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悪役令嬢は賢妃を目指す  作者: りのみ
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悪役令嬢の目の前で起こったこと。

私の大声で人が集まり、お菓子を持ってきた女官は捕らえられた。

ジュリウス王子がテーブルに置かれてすぐに手を出したために逃げそびれたのだろう。

そしてジュリウス王子が食べてすぐに倒れたため、数人がかりで何とか吐かせることができた。

その騒ぎの最中にヴァンディミオン殿下が庭に駆け込んできた。


「セシリア!何があった?!」


現状はジュリウス王子が倒れ、女官が捕まっている。


「ジュリウス王子と話している最中にこの女官が、皇后陛下からだとお菓子を持ってきたのです。ジュリウス王子が止める間もなく食べてしまい、このようなことに・・・。」


そうヴァンディミオン殿下と話している間にルシフェルトが指示をだし、皇太子宮の中にある部屋にジュリウス王子が運ばれていく。


「あまり動かして毒が身体に回ってしまう危険を考え、客間にジュリウス王子を運び医師を呼びます。」


そう言ってルシフェルトはジュリウス王子の後を追った。

残されたのは、捕らえられた女官と私たちだけだ。


「誰に指示された?」


そう女官にヴァンディミオン殿下が問うが、女官はこの事態を予想していなかったのか何が起こったかわからないような表情で顔を青くして黙っている。


「ヴァンディミオン殿下、追及は後ほどに。皇后陛下たちにお知らせしなければ・・・。」


戻っていたメルディナに後宮に知らせるように言って私たちはジュリウス王子の元に急いだ。


部屋に着くと、ジュリウス王子は目を閉じたままで医師が診察をしていた。

医師は診察をしながら、ルシフェルトに質問している。


「食べた物は吐き出したのですね?」


「数人がかりで倒れてすぐに吐き出させたようですので、残りと吐しゃ物を比べないとどの位身体に残ったかわかりませんが、大量には体内に残っていないはずです。」


ヴァンディミオン殿下は心配そうにその様子を見守っている。

私は思わずヴァンディミオン殿下と手を繋ぎ


「ヴァンディミオン殿下、きっとジュリウス王子は大丈夫です。殿下がしっかりしなくてはいけません。」


そう言って私もジュリウス王子の様子をみる。

先ほどまで話していたのに、目の前でお菓子をつまんだのを止めることができなかった・・・。

考えれば考えるほど、皇后陛下から皇太子宮にお菓子が贈られてくるなんてことはないのにその場ですぐに止めれなかったことを後悔する。


部屋の外が騒がしくなり、皇后陛下が駆けつけてきたのだとわかった。

ドアが開けられ、皇后陛下が息も荒く入室してきた。

髪を振り乱し、普段浮かべている微笑みではなく焦りの表情で、ここまで走ってきたのだろうか。ドレスが乱れている。


「ジュリウス!」


そう目を閉じているジュリウス王子を見つめ悲痛な声で叫ぶ。

思わず駆け寄ろうとする皇后陛下だが、他の医師に止められてしまう。


「皇后陛下、今は診察中ですのでお静かに願います。」


「ジュリウス!ジュリウス!」


そう言い、とめられても、ジュリウス王子に対して手を伸ばす。

主に診察していた医師が


「緊急性を要します。お部屋の外にてお待ちください。」


そう言って部屋から出されてしまう。


閉じられたドアの前で、皇后陛下が


「ジュリウス!」


と叫んでいるが、私たちにはどうすることもできない。

何か声をかけた方がいいのだろうが、取り乱す皇后陛下はおつきの女官でも止められないらしい。


(皇帝陛下は来てくださらないのかしら・・・?)


そう考えていると、皇后陛下がこちらを向いた。


「何があった?!」


そう詰問されたので、私が目の前であったことを話す。


「私は菓子など贈っていない・・・・。」


そう呟く皇后陛下。

今の皇后陛下と私たちの関係を考えると皇后陛下が贈り物をしてくるはずがないし、皇后陛下の名前で食べ物を贈られたら疑うだろう。

それは皇后陛下もわかっているはずだ。


「皇后の名前をかたり、女官にこちらに運ばせたのでしょう。幸い運んできた女官は捕らえています。すぐに誰に指示されたか聞きましょう。」


ヴァンディミオン殿下が皇后陛下にそう言うと、私の方を向いていた皇后陛下がヴァンディミオン殿下の方を向き


「お前が・・・お前がいるからジュリウスがこんなことになった!私をどうして苦しませるっ?!」


そう叫びヴァンディミオン殿下につかみ掛かる皇后陛下。


「皇后陛下!おやめください!」


付いてきた女官総出で皇后陛下を止めようとするが、皇后陛下は女官の手を振り払う。


「ジュリウスだけが私の支えだったのに!お前がこのランスロット帝国にいない間は平穏だったのに!お前がこの帝国に帰ってきてから、ジュリウスも私のいうことを聞かなくなった!お前がいるから・・・!お前なんていなければっ!!」


そう叫ぶ皇后陛下を、ヴァンディミオン殿下は無表情で見つめるだけ。

何も言わないで、ただ自分を見つめるヴァンディミオン殿下をなお皇后陛下は


「私にはジュリウスだけがいればいいのに!お前のところに行ったばかりにジュリウスがこんなことになるなんて!お前なんていなければよかった!最初からジュリウスだけがいれば私はよかったのに!どうしてお前のところで、お前でなくジュリウスがこんなことになる?!」


皇后陛下は何をいっているのかわかっているのだろうか?

ただ自分の感情だけをヴァンディミオン殿下にぶつける皇后陛下に対し、私は


ぶちっ!!!


と自分のどこかが切れたような音を聞いた。

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