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下級悪魔の退治の後で

『ギャアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーー』


悪魔の男のような金切り声が森中に響き渡った。どうやら何者かに急所をやられたような声だ。





『く、くそお。何で何で何で、なんでだ!貴様らは一体何者(なにもん)なんだ!俺を殺す事が出来るなんて……‥』


上級悪魔が、真っ赤な返り血を浴び白い服が赤黒く染まっている服を着ている三人の幼子のような者を地面から見上げる。


『僕らは、コロシア幼稚園に通う人さ!おじさんも運が悪いね〜。ハルがいる時に、僕らに出会うなんてっ。か・わ・い・そ・うっ!まだ(クロ)だけの時だったら見逃してあげたのに』


その言葉とは裏腹に、その(クロ)は満点の黒い笑顔だった。


『コロシア…幼稚園?そんな所、聞いたことがないぞ!それにお前たちの腕前と外見は幼稚園児とはおど遠いではないか!!!技術に関しては少なくとも殺し合いをする所にいたかのような…』


上級悪魔はそう三人に言った。


『クロ、茶番はお(しま)いだ。

…はあ。よく聞け。オレは魔王に、身長が小さくなる丸くて黒い苦い薬を無理やり飲まされたんだ!あのクソヤロォめ…。もし薬を飲まなかったらオレの息子を殺すとか言いやがって!思い出すだけで胸糞わりぃ』


ハルがムキイィー!となるのを横目に見ていた女の子が、死にかけの上級悪魔に補足説明をする。


『ハルさんは、魔王さんの忠実な家来だったのですよ。魔王さんの大のお気に入り。でも、魔王さんが《息子生贄契約(ムスコイケニエケイヤク)》を強制的にさせた時から、二人の中はこじれてハルはあなたのような魔王さんの家来を大量に殺すようになったんです』


彼女の目には、感情がない。でも、口や眉は忙しなく動いている。


『へえぇ。で、魔王様はそんな事をして何か言わないのか…?』


クロとハルは、黙って二人のやり取りを静かに見る。


『何も言わないですね…‥。さて、私も黙り続けていたので喋り過ぎましたね。今までよく生きてましたね、お疲れ様です』


そう言いながら彼女は鋭利な刃物を持ち上げる。

次にズシャッという音とともに上級悪魔の頭と体が分離する。


『はは~。相変わらず、怖いね、ナオ。さあ、ここら辺にいる悪魔たちは消したし、また出たら次の出張の…班が何とかしてくれるでしょ。さ、幼稚園に帰ろうよ!』


『今回、お前は何にも役に立たんかったな。からの報酬は、オレとナオで分けるからな。さてと、帰るか』


『何か最初の方が、余分な気がするけど!ふん。僕は弓矢の道を歩いているんだからねっ!』


ぎゃあぎゃあ騒いでいる二人の傍で、ナオはふわふわの獣耳をピクピクと動かして『黙って、雑魚たち…』と二人を黙らす。雑魚たちと言われた事に二人はむっとしたが、彼女が放つオーラで怒れなかった。


『私の位置から、七時の方角…。女の子…かな?誰か、近くに居る。でも相手に殺意のようなものはない…。探してみようか。あ……、もしかしたらコウと同じ《あの世からの素敵な贈り物》かも!!』


彼女(ナオ)は、尻尾を激しくふりふりしているので、はたから見ると可愛いが、頭の中は絶対にヤバい事を考えているだろう。


『じゃあ、行きますか~。あーあ、早く幼稚園に帰りたいよー』

『だろうな。お前は幼稚園教だからな』

素早くハルは反応する。

『何それ!宗教みたいに言わないでくれる??』

クロとハルは一分もしないうちに、ぎゃあぎゃあ騒ぎ始めた。



『ああ五月蝿いな…。これだから“精神だけ男の子”ってやつは苦手なんだよ……』



静かに彼女(ナオ)は毒付いた。







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