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逃亡。そして、目標。

運の無さから生まれた最悪の状況に一筋の光が刺した。キュウという謎の妖精に好かれたおかげで、この窮地から逃れられるかもしれない。2人で示し合わせ、キュウは停止させていた時を再生させた。

僕の思いついた作戦はこうだ。先ず、奴らの背後へと周り、覚えたての重力魔法で敵の動きを鈍らせる。いくら上級魔法と言えど、簡単に解かれてしまうだろう。その僅かな時間の間に全員で一斉攻撃をし、キュウに少女だけの時を停止させてもらう。キュウ曰く、1人だけを停止させる事も出来るらしい。何ともチート臭い魔法である。ただ使用出来る時間が短いというのが欠点だろう。1番の肝は皆が即座に判断してくれるかどうかだ。蒼太はともかく、洋七郎と俊平は不安だ。ただでさえ、パニクっているのに、冷静に攻撃なんて出来るのだろうか。だが、全員が助かるにはこの方法しかない。そして、時は再生される。


「うおぉぉらっ!!」


拳が振り下ろされ、地響きが起きる。あんなもの喰らったら、しばらくの間、動けなくなるどころか死ぬんじゃないか?という疑問はさておき、重力魔法を最大出力で唱える。

すると、不意をつかれたデオウ一行は呪文にかかり、膝を落とす。その瞬間に僕は叫んだ。


「今だ!攻撃しろ!早く!」


何が何だか分からない状態のため、瞬時にとはいかなかったが、蒼太は僕を見た瞬間に、とりあえずという感じで攻撃を開始した。そして、案の定、洋七郎と俊平は動けずにいた。しかし、蒼太が


「おい!お前ら早く動け!よくわからんけど、早く!」


しかし、洋七郎は動けなかった。俊平は様子を伺うように動き出した。その最中、キュウは呪文を唱える。


「よし!行くよ!」


そして、少女が完全に動きを停止し、意思疎通が取れなくなった事に驚くデオウ一行。僕は重力魔法を唱えた状態で皆の元まで走り、向かう。


「よし、行ける!今だ!早く逃げるぞ!皆も逃げながら、攻撃を続けて!」


デオウ一行は重力魔法に逆らいながら、こちらへ攻撃を始めた。


「何なんだ、、、これは。」


爬虫類顔の男が苦しみながら、呟く。しかし、その手には攻撃魔法が準備されている。化け物かコイツは。


「デオウ様、ナターシャが動きません。。。」


前髪重めが報告。


「おのれぇ、、。やってくれるな。。」


デオウがこちらを見ながら、ニヤリと笑う。そして、次々と攻撃を繰り出し、いくつかの魔法が僕達に当たった。


「ひぃ。何なんだあいつ。何であの状態でバンバン攻撃してくんだよ。」


「俊平いいから、洋七郎を引きずって逃げるぞ!」


そして、その状態をキープしながら、洋七郎を引きずり、遺跡を脱出し、少し離れた平原の先にある森に逃げ込んだ。全員息を切らし、普通の汗なのか冷や汗なのか分からないが、全身グッショリで、心身共に疲弊していたようだ。そんな中でも洋七郎はまだ事態を飲み込めていないようだった。


「ったく、洋七郎。もうちょっとまともに動いてくれよ。お前デブだから重いんだよ。」


「おい。俊平、お前もあんま変わらねぇぞ。」


「いやいや、途中からはちゃんと攻撃してたし!ってか蒼太も攻撃外しまくってたじゃねぇか!」


「は!?何だと!?」


「まあまあ、助かったからいいじゃない。洋七郎も落ち着いたか?」


僕が布きれを渡すと、受け取り、ボソボソと話し始めた。


「う、うん。ごめんね。ありがとう、孝。僕、まだ震えが止まらないよ。あんなの怖すぎるよ。」


温厚で温室育ちの洋七郎には堪えたようだった。無理もない。僕も余裕がなかったし、他の皆も無理矢理動いていただけで、蒼太も魔法を外しまくっていたし、俊平も呪文をまともに発動出来ていなかった。僕は停止されている時の中で、準備が出来ていたが、他の皆は突然目の前の出来事が変わった上に、敵からどんどん攻撃が繰り出される。そんな状況の中でも、よく動いてくれた方だった。僕も途中からはパニクりまくって、思い描いた作戦なんか忘れて、無我夢中で逃げていた。漫画やゲーム内のようには、いかない。平和な世界で過ごしてきた僕らはつくづく非力だと思い知った。


「てか、どうなってんだ。拘束されてぶちのめされると思ったら、いきなり孝がデカブツの後ろに回って、魔法かけてた。しかも、あの女が途中で、完全に動けなくなってた。どういう事なんだ?」


「ああ、それについては俺から説明するよ。キュウ、自己紹介を頼む。」


走ってる最中に僕の懐の中で小さくなって入り込んでいたキュウがその姿を現した。


「やあ!僕は時の妖精キュウ!よろしくね!皆、僕のおかげで助かったんだよ!」


決めポーズと満面の笑顔を皆に披露。皆の顔には?が浮かび上がっているようだった。そして、1から僕が説明し、理解してもらった。


「そんな急展開に追いつける訳ないよ。もうホントに訳わかんなかったんだから!」


俊平の気持ちの籠った叫びがこだまする。


「てかキュウは何で孝の事を気に入ったんだ?」


蒼太が質問する。


「だって、異世界からきた人間で、空間系の魔法が得意という色が見えたんだよ?面白そうじゃん!」


「何で異世界からきたってわかったの?」


「僕は人の色を見ることが出来るんだ。その人の持ってる資質や、性格なんかの色だね。それで君達は前に異世界から来た人間と同じ色をしてた。まあ、もう帰っちゃったらしいけどね。だからだよ。」


「え?前にも異世界から来た人間がいるの?」


驚きの事実だ。僕達だけではなく、同じ世界からこちらへやってきた人間がいる。そして、帰還する事が出来ている。今までで1番嬉しい情報だ。


「いるよ。でももう何年も前の話しさ。だけど、変な色してたから、話した事はある。変わった奴らだったけど、すごく強かったし、確か龍王にもなったはずだよ。」


「ええ!マジで?それって調べたりする事出来る?」


僕達はキュウが驚くほど、食いついた。


「う、うん。ここからちょっと行った所に龍王についての博物館とか言うのがあったから、そこに行けば分かるんじゃない?」


「よし、そこへ行こう!そいつらの事がわかれば、俺達も帰る方法が分かるかもしれない!てか、実際に帰ったんだから、方法はある!希望が見えてきた!」


手探りだった僕達にはやっと明確な目標が見えた瞬間だった。皆、が嬉しそうにしている様子をキュウは微笑ましそうに見ていた。


「それじゃあ今日はここで休もう。明日にそこへ向けて、出発だ!」


意気揚々と明日の準備をし、僕達は今日の疲れを癒すのだった。


一方、遺跡では、、、


「デオウ様、奴らと行動を共にしていたのは時の妖精で間違いありません。この目で確認しました。」


「私の動きを封じたのは、私の時のみを停止させたからだと断言致します。」


爬虫類顔の男ロウの鋭い洞察力。そして、少女ナターシャの経験談から、正解へ導く。


「奴らを追いますか?」


前髪重めのマシューがデオウに問う。


「いや、構わん。だが、この借りは必ず返してやる。。。」


玉座に座ったデオウがニヤリと笑みを浮かべる。

あけましておめでとうございます。

年末年始に僕はインフルにかかり、なんやかんやで投稿がだいぶ遅れてしまいました。すみません。

皆様、健康には十分気をつけてお過ごしくださいませ。

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