死を願うほど死は来ない
―死にたいと思ったことはあるか?生きる理由を考えたことはあるか。それを考えたやつはきっとあれだ。いじめとかパワハラとかを経験してきたんじゃないか?
俺の仕事にそういうのはないだろう。それでも、俺は死にたいと願う。誰でもいい、俺の命に…
お似合いの最後をくれ
アメリカノースカロライナ州
自由の国って言うけどあたしはそうは思わないなー。だってパパやママは仕事で忙しいし。自由とは言えないわ。そうそう、あたしはサラ。14歳のグレード8…え?分かりにくい?安心しなさい、これでも日本のことは勉強してるから分かりやすくしてあげる。日本の中学二年生よ
え?1年ズレてる?もー、めんどくさいから説明省く!自分で調べて!
…仕事ってなんだろう。自由になるために仕事をするんじゃないの?なのに仕事ばかりしてたら自由じゃないよ。そんな私のお家にも仕事をしている人がいるわ。ドアを開けて私はその人の名前を呼ぶの
「ただいま、リーズさん」
「サラちゃん、おかえり」
彼はリーズさん。何でも屋をやってる人で、パパとママがよく家のことを頼んでるのよ。確かに料理はとても美味しいし、優しい人なんだけど…ママの料理が食べたいな。
多分あたしの家はお金持ちなんだと思う。パパもママも政治に関する仕事しているから…
…分かってるそんなこと言ってられないことは。パパとママは世の中を良くするために頑張っているんだから。あたしも沢山勉強して世の中を良くしたい。そのためにニュースを見ることを日課にしてるの。いつものようにキャスターが今日の出来事を話したわ。
「先日、再び"黒羽の天使"が大量殺人を行いました。今回の被害は麻薬を密売していた危険組織で、人々からは喜びと安堵の声が上がっています。警察は"黒羽の天使"の行方を調査しており情報提供者には最大で5000万$を支払うと公言しています。次のニュースです。今日…」
「また黒羽の天使だ…」
最近は黒羽の天使のニュースをよく見かける。手短にいえば殺人鬼、10年くらい前からいたらしいわね。けど、この名前で呼ばれ始めたのはほんの数年前だって。人なのか数人なのかすら分かってないって。だって、今の危険組織確か数百人いたらしいけどその全てを死に至らしめたみたいよ。恐ろしいわね…そんなんだから5000万$の懸賞金がかけられるのよ。多分日本円だと50億円くらいね。
そうこうしていると、リーズさんが食事の支度を終えてくれた。リーズさんはあたしがお願いして一緒に食べてもらってるわ。1人の食事は寂しいからね、仕方なくよ仕方なく。
食卓での話もなんともないものばかりよ。学校のこととかパパたちのこととか。リーズさんのことも聞いたわよ、なんでも、昔料理人として高級レストランで修行していたみたい。辞めるなんてもったいないわ
そして、これが終わったらリーズさんが勉強を教えてくれるのよ。…本当に有能ねこの人。これでほかのところでも仕事こなしてるんだから怖いわね
こうして言って、ママ達が帰るのは夜9時くらいが当たり前。リーズさんはいつものように仕事の報告して帰っていくのよ。
…でも、今日はいつもと違った。リーズさんが帰った後、ママ達が私のところに来てこういったの
「明日は仕事早く終わるから、久しぶりにママがご飯作るわ」
「本当!?」
「ああ、ママが作ってくれるからサラも明日は早く帰ってきなさい。リーズさんには明日は来なくていいって言ったから3人で楽しもう」
「うん!」
とても嬉しかった。久しぶりにママのご飯が食べられるのは嬉しかった…またリーズさんが気を利かせてくれたのだろうか?あの人はいつも気が利く人だ。音楽を奏でてあたしを楽しませてくれたり、好きな献立を理解してそれを出してくれたり、ゲームもわざと負けてくれたり、苦手なところをわかりやすく…
あの人有能すぎて怖いわ。
それから時間が過ぎるのはあっという間だった。人々にとっては些細なことかもしれないけど、あたしにとっては誕生日プレゼントのように嬉しい。…プレゼントが壊されることも知らずに。
帰り道…
「なんで今日に限って時間割が変更なのかなぁ!!」
突然の時間割変更であたしは帰りが遅くなってしまった。家に入ろうとした時、家の窓から全身真っ黒の男2人が飛び出して行った。なんだろうとは思ったけど…こんなことが起きるなんて予想もしなかった。
―家の鍵が開いていた。さっきのこともあり、私は恐る恐る家へ入ってリビングに向かった。そして、私が見たのは…たくさんの豪華な料理と動くことの無いパパとママだった。
わけがわからなかった、パパ?ママ?なんでうごかないの?ねぇ、うごいてよ…ママ!!パパ!!ねぇ!!!
だれか…だれか…けいさつってばんごうなんばんだったっけ。てがふるえて…うまくおせない。だれかたすけて…だれか。
ガチャリ…
「だれ…」
「…こりゃ酷いな」
リーズさんがきてくれた。けど、ふしぎだ…あたしは…そのひとのかおが…あくまにもてんしにも見えたんだから…




