表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/8

【778】叫び声ちとともに…

『おやおや、お二人さん、仲良い(ラブラブ)ですね。何話してんですかー?』

 二人が振り返ると、声の主であるクロはニヤニヤしていた。


『な、何言ってんの、クロ!ほら、さっさと階段おりて先にアレ用意しといてよ、ね?』


 (コウ)は、クロの発言を否定する。


『はーい、はいはい。分かってますよ。じゃあまたねー!』


そう言うと、彼はダダダッと素早く階段を降りて逃げて行った。


『あはは……』

コウは苦笑しながらクロが足早に階段を降りていくのを眺めてた。

『ああいうの言われ慣れてないんで反応に困りますね。っと、危な!』


 階段おりている最中に、つんのめり階段を転げおりそうになった私を支えたのは、コウではなく知らないおじさんだった。


『大丈夫!?ナナハちゃん…かな?さっきハルたちから聞いたよ。おれはユハ。吸血鬼…っていうのかな。心配しないで。急には(・・・)噛んだりしないし。よろしくな!ハルとは、旧知の仲っつうか…まあ、そんな感じ。おれもハルと同じく元・魔王軍の一員なんだ。コウ、どうしたんだ?』


 不覚にも、目の前の男性がかっこ良いと思ってしまった。おじさんだけど。

 ハルさんと同じってことは、ハルさんもこれぐらいのおじさんなんだな。……あの見た目からは全然想像できない。


『う、うるさい!ユハには関係ない!さっさと階段おりて、食事の間に行ってこい!!相変わらず時間っていうの考えてないんだから。このままだとハルにもっと怒られるか嫌われる羽目になるぞ。きをつけろよな』

『へーへー。若人(わこうど)は良いですね~。では、失礼しますね、可愛いレディーちゃん』


 あ、だめだ。うっさんくさいおじさんに見える。


『ユハさんって個性的な人ですね…。癖が強いっていうか…』

『そうなんだよ!分かる!?他の人は、あれが吸血鬼だっていうんだけどさ!俺は、絶対ああいう人格なんだと思うな~。ナナハは?』

『私は分かんないですね…。初めて会ったので…』

 つまらない回答だったろうか。内心焦るが後の祭りだ。

『そっか。まあそういうもんだよね。さ、着いた。ドア、開けるから少し下がってね』


 ギシイィィッと、自分の背より3倍ほど高いドアを金色のノブでゆっくり開けた。

 食事の間には幼稚園生がすでに集まっており、こちらを見た瞬間クラッカーのようなものをパンッと割ったあと


『ようこそ、コロシア幼稚園へ!

初めまして、ナナハ・コロアちゃん。

我らの館長と、ラブラブですね!いっそそのまま結婚したらどうでしょうか!』


と爆弾発言を落とした。




『お前らいい加減にしとけよおぉぉぉっ!!!!!』



 

 最後の一言でコウは、ぶちっとキレた。

 そして彼の叫びが洋館中に響き渡り、外にいる鳥が数羽、飛び去った。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ