら、次の美味しそうなものを探していた。
わたし、火丁あやと、こまちが手に持っているのは、コンビニで買った、至って普通のアイスクリーム。
わたしはアイスプリンを小さなスプーンで掬いながら、車の通りを見ていた。
苺のアイスバーをぺろっと舐めて、こまちが首を傾げる。
「あやちゃん、どうしたの?」
「いえ、なんでもないですよ。……ちょっとぼーっとしてただけです」
川崎の駅前だからか、うるさいくらいに賑わっていた。パチンコ屋から聞こえる煌びやかな音、車のエンジン音、笑い声。
封鎖しているとは思えない、愉しげな感じだ。
「初めてここに来たので、ちょっとびっくりしてます」
「……あやちゃんが住んでた町とあんまり変わんないと思うけど」
「んー……ここのアパートが小さいなーって」
「おおっ、ついにあやちゃんもあたし基準ですかっ♪」
実は、こうやって川崎に来ているのにも、ちゃんと理由がある。
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わたしの目標:
・一番オシの最新刊のラノベを買う
・異能消去ができる人を探す
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そして、
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こまちの目標:
・グルメを攻略する
・異能力者を探す
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というわけで、一緒にまわっているのだ。
何時間くらい経ったのだろうか。
駅からちょっと離れたところにある、公園。
「ラノベは買いましたし……」
「グルメはだいたいまわったのに……」
ベンチに二人座って、足をブラブラさせる。長く伸びた影が揺れる。
「「異能力者が見つからない……」」
結局ずっと、駅前の商店街をふらついて遊んでいたせいでもあるが、異能を持っていそうな人は一人もみつからなかった。
「異能持ちって……珍しいんでしょうか……」
「んー。あまり実感わかないわ。────おっかしいなぁ…いたはずなんだけど……」
「といいますと……?」
(こまちちゃん、何か知ってるのかな)
ちらりと横を見ると、こまちは小石を蹴っていた。
「……んーとね。前川崎に来た時に、異能を持ってそうな双子を見たのよ」
「……ほえー」
と、その時だった。
「「異能(ポテンシャル持ち)の双子って────うち/おれらのことですか?」」
────!?!?
なんというタイミングだろうか。
重なった二つの声が、真後ろから聞こえてきた。
もしや、と振り返るこまちとわたし。
ベンチの後ろ。
少し夕焼けのかかった青葉が、照り輝く。その日陰。
黒のTシャツにデニムショートパンツ。
お揃いの格好をした双子は、こっちに向かってきた。
「紡ぐとは恋の予感────おれは絲葉純」
「解くとは愛の表現────うちは絲葉素」
「「良かったら……お手伝いしましょうか?」」
いかがでしたか?
お読みくださりありがとうございます♪
次が楽しみですね〜♪




