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マジカル☆ロワイヤルRED  作者: レッドリーフ
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第7話

☆ガンナー


 キャスターと共に行動を始めてからかなりの時間が経過した。この魔法少女は、個人的な好き嫌いはともかくとして、かなり役に立つ存在であることは確かだった。昨夜も、何もない砂漠ゾーンでどう眠りにつくか迷っているガンナーに、スキルらしき力を使って砂を固め、擬似的なかまくらのようなものを作ってくれた。

 そして、マジカル☆ロワイヤル2日目が始まった現在、キャスターは砂漠エリアの強い日差しを緩和するバリアのようなものを貼ってくれている。このバリアは昨日このエリアの暑さに苦しんだガンナーにとっては大変ありがたいものであった。しかし、ここまで有能だとどうしても疑問が出てくる。


「ねえ~、アンタのスキルって一体なんなの? 万能すぎてキモいんだけれど」


「そ、そんなたいしたものじゃないですよ~!!」


 キャスターはそういって手と耳をフリフリと大げさに動かすが、これまでにガンナーが確認しただけでも、『怪我の治癒』・『かまくら形成』・『日光バリア』など多岐に渡りスキルでしか出来ないようなことをやってのけている。果たしてこいつは馬鹿のフリをした有能か、それとも有能な馬鹿なのか。後者なら扱いやすいのだが、前者なら傍に置き続けることは危険を伴うかもしれない。

 ガンナーは、この同行人の本性を見極めるためにしばらく観察を続けることにした。そして、一時間ほど観察してみて判明したのは、キャスターの頭の狐耳が左右で非対称的な動きをするというしょうも無い発見のみであった。

 

「あ、あの⋯⋯なんかさっきからずっと視線を感じるんですけれど」


「うるせえ黙れ時間返せ」


「なんで!?」


 結局、何一つキャスターについては分からなかった。そもそも、何故ガンナーがこんな奴のことについてあれこれ考えなければならないのか。改めて考えると馬鹿らしくなってきた。隣で無駄にオロオロしているキャスターの尻を蹴飛ばし、はぁ~っと大きなため息をついたガンナーは、その時初めて視界の端に誰かが映っていることに気付き、ピタリと動きを止めた。

 脳裏によぎるのは、昨日のガードナーとの邂逅だ。殺されかけた恐怖と怒りは、今でもガンナーの心の奥で燻っている。もしあそこに居るのがガードナーだとするならば、今度はこちらがやり返す番だろう。

 この位置ではまだ相手の顔を確認することはできない。さらに蜃気楼のせいで歪んだ姿で映っており、コスチュームもはっきり分からない状態だ。しかし、逆に言えばそれは相手もこちらの姿を判別できないということである。ガンナーは、キャスターの腹を殴って無理矢理地面に蹲らせると、「動くなよ~」と命令し、彼女の背中の上にスナイパーライフルを出現させた。

 もちろん、スキルを発動させて音を消すことも忘れない。今から行うのは、遠距離からの一方的な虐殺だ。相手の悲鳴が聞こえないのは残念だが、これで少しはこの胸にたまった淀みも晴れることだろう。

 相変わらず視界の歪みが酷く、とうとう遠くに見える魔法少女らしき影が複数に見え始めた。しかし、それなら見える影全てを狙えばいいだけだ。この際ガードナーでなくても構わない。今はただ、誰かを殺したい気分だった。


「じゃあね~、どこの誰だか分からない魔法少女ちゃん!」


 音もなく放たれた銃弾は真っ直ぐにその影へと伸びていった。そして、今度は銃弾が途中で止められるようなこともなく、無事その影を撃ち抜くことに成功する。その証拠に、影が地面に倒れるところまでしっかり確認した。

 しかし、ガンナーの心に喜びはない。むしろ、湧き上がってくるのは違和感と危機感だ。ガンナーの視線の先には、倒れた影の他にもまだ数体の影が立っていた。どうやらあれは蜃気楼による幻覚ではなく、本当に影が複数立っていたらしい。

 

「ちっ、まずいね⋯⋯」

 

 先程の銃撃でガンナーに気付いたのだろう、影の集団がこちらに近づいてくるのが分かった。今のうちに逃げるべきだろうか? いや、これはむしろチャンスだ。集団で来るのなら、全員撃ち殺してしまえば問題ない。ピンチをチャンスに変えるのは優れた人間の特権だ。そして、ガンナーは優れた人間であると自負していた。

 スナイパーライフルを二丁のマシンガンへと切り替える。銃の形式の変化はイメージだけですぐ出来るので大変楽だ。そして、そこからはただの乱射だ。狙いなどは一切つけない。しかしその破壊力と殺傷力は恐るべきものとなることは魔法少女になる前から知っている。


「ひゃっはーーーー!!! ミンチにしてやんぜーーー!!!」


 心地よい音こそ今はしないが、手に伝わる衝撃だけでガンナーのテンションは一気にハイになる。この感覚は初めて銃を握った時から一ミリも変化することはない。ガンナーにとって銃とは最早恋人とも呼べる存在だ。銃を握るだけで興奮が止まらないし、あの発砲音を聞く度に全身をエクスタシーが這い回る。特に好きなのはマシンガンだ。無心で撃ち続けるだけで飛び散る肉片と血飛沫を見られるなんて素晴らしい武器は他にないだろう。

 そして、今回もそんな楽しいショーを見られると期待し乱射する。しかし、目の前の魔法少女らしき存在は一筋縄ではいかなかった。なんと、最初にガンナーが遠距離からスナイプしたらしき死体を肉壁にしながら突進してきたのだ。そして、顔が認識出来る距離までその魔法少女が近づいてきた時、ガンナーは初めてその特異性に気付き言葉を失った。

 肉壁になっている魔法少女とその影に隠れる魔法少女、そしてその隣に併走する魔法少女⋯⋯その全員が、全く同じ顔をしているのだ。いや、ただ1人肉壁の影に隠れる魔法少女は先程から顔を怒りに歪めて何やら叫んでいるように見える。一体アレは何を叫んでいるのか。純粋な興味に駆られ、ガンナーはスキルを解除した。


「おいてめぇよくもこの俺様の美しく整った顔に傷をつけやがりましたわねこらはぁん!? おけつの穴から手突っ込んで大腸握りつぶしてあげましょうかこらあーはぁん!!?」


 そこまで聞いたところでガンナーは再びスキルを使用した。どうやらなんともヤバい奴に攻撃を仕掛けてしまったらしい。しかも、そのヤバい奴はただでさえヤバい上に数でも5倍だ。流石に勝ち目はなさそうだと思い逃げようとしたその時、ガンナーは自分の足が接着剤のようなもので地面に固定されていることに初めて気が付いた。


「⋯⋯は? これ一体なによ!?」


 こんなことが出来る人物に思い当たるのは1人しかいない。そして、いつの間にか姿を消していることからもどうやらこれをやったのはその人物⋯⋯キャスターで間違いないようだ。


「あんの野郎⋯⋯!! 逃げやがったな!!」


 青筋を浮かべて暴言を吐くもそれを受け取る相手は居ない。居るのはもうすぐそこまで迫って来ているヤバい魔法少女だけだ。

 動けない足、数の暴力。ガンナーが勝てる確率は限りなく低いだろう。しかし、そんな状況でもトリガーに指をかければ忽ちハイになれる。どうせ死ぬのなら最期まで自分らしく自由に生きてやる。その決意を胸に、ガンナーは目をギラギラと光らせて奇声を上げたのだった。


「かかってきなよ、ひゃっはーーーー!!!!!」


〇〇〇〇〇


【脱落者のお知らせ☆】


 ガンナーとセイバーが戦い、セイバーが勝利しました!

 狭い世界で狭い視界しか持てなかった愚か者は結局味方に騙され死に、そしてヤバい奴はヤバいまま暴れることでしょう!! うん、ヤバいね☆


〇〇〇〇〇


第7話:『ひゃっはーーー!!!』


もっと文字数増やした方がいいかしらん? 次回は一旦番外編挟んだ後、キャスター視点やその他もろもろに移りますよ~!

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