表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は賢妃を目指す  作者: りのみ
49/94

悪役令嬢のヒロインへの思い。

カイン殿下が旅立つまで数回お話する機会があり、今後は周囲と相談し、慎重に物事を進めていくと言っていた。

王太子の地位を返上したカイン王子は、国王様、王妃様、宰相、騎士団長、私に見送られひっそりとモアレに旅立って行った。

数日後私は王妃様に話があるとお茶会の誘われた。

そこで私はエリスについての処遇を聞かされた。

カイン王子がモアレに旅立った後すぐにエリスの処刑が実行されたらしい。

そしてその結果が


『辺境の地の神殿預かり』


となったと王妃様が教えてくれた。


王妃様に聞いたその神殿は教皇様が統治する教会の中のひとつだが、国のために神に祈りを捧げる女性たちだけが住む場所であり、また事情があり王家や貴族でいられなくなった女性が預けられる場所である。

日々の生活に変化はなく、その神殿の中だけが生きる空間である。やることは自分の身の回りのことと神へ祈ること。

外出することもできない。

この神殿では身分は関係なくその神殿に入った瞬間から、神官長の言うことが絶対となり外界との接触は決められた神殿側の人間しかできない。


エリスはあの後、カイン殿下の廃嫡、王都から他の地に移動させられることを教皇様から何度聞いても反省を促されても己のしたことを省みず、『私がランスロット帝国に嫁ぐはずだったのに!』とヴァンディミオン殿下に対しても不満を喚いていて、『カインが王太子妃にしてくれなかったのがわるい。』『セシリアがシナリオを改変したの!』『ヒロインは幸せになる運命なのよ!』と答えていたことから更正の余地はないと毒杯に決定したらしい。


でもエリスは毒杯を賜り教皇様が立会い、国王様、宰相、騎士団長の見守る中処刑されるはずだったが、できなかった。飲んだのに効果がなかったのだ。

何種類かの薬物が試されたがどれにも反応せず、周囲は困惑し他の処刑方法も提案されたが教皇様がもしかするとエリスには神の加護がないのかもしれないと言い出した。

この国の人間は生まれつき神の加護が授けられていると考えられている。

だから処刑には教会から人が派遣され立ち会い祈りを捧げ、死罪となったことの罪を罪人に自覚させ反省させ神の元に旅立たせるのである。

エリスの場合国王様が教皇様に要請し立ち会ってもらったのは、処刑の際に何を言い出すかわからなかったからだろう。

毒杯の効かないエリスに対して教皇様は『己の罪に対して罪悪感もなく自分はこうあるべきという考えを神がそばにくることを拒んでいるではないか』との見解を述べたという。


私はエリスがゲームの世界であるヒロインの立場に固執したことにより、自分で『ヒロインは幸せに暮らしました』という固定観念で自分で自分の考えに縛られたのではないかと思った。


教皇様はエリスの言うことのあまりのひどさと、毒杯が効かないことをあわせて何かに呪縛されているのではないかと推測し、その呪いを解くために神に祈りを捧げ続ける処置を国王様に進言したという。

他の方たちも、強制労働をさせたとしても男性の多い中でまた問題を起こす懸念をもち、もし呪われた身であるのならば王都にも置いておけないともことで女性だけの戒律の厳しい外界から閉ざされた山奥にある神殿に入れることに賛成した。


ただ私が思うのは、エリスがこの先己の行いを反省するまで、ずっと神殿から出ることがなく日々神に祈りを捧げるだけの生活であるという罰がいつまで続くのであろうということである。

エリスの考える『幸せなヒロイン』とは、顔の良い高位の男性にちやほやされる存在と思われる。

神殿で何の贅沢もできず、自分を誉めそやしてくれる異性もいなく、外出もままならず、我侭を聞いてくれる人もいない。周囲は厳しい女性だけ・・・。そして自由もないという状況はエリスの思う『ヒロイン』おではないだろう。

そんな状況にエリスが幸せを見つけられるのだろうか?きっと幸せになれたとエリス自身が思わなければいつまでもその状況が続くのだろう。


椅子に縛り付けられたままでもセシリアが悪い、幸せにしてくれないカインが悪い、帝国に連れて行ってくれないヴァンディミオンがおかしいと言い続けていたエリス。


これからは神殿の神官長がエリスについて定期的に報告してくるとのことだが、エリスの考えが変化することはあるのだろうか・・・。


神殿預かりだと神殿の名前を教えられた時も、『セシリアが行くはずだった場所にどうして私が?!』と発狂したらしい彼女のこれから先は、長く暗いだろう・・・。


自分の息子を廃嫡に追い込み王都から離れた地に行かせることとなった人物に対して、王妃様は淡々と教えてくださったが、私の考えは話すことができなかった。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ