悪役令嬢の就職活動。
城にて、国王様と王妃様、取り巻き達の父親に私と父。
今後について話し合うことになった。
そもそもエリスは男爵令嬢である。身分は私の方が上位で、いくら学園が平等をといってもそれは『学ぶということは尊く、身分は関係なく平等』である。エリスと私の立場が平等なのは学ぶ権利だけである。
嫌な言い方をすれば、高位の貴族の令嬢の婚約者と噂になっただけでその令嬢と取り巻きを敵にまわし、その実家も敵にまわしたに等しい。
エリスのされた嫌がらせ等、高位の貴族からすればされて当たり前と言い切られても仕方がない。
カイン王子以外は本心はわからないが、実家でこんこんと身分制度について諭され自身の婚約者達に対してもエリスのしたことは彼女や実家を侮辱したと思われても仕方なく婚約期間の延長も納得したらしい。そこは両家での話し合いの結果だろう。
肝心のカイン王子は謹慎中でありエリスとの結婚を諦めていないらしい。
「私としましては、エリス嬢を側妃にし私が正妃となれば問題はないかと思います。公務の面ではカイン王子も私情を挟まないかと・・・。ですが、エリス嬢を側妃にした場合私への訪れはないでしょうから離宮に住まわせていただきたいのです。後宮で王妃様による教育を受けても私がいることで効果がないことも考えられます。私のせいで王妃様に疎まれると考えるかもしれませんし。そのため離宮には私の許可なく誰も干渉することのないようお願いしたいのです。」
「そのような・・・。あなたはそれで幸せなのですか?女性として屈辱は感じないのですか?」
王妃様がつらそうに問いかけ
「王家としてはありがたい申し出だが、セシリア嬢はそれでいいのかね?」
国王様も顔をしかめています。
「王妃様をはじめ、色々な方にお世話になり公務の大変さが少しでもわかっているつもりです。私では公の部分を支えられても、私的なことではカイン王子はエリス嬢の方がよろしいのでしょう。国のためお世話になった方々に報いるためにも私は国家に嫁ぐという気持ちでおります。」
仕事を得るために私は一生懸命自身を売り込んだ。なぜか皆に感動されてしまったのは余分だった気がするが、きっと私の就職活動は成功するだろう。