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悪役令嬢は賢妃を目指す  作者: りのみ
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ある女官の自供。

ヴァンディミオン殿下に対してまだ何か言いたそうだったカロリーヌ様を部屋に残し、気を失っている女官を隣の部屋に連れ込んだ。

そして、医師に聞いたところ患者はベッドに寝かせておけばそのうち目を覚ますと聞いて皆を部屋から出した。


「セシリア、カロリーヌは本当のことを言っていると思うか?」


ヴァンディミオン殿下の質問に対し


「いえ、まったく。皇后陛下に対してのことは本当でしょう。ですが、皇后陛下に対しての態度で不敬罪を問えるかといえば微妙なところです。そして、その他のことは大臣や女官の責任にするつもりでしょう。大臣が自分を残して逃げようとしたことを知って保身に走ったのではないでしょうか?」


皇后陛下が不貞を疑われたのは周知の事実で、それに対して処罰をしようとすればランスロット帝国の大半の貴族を調べなければならなくなり、皇后陛下に対しての態度を問えば、皇后陛下自身の言動も問題になってしまう。

だからカロリーヌ様はそこだけを自分が悪かったと言ったのだろう。


「そろそろ女官を起こしませんか?」


そう提案すると、ヴァンディミオン殿下は頷きルシフェルトが女官を起こす。

腕を縛られているため暴れても問題ないだろう。

ルシフェルトにより起こされた女官が床の上で目を覚またので


「そこに座りなさい。」


と私が声をかけると、何が起こったかまだ理解できていないのだろうがとりあえず起き上がる。

目をうろうろと彷徨わせている女官に対して


「何があったか覚えているか?」


とヴァンディミオン殿下が声をかけるとそちらを向き、はっと何かに気づいたように身体をかたくする。


「カロリーヌ殿とはもう話をした。全て大臣の指示であり、自分は止めたがお前が実行したと言っていた。」


そう言われて、女官は絶望を顔に浮かべる。


「だが、複数の人間が事件を起こした際、一人だけの話を鵜呑みにはできない。そして証言には身分の差はない。」


その言葉を聞いて何かを考える顔になった。


「ヴァンディミオン殿下は、そこに横たわっている女官の話も聞くつもりです。今回のことは徹底的に事実を調べるつもりですからあなたが隠し事をしても無駄です。あなたが知っていることの全てを私たちに話してください。」


そう私が言っても女官は難しい顔をして黙っている。


「カロリーヌ様は自分は悪くないと言っていますが、父である大臣も捕まり後宮にはいられないでしょう。事実をヴァンディミオン殿下に隠さずにお話して皇帝陛下に対して慈悲を請わねば、カロリーヌ様もあなたもこの先どのような未来が待っているか。皇后陛下が処罰を皇帝陛下に対してお願いすることも考えられるのですよ。」


そう諭すように言うと


「カロリーヌ様は、私がご主人様の指示に従い全てを実行したとおっしゃったのですか?」


小さな声で聞いてきた。


「はい。自分は止めようとしたと。止め切れなかったと後悔しているようでした。」


そう私が答えると何かを決意したのか、顔をまっすぐにこちらに向けた。


「わかりました。お話します。」


座りなおし何かを考えながら今回のことについて話し出した。


「カロリーヌ様のお父様は自分の娘を正妃にと望みましたが、それが叶わなかったのはご存知の通りです。ですが、その後も皇后陛下の座を諦めていませんでした。財力で周囲に味方を作り皇后陛下の行動を問題にしていつか追い落とそうとしていらっしゃいました。カロリーヌ様自身も実家の援助により豪奢な生活をして皇帝陛下の気を引き、社交界ではカロリーヌ様こそこの帝国の皇后にふさわしいと思わせるように行動していました。ですが、ご主人様の財力に翳りが見えてきたことで周囲から人がいなくなり何とかしなければならないと考えたのでしょう。そしてカロリーヌ様はそこにいる女官を気に入っていつも自分が皇后になったらと夢をかたっていたのですが、いつしかそれが皇后陛下や皇帝陛下、そしてヴァンディミオン殿下に対しての愚痴に変わったのです。ヴァンディミオン殿下のせいで実家からの援助が乏しくなったと女官にこぼし、精神的に不安定だったカロリーヌ様がある日、ご主人様に皇后陛下の名前をかたりヴァンディミオン殿下に危害を加えようと手紙を書いたのです。女官を可愛がっていたカロリーヌ様はその手紙を女官に隠されてしまい多額の金銭を要求されてしまい、ご主人様に助けを求めたのですがご主人様はカロリーヌ様を助けるだけの財力がありませんでした。カロリーヌ様は何とか女官に対してできるかぎりのことをするからと言っていたのですが、女官は納得せず、また手紙を“自分に何かあったら公表されるようになっている。”と言われたことで始末することもできず、カロリーヌ様は焦っておりました。そのうち皇帝陛下が皇后陛下と仲睦ましいと噂が聞こえてきてカロリーヌ様は精神的に追い詰められたのでしょう。女官を部屋から出さず手を上げるようになったのです。ですが女官も、遅くなりましたがメアリというのですが、メアリも手紙のありかを言わず、このような状態になってしまいました。そしてご主人様から、“こうなったら、皇后陛下からの贈り物としてヴァンディミオン殿下に毒物を贈り大騒ぎになった所を、後宮からこのランスロット帝国から逃げ出そう。”と手紙が届き後はご存知の通りです。贈り物をしても皇后陛下のお名前でしたらすぐに手がつけられないと思い、逃げる時間ができるはずだったのですがすぐに後宮の出入りが禁止されてしまい・・・。」


カロリーヌ様たちにとって計算違いだったのは、頼んだ女官が庭に持ってきてしまいジュリウス王子が手をだして倒れてしまったことだろう。

でも大臣は本当にカロリーヌ様を連れて一緒に逃げるつもりだったのだろうか?

例えばカロリーヌ様とともにどこかの貴族の夜会に出席して、その後逃げ出すことのほうが確実だと思うのだけれど・・・。


(娘を囮にして逃げるつもりだったのかしら?)


口には出さないが、ヴァンディミオン殿下の方をみると同じことを考えていたのか頷かれる。

女官は私たちをみて


「これが私の知っていることの全てです。もしご質問がありましたら私の知っていることはお話します。ですから、お嬢様は・・・カロリーヌ様にはなにとぞ寛大なご処分を・・・。」


そう言って頭を下げる。


「自分のせいに全てされたのに、なぜそんなにカロリーヌ様を庇うんだ?」


ルシフェルトが思わずといったように呟く。


「お嬢様を近くでみていたのは私です。そして諌めることもできず、ここまできてしまいました。カロリーヌ様は私にとって大事なお嬢様なのです。」


必死に言い募る女官をみていると、ヴァンディミオン殿下は


「その女官が目が目を覚ましたらまた話を聞く。とりあえず皇帝陛下に報告しに戻るとしよう。カロリーヌ殿とお前は皇帝陛下からの言葉があるまでこの部屋を出るな。」


そう言ってカロリーヌ様の部屋に女官を連れて行き騎士に見張るよう言いつけ、リリアにはベッドの患者の看病をするよう指示をだす。

女官長には、皇帝陛下から指示があるまでこのままの状態を維持するようにいい、皇太子宮に戻ろうとするが


「この事態についてのご説明はいただけませんか?」


と女官長が聞いてきた。

皇帝陛下の許可がなく話せることではないのを理由に、後宮の現状維持を頼んだ。

納得していない女官長に


「今、この後宮を任せられる人はあなたしかいないのです。皇帝陛下の許可がでたらあなたにお知らせすることをお約束しますから、どうか頼まれてくれませんか?皇帝陛下にはあなたが協力してくれたことを報告し、女官長には事情を話すべきだとお願いしますから。」


そう頼むと、何とか後宮を現状維持してくれると言ってくれた。

これから皇帝陛下に報告し、大臣の話も聞かなければならないことを考えると憂鬱な気分になるが、私には大体の予想ができていた。






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