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マジカル☆ロワイヤルRED  作者: レッドリーフ
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第8話

ちょっと短めだけれど許してよ~

☆セイバー


「⋯⋯ちょっとお前ら、全員集合してくださる?」


 セイバーはそう言って自らの分身に周りを囲ませた。数人で輪になって行うことと言えば、弱い者苛めか作戦会議であると相場は決まっている。そして、セイバーは弱者ではない以上、今から行うのは作戦会議に他ならなかった。


「さっき俺様はガンナーを殺したらしいのです。しかし、俺様には気になっていることが1つあります。それは、俺様がガンナーを見つけた時、傍にもう1人魔法少女が居なかったかということ。⋯⋯居ましたよね?」


 当然ながら、分身は喋ることが出来ないのでセイバーの問いに返事がくることはない。しかし、そのことをすっかり忘れてしまっていたセイバーは、いつまでも返事を寄越さない自分の分身にぶち切れた。


「俺様が質問しているんだから早く答えろやこんちくしょーー!!?」


最も近くに居た分身の首をちょんぱし、噴水のように吹き出る血を浴びたことで再び冷静になれた。鏡に負けず劣らずピカピカに磨き上げられた剣に血に濡れる自分の姿を確認し、絵画の如きその美しさに見とれること数分。すっかり機嫌が戻ったセイバーは、ようやく先程分身達に投げかけた疑問を自分で見当してみることにしたのであった。


「そうですわ、俺様のこの目でしっかり確認したんですもの。あの時確かに、魔法少女はもう1人居た⋯⋯。でもいつの間にか姿を消していたということは、スキルでも使って逃げやがったのかしら? もしそうだとしたら⋯⋯俺様、ちょっぴりピンチじゃない!?」


 セイバーは自分を取り囲む分身をじっと見つめる。そして考える。もし他の魔法少女がセイバーのこの分身達を見たらどう思うであろうか? おそらく全員がその造形美に見とれた後、こう思うに違いない。『あれ、セイバーのスキルってこの分身を作ることなんじゃね?』と。そこまで思考が行き着いたところで、セイバーの額からたらりと冷や汗が垂れた。

 ちょっぴりピンチどころの話ではない。もしガンナーと一緒に居た魔法少女がセイバーのスキルを運営にメールで報告してしまえば、セイバーはその時点で罰を受けることとなってしまう。それだけは断じて阻止しなければならない。セイバーという存在を失うことは、この世界の⋯⋯いや、宇宙にとっての損失だ。


「よしお前ら、宇宙のためになんとしてでもさっきの魔法少女を見つけるんですわ! 見つけた奴にはご褒美を、見つけられなかった奴は首ちょんぱデスホールドの刑に処すから覚悟しとくんですぜ!!」


 セイバーは分身に指示を飛ばし、自らも全速力で走り始めた。その時には、セイバーは既に自分が目的の魔法少女を見つけるビジョンしか見えていなかったのであった。



☆キャスター


「さて、さっきガンナーを殺してくれた魔法少女は、いつ私を見つけてくれるかな~。なるべく早く見つけてくれると助かるけれど⋯⋯」


 キャスターは手元のスマホを弄びながら、1人暇をもてあましていた。その余裕たっぷりの様子は、先程までガンナーにびくびくしながら従っていた魔法少女と同一人物とは到底思えない。それもそのはず、キャスターはさっきまでわざと気弱な魔法少女を演じていたのだから。

 キャスターがガンナーの前で猫を被っていた理由。それは、キャスターに与えられたスキルと、課せられた特殊な条件が影響していた。


〇〇〇〇〇


 魔法少女なら魔法を使ってなんぼでしょ! 天才魔道士は万能なの! 君の名前は魔法少女『キャスター』だよ☆

 『キャスター』のスキルは『万能魔法』って力!! 貴女がしたいことならなーんだって、魔法の力で実行出来ちゃうんだ☆


〇〇〇〇〇


 キャスターに与えられたスキル、それはその名の通りまさに万能と呼ぶに相応しいチートスキルだ。傷の治癒から物質の固定、転移まで何でも思い浮かべた事象をなんでも魔法で起こすことが出来る。しかし、運営がこんなチートスキルを無償で与えるわけがない。この強力なスキルには、当然ながら鬼畜な条件が定められていた。

 その条件とは、『自分自身以外に対する攻撃の一切禁止』。この条件が定められているせいで、キャスターはマジカル☆ロワイヤルという殺し合いとほぼ同意義なゲームにてその行動の多くが制限されてしまうことになってしまったのだ。

 マジカル☆ロワイヤルにおいて最後まで勝ち残り願いを叶えるためには、他の魔法少女を殺す必要がある。そのため、殺しが禁止されているキャスターが願いを叶えるためには、誰かと同盟を組み、その相方に殺しを任せるしか方法がないのである。

 その点、ガンナーは相方として非常にやりやすい存在であった。適度に強く、そして適度に知性が低い。キャスターが気弱な魔法少女を演じてびくびくしていれば勝手に優越感を感じてこちらを支配したつもりでいた馬鹿な奴だ。

 そのガンナーが殺されてしまった今、キャスターは新たなカモ⋯⋯いや、相方を見つける必要があった。しかし、キャスターに焦りはなかった。既に新しい相方には心当たりがある。しかも、きっとその相方はこちらが探さずとも向こうからやって来てくれるはずだ。


「ああああ!? ようやく見つけましたわよ魔法少女ぉぉぉぉ!!!! 俺様は分身なんてスキル持っていませんからねぇぇぇぇ!!!!」


 ――ほら、カモがネギを背負ってやって来た。遠くから聞こえてきたその叫び声に、キャスターはにんまりと口元に笑みを浮かべた。さあ、あの魔法少女がここまで来たら土下座でもなんでもして命乞いをしよう。そしてキャスターのスキルの一部を見せつけ、自分と同盟を結ぶメリットをあの見るからに小さな脳味噌に叩きつけてやるのだ。それがダメなら運営にメールを送りつけると脅してもいい。どちらにせよ、キャスターはほぼ確実にあの魔法少女と同盟を結ぶことが出来るであろう。


 そしてその数分後、キャスターは見事作戦通りにセイバーと同盟を結ぶことに成功したのであった。


第8話:『カモがネギを背負ってやって来た』

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