ヒロインのヒロイン言語によるカインへの説得。
あの日からずっと椅子に固定されてご飯を食べるのと誰かと話す時以外は猿轡をされている・・・。
「自分の権利を主張して何が悪いの?」
毎日少しの時間、レオンの父親の教皇がきて私がいかに悪いことをしたかを話して行く。
カインには多少悪いことをしたのは認めるわ。でもヒロインを幸せにできないんだから、ヒロインのためになることをするのは当然だと思うの。
ゲームのキャラはヒロインを大事に幸せにするのは当然でしょう?
そんな思いで教皇に質問されれば答えたし、私は自分の権利を主張した。
ヴァンディミオンはきっと何か勘違いしているの。きっときちんと話す時間がなかったのと、セシリアが転生者だからシナリオが変わったことでセシリアが何かしたの。
セシリアがきっとヒロインの立場を奪ったの。
なのにある日来たカインは私に
「王太子の地位を剥奪され、モアレの地にユーリとランガと共に行くことになった。」
椅子に縛り付けられている私の正面に立ち、私のことを気にしたそぶりも見せないで言い出した。
普通ヒロインが縛り付けられているんだから、慌てて解くとか気遣うとかしたらどう?!
私はヒロインなのに、カインはキャラなのに全然思いどおりの行動をしない!
なんでそんな冷ややかな目で私をみるの?!
そんな目でみられるのは悪役令嬢のセシリアじゃない!
しかもランガとユーリを連れて行くって何それ?!
私のことはどうするのよ!そんなんだから王太子の地位を剥奪されるのよ!
たくさん言いたいことはあったけど、私が何か言うより早くカインは
「君には最後に会いたいと思ったんだ。」
・・・やっぱり私のことが心配だったのね。
少し助けに来るのが遅いけど、我慢してあげる。その代わり私がランスロット帝国の皇太子妃になれるようにしてよ。
そんなことを考えて少し焦らしてやろうと思って
「私がここに監禁されて何日放っておいたのかしら?」
少し傷ついたように言ってやった。こんな言い方されたら今までのカインだったらすぐに私を慰めたわ。
なのに
「国王の決定だからね。私に君に対して何かできる権限はないよ。何かしてあげようとはもう思えないけど。」
そんなことを言い返してきた。
あれ・・・?あれ・・・?カインの様子がおかしい・・・。
「父と母に言われているんだ。国王として王妃としてもう君に対して私ができることは何もないって。教皇様にお任せするようにと。セシリアにも言われたし。」
またセシリアなの?!
「何でそんなこと言うの?!じゃあ何のためにここに来たのよ?!」
私が聞くとカインは
「自分の甘さを思い知るためだよ。」
平坦な声であっさりと言い切られた。わけわからない・・・。
「あなたの甘さなんて知らない!私には関係ないわ!それよりもヴァンディミオンはどうするのよ!私はまだきちんと話せてないわ!私を幸せにするはあなたの義務でしょ!あなたが王太子妃にしてくれないんだから帝国の皇太子妃になる協力くらいしなさいよ!」
カインが自分の義務を忘れているみたいだから、ヴァンディミオンのことをどうするのか聞いた。ランスロット帝国はこの国よりも大きい国なんだからきちんとしなさいよ。
ヒロインを幸せにすることができなかったんだから、ヒロインが幸せになるために協力くらいするべきでしょ?
「私はこの城から出て行く。王太子の地位を剥奪された私に、ヴァンディミオン皇太子殿下に対して何かをできる権限はないよ。話しかけることさえ不敬だ。」
「じゃあランスロット帝国の皇太子妃はどうなるのよ!」
「セシリアがヴァンディミオン殿下に求婚されて、今現在王妃に紹介された人物に教えられて帝国について学んでいるよ。きっと将来はこの国にいた時のように公務を担う立派な皇太子妃となるだろう。セシリアと私との婚姻は無効になったよ。私の王太子の地位の剥奪については今まで何も考えてくれていなかったんだね。君は本当に私のことを私としてみてくれていなかったのがよくわかったよ・・・。いや。私だけじゃない。皆、ヴァンディミオン殿下も一緒かな・・・?」
一人で最後ぶつぶつ言って何かすっきりした顔をして、私が唖然としている間に出て行った。
なんで・・・?
なんでまたセシリアがでてくるの?
婚姻は無効になったとか言ってたから、ランスロット帝国の皇太子妃になるためにカインとの結婚をナシにしたの?!
え・・・?カインが王太子の地位を剥奪されたからって、カインからヴェンディミオンに乗り換えたってこと?
ひどくない?ゲームのイベントをセシリアがきちんとしないから卒業パーティーでうまく断罪することができなくて婚約破棄できなくて王太子妃になることができなかったし、セシリアが王太子妃になったから王妃たちの意地悪で側室にもなれなかったし、ヴァンディミオンから <ジュエル・オブ・インペリアル> がもらえなくてランスロット帝国に連れて行ってもらえなかった。
ヒロインはできるはずなのにできなかったことがたくさんある・・・。
ヒロインならできるはずなのに。
高位の令嬢に意地悪されても健気だと守られるヒロイン。
身分が高いイケメンに選ばれ愛されるヒロイン。
高位の令嬢よりも優れていると証明されるヒロイン。
王太子妃となり皆に祝福されるヒロイン。
騎士のランガの背に庇われるヒロイン。
仕事をするユーリを暖かく見守るヒロイン。
奉仕活動をするレオンの横で微笑むヒロイン。
そして <ジュエル・オブ・インペリアル> を首に飾りヴァンディミオンに寄り添いサラサラとした金色の髪にティアラを載せてピンクベージュの瞳を煌かせて微笑むヒロイン。
最後は素敵なキャラと対になるようなドレスを着ていたり、豪華なドレスで皆に囲まれるヒロイン。
ヒロインにはこんなにたくさんの幸せがあるはずなのに。
ヒロインはたくさん幸せにしてもらえるはずなのに。
ヒロインは幸せに暮らすはずなのに。
カインが来てあんなことを言ったから考えることが多くなった。
セシリアがまた邪魔をする。でもヒロインは悪役令嬢には負けないの。
ゲームの攻略ではルートはどうなんだろう。現実では好感度とかのチャートがないからわかりにくい。カインが王太子の地位剥奪ならきっとヴァンディミオンの皇太子妃ルートかしら?
私は逆ハーレムを一回成功しているから絶対に幸せになれるはずなの。
だってヒロインは幸せに暮らすのが当たり前なんだから。
誰が何を言ってもヒロインは幸せになる運命なの。
少し皆自分の義務を忘れているみたい。
絶対大丈夫。だってヒロインは必ず幸せになれる。幸せになれないヒロインなんて聞いたことないもの。




