悪役令嬢の帝国への思い。
ヴァンディミオン殿下から小包が届いた。
自分の考えた <ビジュー・オブ・インペリアル> を知って欲しいとお手紙に書いてあり、中には素晴らしい細工だけれのネックレスが入っていた。 <ジュエル・オブ・インペリアル> をみた後なので、比べてしまうとどうしても宝石の輝きが違う。
私に贈り物をしてくれるのはとても嬉しいけれど
(自分が考えた物を知って欲しい。と言っていたから女性視点での意見が欲しいのかしら?私がこれを改良する方法を考えたら喜んでくださるかしら?)
ついそう考えてしまう。
純粋に贈り物は嬉しい。私のことを考えて似合う宝石を組み合わせてくれた気持ちも伝わってくる。
それでも私にできることは何かしら?と考えてしまうのは、ランスロット帝国の皇后の存在があるからだろう。
メルディナに聞いた話では皇帝は才能のある人間を好むらしい。
ヴァンディミオン殿下は、私が理想としていた支えあう夫婦になれるのではないかと考えられる人物だ。
危険なのは皇后なのだから、ヴァンディミオン殿下と二人でランスロット帝国に有益な人物だと皇帝が認めてくれればいいのではないかと最近思ってきた。
(まずは、細工はとても綺麗なのだから宝石のカッティングを変えたらどうなのかしら?たしか宝石はカッティングによって輝きが変わるのではないかしら・・・。)
ヴァンディミオン殿下のお手紙には私のことを気遣う言葉や、普段の自分の仕事の様子、帝国での流行が書いてある。
私もネックレスのお礼の言葉と共に最近私の教育係りになってくれたメルディナのことや、帝国に嫁ぐことを前向きに考えていること。そして宝石によるけれどもカットの数を増やすと輝きが増すのではないかという考えを書き手紙を送った。
この国で私は賢妃になれば修道院送りは免れると思い生活してきたけれど、カイン王子が王太子の地位を剥奪されて、私自身の身分もなくなってしまったのでこれから先どうすればいいのかと思い帝国に嫁ぐことを真剣に考えた。
幸い私が今している仕事は側室の方が引き受けてくれるとおっしゃっているし、協力してくれている方々もこれから先の援助を約束してくれた。
私はヴァンディミオン殿下を人として好んでいるが男性としてみたらどうかわからない。
それでも学園での会話やメルディナから聞いたヴァンディミオン殿下の立場から、彼がとても努力しているのだということは何となくだけれどわかる。
正直なところこの国ではもう私のできる仕事はないだろう。
なら私を評価してくれたヴァンディミオン殿下と一緒に仕事をするのもいいのではないか?
きっと皇后からも守ってくれる気持ちはあるだろうし、私もなるべく負担にならないように考えれば良い。
ある日、私は孤児院や貧民街について側室のアイラ様、カサンドラ様、ダリア様と相談した。
軌道にのっているのでもっと他の貴族にも手助けをお願いしようと考えてくださり、ご実家の伝手も総動員してくださっている。
そして、もし私がランスロット帝国に行っても協力してくださると、娘のように妹のように思っているとおっしゃってくださった。これは全側室の意見だと。
ヴァンディミオン殿下のお手紙が届き、ランスロット帝国に嫁ぐことを前向きに考えてくれているようで安心したと、でも皇后という危険についてはすまないと謝罪の言葉が書いてあった。宝石のカッティングについては職人と相談しているとあり、これから一緒に色々なことを一緒に考えてくれると嬉しいとあった。
私は側室の方々が私のことをとても大事に思っていてくれたこと、ランスロット帝国に行っても協力してくださることを書き、皇后については怖いけれども二人で皇帝に認めてもらえるように努力しようとお返事した。
そして私はヴァンディミオン殿下とお手紙を交わしながら帝国についてメルディナに教わっている。
メルディナはあまり自分のことは話してくれないけれど、女官の中でも身分が高かったのではないかと思っている。
姿勢やお辞儀の仕方が綺麗なところや、ランスロット帝国の王宮についての知識から私が勝手に思っているだけだけれど・・・。
イストール国にも貴族の派閥がないわけではないけれど、ランスロット帝国はもっと複雑だった。
この国の王妃様と側室の方々は仲が良いし、そのご実家も何かあれば協力してくれるが基本的に側室である娘をたてに何かを要求することはない。側室の方々が権力争いをしようとしていないのが一番の理由だがそれはきっと珍しいことなのだろう。
それでもランスロット帝国の歴史は私にとって恐ろしいとしかいいようはないが。
メルディナも私がヴァンディミオン殿下とお手紙のやり取りをして帝国に嫁ぐのを前向きに考えているのを知ってから現在の帝国についても話をしてくれる。
皇后は後宮では絶対に他の側室が自分の上に行くことを許さない、逆らわせないと聞いた時にはこの国の後宮とは全然違うと思ったし、暗殺はしていなくても嫌がらせは日常茶飯事だと聞いた時にはヴァンディミオン殿下が側室は要らないといった意味がわかる気がした。
食事に異物が混入されたり、ドレスがいつの間にか汚れていたり、無視をされたり。幼稚だと言い切ってしまえばそれまでだけど、悪意のなかにいるのは地味に神経がささくれる。
メルディナは皇后対策について、帝国では貴族の取り巻きを作るか、皇帝の庇護を得るくらいしか方法はないと言っていたが難しい。
ヴァンディミオン殿下とは対等に支えあいたい。そして一緒に仕事がしたい。
私は私の願いを叶えるために考える。




