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平和~愛する人との約束~  作者: 柿崎零華
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第2話~初めての出会い~

1945年1月の雪の日、広島県の広島産業奨励館にいた。当時20歳の七尾久は、生まれつき肺が弱く、出兵は出来ないでいた。これは神様のいたずらなのか、全然分からないでいた。

隣で働いていた岡部武男は、中学の同級生であり、心臓が弱く出兵はしないでいた。

そんな二人が、いつもの通りに働いていると、岡部が七尾に声をかける。


岡部「なぁ久」


七尾「なんだよ」


岡部「今日、岡山から新しい女性が赴任してくるらしいぞ」


七尾「女性?」


七尾は笑顔になり、小言で


七尾「可愛いのか?」


岡部「噂だとな」


二人が笑い合っていると、上司の松山が入ってきて、二人に怒りながら


松山「なにしてるんだ」


七尾「あっすいません」


松山が話を変えて、部屋にいた8人ほどの職員全員に


松山「えっと、みんなに伝えたいことがある。どうぞ」


松山からの合図で一人の女性が部屋に入ってきた。すごく可愛らしく、大人っぽい人だった。


松山「今日から赴任してきた、中嶋波子さんだ」


中嶋が一礼をして


中嶋「中嶋です。よろしくお願いいたします」


松山「彼女は、旦那さんが岡山の放送局の役員として務めていたが、今回諸事情で、広島の放送局に異動したということだ。そのことにより、中嶋さんはここで働くことになった。みんなよろしく頼むぞ」


周りの全員が返事をする。七尾は笑顔になり、小言で岡部に


七尾「なぁ、お前の噂本当だったな」


岡部「だろ。あんまり俺の情報網を馬鹿にするなよ」


松山がまた二人に怒りながら


松山「そこ、なにまた何を話してるんだ」


七尾「すいません。気をつけます」


松山は周りを見回し


松山「そうだな。じゃあ中嶋さんは、七尾君の隣だ」


中嶋「ありがとうございます」


中嶋が少し笑顔で、七尾の隣に座る。


七尾「よろしくね」


中嶋に言うと、続けて岡部は


岡部「よろしくな。こいつかなり不器用だから」


七尾「それ言うなよ」


七尾が少し不機嫌になりながら言う。中嶋が笑い


中嶋「中嶋です。よろしくお願いいたします」


七尾は思った。てか少し恋をしていた。こんなに恋をしたのは一体何年振りだろう。いや初めてのような気がするが、でもさっき、夫がいると聞いていて、半ばいやほとんど諦めていた。

でも悟られないうちに笑顔で


七尾「よろしく」


でも七尾は気になったことが一つだけあったので、仕事をしようとしていた中嶋に


七尾「そういえば、中嶋さんの旦那さんって、岡山の放送局に務めてたんでしょ?」


中嶋は急に声を掛けられたため、驚きながら


中嶋「えぇ。そうですけど」


七尾「なんで、中嶋さんはここに働こうと思ったの?。旦那さんが広島の放送局に働いているのなら、同じ場所に働けばよかったのに」


すると中嶋が暗い顔をし黙りだした。七尾は聞いちゃいけなかったのかなと思い


七尾「ごめん。聞いちゃいけなかった?」


中嶋は再び笑顔になり


中嶋「いえ、大丈夫ですよ。何だかここの町が気に入って、そしたらここがあって、それで余計気に入って来ただけです」


中嶋がそのまま仕事をし始める。七尾は思った。町が気に入ったから、顔を見るとそんな理由じゃないと。しかし、時間は過ぎ、昼の12時を過ぎて、昼休みの弁当を中で岡部と一緒に食べていた。


岡部「はぁ疲れたー。仕事ろくでもないのばっかだな」


七尾「あんまりそういうこと言うな」


岡部が返事をして、笑顔で白飯を口に入れる。七尾も、自分で作った白飯を口に運ぼうとすると、前を中嶋が通り、近くの外にある、屋根下の椅子に座った。


岡部「なぁなぁ」


岡部が小言で弁当を置いた。


七尾「なんだよ」


七尾が小言で返す。


岡部「あの人、気になってるんだろ?」


七尾「そんなことないよ。でも、別の意味で気になってるかもな」


岡部「は?」


七尾は中嶋をただ見る事しかできなかった。聞きたいことは山ほどあるのに。

夜・中嶋は広島の中心部にある自宅に戻ってきた。自宅は至って広く、さすが役員らしい立派な一軒家の2階建てだった。


中嶋「ただいま」


玄関を開けると、自分の子供の泣き声が聞こえた。急いで駆け付けると、まだ幼い息子の憲治が大声で泣いており、すると、夫の牧男が近づいてきて


牧男「おう、帰ってたのか」


中嶋が怒りながら


中嶋「帰ってきたじゃないでしょ。憲治が泣いてるじゃない」


牧男「うるさいな。そんなのどうでもいいじゃないか」


中嶋「は?。ご飯はあげたの?」


牧男「忙しくてな。あげる暇はなかった」


中嶋「だって今日一日休みじゃない。私が忙しいんだから、ちゃんとご飯あげてって言ったじゃない」


牧男が近くのお茶碗を投げて


牧男「黙れ!。俺を誰だと思ってるんだ!。時期広島放送局長だぞ。そんなやつにそんな口を利くな!」


そういい、2階の部屋に行ってしまった。中嶋はずっと泣きながら、離乳食を作っていた。

それから月日は流れ、半年が過ぎた、原爆投下5日前の8月1日のことだった。

それまでは中嶋は、何事もなく仕事をしていた為、ずっと中嶋の事が気になっていた七尾も、次第に薄れ、仕事を全うしていた。

すると、外出して帰ってきた岡部が、七尾の肩を叩いた。


七尾「なんだよ」


岡部「ちょっといいか?」


七尾はふと感じた。岡部が何か重要な情報を見つけると、こういう顔をしたなと、気になり近くの誰もいないところに行き


七尾「なんだよ」


岡部「ちょっと気になる情報見つけたんだ」


七尾「え?」






~第2話終わり~


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