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10、回想と、図書室と、ランタンの始まり

こんにちは!!


ついに十話目!!回想シーンもこれにて終了です!!

 10、回想と、図書室と、ランタンの始まり





 どれくらい、走ったんだろう。


 分からない。意識が薄れてきているせいで、あまり状況を把握出来ていない。


 ただわかることは、今は夜だ、ということ。


 静かな、街並み。


 背後の追手は、もうとっくにいなかった。


 わたしとこまちは、息を切らしながら、路傍にだらっと体育座りして横に並んでいた。


 ペットボトルを交代交代で飲みながら、息継ぎをする。


 汗だくの時にこういうのがあると、すごく助かった気分になる。


「ハァハァ………今日はここら辺で……休みましょ……」


「でも、どこで寝るの? 汗も一回流したいわ」


「……確かに」


 ふと、公園という手を思いついたが、さすがに言い出せなかった。


 しばらく、わたしたちは黙って夜のさえずりに耳を傾けていた。


 入学式から一ヶ月。


 ということは、春と夏のグラデーションあたりの時期だろうか。


 どうりで、遠くの森が賑やかなわけだ。


「あやちゃん」


 最初に口開いたのは、こまちだった。


「?」


「……『噂の県』って、知ってるよね」


「はい、さすがに。……多分さっきの連中って……」


「うん、多分あの『噂の県』の、特殊部隊」


「なんでわたしたちを狙ったんでしょうか」


「さあねぇ」


 噂の県。


 要は、「第48県」のことだ。


 またの名を────「乱神ミダレガミノ・アガタ」。


 異能力者を集め、独立しようとしている、という噂がある。また、ほかの県から奴隷連れていき、強制労働をさせている、という話もある。


 もしかすると───あの風を操る(であろう)白スーツの男は相当な権力者なのかもしれない。


 そう思うと、どういう祟が当たるのか、いやでも逆に、権力者すらなぎ倒すこまちがいるなら安心かな、という二つの気持ちが混ざりあった。


「実は……」


 こまちが再び話し始める。


「あたしの学校もそれで壊れた。休業中。」


「どうりでずっと家にいて暇そうにしてたんですね」


「ちょっと!? あたしあやちゃんの面倒見たり、あやちゃんの面倒見たり、あやちゃんの面倒見たり…………色々忙しいのよ!?」


「わたしはもう赤ちゃんじゃないので、もういいです〜!!」


「やだぁ♡うちの子反抗期だわ♪可愛い〜♡」


「…………ダメダメな親ですね」





 とりあえず落ち着いたということで、こまちと二人でまずは一泊泊まれる宿を探すことにした。


「そこら辺の家じゃまずいですもんね……」


「一泊なら大丈夫なんじゃないの?……あっ、あそこ良くない!?」


 そう言ってこまちが指さしたのは、白い大きな建物。


 正門は閉まっていたが、裏口に回ると鍵を閉め忘れたのか、「どうぞお入りください」と言っている風に全開だった。


 通ったら垂れてきそうな、廃れた蜘蛛の巣。


 電気がきれそうな、無秩序に点滅する街灯。


  …………たしかに人がいなさそうですね。


「まぁ、別に暴れるわけではありませんし…………入ってみますか?……水浴びはできなさそうですが」


「もちろん♪」






 ランタンの火が揺れる。


 わたしが生産したものだが、もう疲れ果てていたので、明かりもあまり強くなかった。


 たまにつまずくと、ロウソクの火が消えそうになる。


 地面に散らかる本。出版年代を見ると、相当古いものばかりだ。


 古本保管所だろうか。


 図書館にしては、整っていなさすぎる。


 本───とくにラノベを愛するわたしにとっては、なかなか不快な現象だった。


「それでね、さっきの話の続きだけど、────千葉にも侵入しているらしいわ」


「まーたあの『噂の県』、ですか」


「うん。千葉のポートを手に入れたらしいね」


 こまちはそう言いながら、ため息をついた。


 中に入ってからは、ずっと迷路のような本棚をまわっていた。


 どこか寝られる場所はないだろうか。


「あの」


 立ち止まって、わたしが聞く。


「本当に……わたしって───狙われてるんでしょうか」


「残念ながら、たぶん」


「でも、……でもわたし何も……!!」


「あやちゃん、それはまた…………明日にしよ?」


 そう言って笑うと、こまちは大きなあくびした。


 さっきから何度かうたた寝していた。


(気遣ってくれているんだ。)


「そうですね……─────あ、最後に一つ、聞いていいですか?─────なんでこまちちゃんって……わたしなんかを助けようと思ったんですか」


 …………


 返事はなかった。


 完全に眠りに落ちたこまちちゃん。


 わたしの肩に頭を乗せる。


 かすかに寝言が聞こえてきた。


「…………しんゆう…………」


 親友。


 そうでした。


 ……そうですね。


 わたしはくすっと笑って、目を閉じた。


 親友。


 それは、わたしがいままで、ラノベでしか聞いた事のなかった……


 ────魔法の言葉でした。




 ありがと、こまちちゃん。

 ありがと、お母さん、お父さん。


 ────ありがと、まいかちゃん……。


 色んな出会いがあってよかった。


 古本置場の夜、わたしは不思議な夢をみた。


 暖かい日差しが差し込む、こもれびの小道。


 背景に見えるのは、こまちちゃんの家だろうか。


 わたしの左右にはもう二人の少女がいた。


 三人で手を繋いで、何やら楽しそうに話していた。


 夢────────。



「あやちゃん、おはよう!!!」


 眩しい。


 ムクっと身体を起こす。


「……おはようございます……」


 ここは、本の山。ここは、現実。


 こまちが、目の前に立っていた。


「ん〜♡」


 元気そうに背伸びをするこまちの背中をぼうと見つめる。


 それから。


 ゆっくりと立ち上がって────





 ぎゅっ。


「わっ!?」


 わたしは、こまちちゃんを後ろからしっかり抱きしめた。


 それから、真っ白な頭の中から、言葉を見つけて組み合わせながら、笑った。


「また、一緒に────どこかにいきましょ!」


 驚いた顔をする、こまち。


 振り返って正面から、もう一回わたしに抱きついた。それから優しい口調で、


「うん…そうだね」




 …………。



「……とりあえず、家に戻ろっか。汗がベトベトする」


「……そうですね」




読んでいただきありがとうございます!!


いかがでしたか?話が最初とリンクしましたね!!


さてさて、まだまだスタートはこれからですよー♪

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