死を願うほど死は来ない
サラの両親から電話があった。死ぬ間際なのに、警察ではなく俺にかけてきた。俺の仕事がわかってるのかわかってないのかこんな依頼をしてきた
「サラを…たの…む。わたし…た…ちの…むねん…をどうか…」
その無念がサラを遺したことなのか、もしくは自分達のなのか…まぁ"どっちもやらなきゃな。"
サラは今、車の後部座席で寝てもらってる。どこに向かっているのかって?それはすぐにわかる。そう…すぐにな
アメリカ とある組織のビル
「へへっ、金がたんまりだ!」
「政治家の先生はやることがすげぇな。」
「大変です!侵入者が!」
「侵入者…?」
そのビルに入ったのは俺だ。ざっと200人くらいか…誰がやったのか知らないからな。
全員に死んでもらおうか
銃の弾がやつらの頭を貫く。人を殺すのは簡単だ、胸か頭を貫けばいい。そんな簡単なことを200人くらいいる敵は成し遂げられない。遅い…やつらの銃弾が、斬撃が遅い…他の奴らには早いのかもしれないな。だが、このくらいやれなきゃ何でも屋やってねぇよ。
2丁の拳銃が敵を容易く倒してる。それはまるで蚊を潰しているような気分だ。本来ならこんな簡単に人を殺せちゃいけねぇんだろうな。
"やめてくれ!""助けてくれ!"…そんな声も聞こえる。…情けはいらない。人を殺すのもやってる組織だからな。日本で言うなら因果応報かな
階段を昇る。馬鹿な敵はろくな連携もせずにただただ突っ込んでくる。そういう奴らの方が圧倒的に仕事が楽だ。
3階の部屋に入る。その部屋には幹部クラスはあるであろう2人の男がいた。少しは楽しめるといいがな
「お前は誰だ!?」
「ただの殺し屋だ」
「くそがっ!たった1人にやられたのか!?」
「待てよ…こいつはまさか!黒羽の!おのれええええ!!」
怒りのままに一人の男が銃弾を放った。狙いが良くない…銃ってのはこう使うものだ。
「!!……」
声にならぬ声が響いた。もう一人の男は震えてる。幹部クラスの癖して情けないな
「ボスはお前か?」
「ち…ちがう。」
「言わなきゃ殺すぞ」
「と……とある政治家のところに。ば……場所は……」
念の為に場所を教えさせた。まぁ予想通りその政治家の家にいるらしい。さっさと行くとしよう。この男か?命乞いをしてくるが…
この世からもう用済みだ
某政治家宅…
「先生、ささっどうぞ」
「うむ。」
「先生がいれば安心です」
「任せたまえ、私がいれば万が一君達が警察に逮捕されることになろうと無理矢理な理由をつけて釈放してあげよう」
「はい、先生。」
…ターゲット確認。目測4500mか。警備の硬いところはスナイプに限る…。確かスナイプの最高がカナダ特殊軍隊がイスラム国兵士を貫いた3540mだったな。まぁ公式には出せるわけないか、殺し屋の記録なんざ。
ー南南西方向に向けてに2Kmの風、ターゲットの前には数個の建物と木々。さらに窓。窓枠は縦横それぞれ100センチ、さらに十字の枠が中につけられて4つに区切られてる…というところか。奴らの声は事前にしかけた盗聴器が知らせてくれる。会話を読み、呼吸を読み…さらには2人の行動すら読む。当たったのを確認してからでは遅い、すばやく2発…それぞれの頭をぶち抜け。
…なに、緊張することは無い。"いつもの事だ"。
…fire
2発のライフル弾が放たれた。ライフルは改造してパワー、スピード、正確性を格段にあげたが誰にでも当てられる訳では無い。予測が外れることもある。
まずは1発…命中した。政治家の方だ。
「先生!?」
組織のボスが立ち上がった。残念だな…予測済みだ
「!!!!な…にが…」
…終わったな。
数日後…
「次のニュースです。"黒羽の天使"が再び現れた模様です。今回の対象は政治家の△△氏及び暴力団組織で、〇〇氏の事件の首謀者と見られています。警察は〇〇氏と黒羽の天使に何かしらの関係があったとみて捜査を進めています」
お葬式が終わった…パパとママは天国で元気にできるかなぁ?きっと…できるよね。
あの日、眠りから目を覚ました時には病院にいた。そして、リーズさんはいなくなっていた…。あの人に助けられたんだろうな、きっと。パパもママもきっと、あたしに生きて欲しいよね?そう…信じるよ。
この日、普段は顔すら見せないたくさんの親族が来ていた。きっと目的は遺産だろう…所有者はあたしだから莫大なお金欲しさにあたしを引き取りたい人は多いのだろう。
…でも、そんなことをする家族と暮らしたくないな。そう思っていた時、革靴の音が鳴った。やってきたのはリーズさんだった。リーズさんを見向きもせず、親族は言い争ってる
「リーズさん…!」
「引き取り先か。金が欲しいんだろうな」
「うん、そうだと思う」
そして、最終的に決定権はあたしに委ねられた。…もちろん、財産目当てに葬式の時だけ来る親族のところになんて行くわけない。あたしは…
「あたしはこの人の所に行きます!」
「…あ?」
親族の人達はみんな驚いていた。色んな人達が一生懸命説得したけど、あたしはその言葉にお金しか見えなかった…だからあたしはこういった
「明日、あたしの家から好きなのを持っていきなさい!あんた達にはこれで充分よ!!」
そして、あたしはリーズさんを引き連れて出て行った。そして、リーズさんがこう言った
「いいのか?俺の所で」
「…あたしはあなたがいいの。黒羽の天使さん」
「ゴホッゴホッ!?…まさか起きて…!」
「せいかーい。そりゃあ血だらけのリーズさん見たらねぇ。まぁ途中で寝たフリしてたらもう1回本当に寝ちゃったけどね」
「後悔すんなよ。」
そう言ってリーズさんとあたしは家へと帰って行った…。




