表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は賢妃を目指す  作者: りのみ
82/94

悪役令嬢の混乱。

ヴァンディミオン殿下の膝の上でセシリアは混乱している!


そう誰かに突っ込まれてもおかしくないくらいに私は何が何だかわからない状態にある。

ヴァンディミオン殿下の膝の上から降りようとしても、大きな手が私の腰をがっつりと掴んでしまっている。

ヴァンディミオン殿下に私の心臓の音が聞こえそうなくらい身体が密着して、お互いの体温がわかる。

動機が激しくなり、眩暈がするような気がする。

それなのにヴァンディミオン殿下は私の反応を面白がるかのように、額にキスをして私の目を覗き込む。

にこやかに笑っているように見えるが目が熱っぽい。

私は恥ずかしくなり目をぎゅっと瞑って俯きたくなる。

そんな私の額にコツンと自身の額をぶつけヴァンディミオン殿下が囁く。


「セシリア、私のことをみて?」


目を瞑ったままの私にはヴァンディミオン殿下の顔はみえないが、その声は少し囁くようでかすれている。

恥ずかしくて顔を背けたいのに額があわさった状態では顔を動かすことができず、私はよけいに目をかたく閉じてしまう。


「セシリア、お願いだから・・・。」


(切なそうな声で言われても無理なものは無理です!)


声を大にして言いたい。

私だって顔を上げて、目を開けて、声をだしたいが恥ずかしくてできない。そんな私の心情も考えて欲しい・・・。


「セシリア・・・。」


私の名前をそんな声で連呼しないでください!

本当に恥ずかしい。

それでもヴァンディミオン殿下にこうされているのは嫌ではない。

動機も激しくなるし、身体から発熱するのに、この状態は不快ではなく恥ずかしいだけだ。


額から圧迫感がなくなったと思ったら、今度は頬に柔らかい感触がした。

驚いてそちらをみるとヴァンディミオン殿下の顔がとても近くにあり、私の頬に触った柔らかい感触の物体がヴァンディミオン殿下の唇だと理解する。


「あ・・・あぁのっ・・・。」


きちんとした言葉が話せない私のことを楽しげにみているヴァンディミオン殿下。

その顔をみて余計に顔が熱くなり、特に頬が集中してぽかぽかどころではなく、かっかとしている。

この状況をどのように打開したらいいのか混乱している私の頭では思いつかない。

膝の上でなすがままにされるしかないのかと考えていると扉がノックされる。

ヴァンディミオン殿下が残念そうな顔で


「セシリア、今日はここまでのようだ。」


そう言うと私を膝から隣に座らせる。


私が恥ずかしくて俯いていると


「入れ。」


と扉の外で待つ人物に声をかける。


「失礼します。」


ルシフェルトが入ってきて、俯いている私をみてヴァンディミオン殿下に呆れたような声で


「人が調べものをしている時に、あんた何やってるんですか?」


と言い放つ。


「何もしていない。ところで・・・。」


ヴァンディミオン殿下がさらりと嘘をつく。


(いや。私に色々なことをしたわよね?!)


突っ込むわけにもいかず黙っている私をよそに


「まぁ、今は何も言いません。」


と、ルシフェルトとヴァンディミオン殿下が会話を始めてしまう。

ルシフェルトが執務室に来たということは何らかの情報が入ったのだろう。

気持ちがなかなか切り替えられないが、話だけは聞くように努力する。


「まだ情報収集の途中なのですが、わかったことだけお知らせします。皇后陛下とカロリーヌ様はそもそも周知のとおり仲が悪いようですが、大臣の財政が潤っていた時はそれなりにカロリーヌ様を取り巻く人間がいて夜会でも派手にしていたんですよ。ところが財政が悪くなったとたんに周囲から人がいなくなったことで、部屋でもカロリーヌ様がヒステリーを起こすようになって、部屋付きの女官も辟易しているようでした。皇后陛下に張り合うようにお茶会をしたりしていたのがめっきり減って、部屋に引き篭もり状態だったようですし。退職金を払おうとしている女官はカロリーヌ様のお気に入りだったようですよ。」


ルシフェルトが説明をする。


「お気に入りだったら、カロリーヌが何か弱みになることを話したと考えられるな。」


そうヴァンディミオン殿下が答える。私も同じ考えだ。


「それと、皇帝陛下が皇后陛下の部屋に訪れることもカロリーヌ様の感情を乱しているとか。ジュリウス王子もその場に呼ばれていることで疑心暗鬼になっているようですよ。」


どのように調べたのかわからないが、ルシフェルトから聞かされた情報は重要だ。


「・・・大臣の財政が苦しくなったことで周囲から取り巻きがいなくなり、自暴自棄になると思うか?」


ヴァンディミオン殿下が少し考えてからルシフェルトに質問する。


「そこはまだわかりませんが、カロリーヌ様が何かをしようとしたのか、また何かをしようとしているのか注意して調べる必要があります。」


そう慎重に答えるルシフェルト。


「カロリーヌの部屋に届けられる物には注意を払うように。」


後宮は基本的に刃物などの人を傷つける武器になるような物は禁止されているが万が一のことがあることを考えてだろう。

ヴァンディミオン殿下がルシフェルトに指示をだす。

これから先に何が起こるかわからないが、大臣の嘆願書のこともある。


「大臣の嘆願書について噂にはなっていませんか?」


私は少し落ち着いたのでルシフェルトに聞いてみる。

娘の方がヒステリーを起こしているなら、大臣も追い詰められたら何をするか想像がつかない。

そもそも女官に弱みを握られいると仮定して、側室本人が何かしようとしたのか、それとも大臣からの指示か。共謀したのだろうことは想像できるが、主犯がわからない。

大臣が嘆願書について誰かに意見され暴走しなければいいが・・・。

そう考えて聞いてみたのだが、答えは最悪だった。


「噂になっています。しかも、大臣が皇帝陛下に“娘に対する皇后陛下の冷遇を盾に要求を押し通そうとした”という尾びれつきです。」


カロリーヌ様の人柄は知らないが、何らかの行動をするのではないかと考えられる事態に私たちは頭を抱えるしかなかった。


(貴族ネットワーク早すぎる・・・。)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ