表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は賢妃を目指す  作者: りのみ
45/94

悪役令嬢の考え。

城の謁見の間にて、国王様、王妃様方、宰相、カイン殿下、私で帰って行く他国の方や遠方に領地を持つ貴族から挨拶を受ける。

話をするのは主に国王様、王妃様だが、ヴァンディミオン殿下の時には


「お返事をおまちします。」


と国王様方に挨拶の後、私に一言くださった。


「お気をつけて。」


とだけお答えして、ランスロット帝国に帰って行くのを見送った。


見送りが終わった後、離宮に戻ろうと退出の挨拶をしようとした私を王妃様が呼び止め後宮に誘われた。

二人きりでお話があるとのことだったので、王妃の間に通された。何だろうと思って勧められた席に座るとり王妃様は侍女の入れた紅茶で唇を湿らせると、


「手紙を読みました。セシリアはヴァンディミオン殿下をどう思っていますか?」


直球で質問された。

私が答えずに戸惑っているのをみて笑われてしまった。


「あなたは、この国に嫁ぐつもりだと言ってカインと結婚してくれました。そしてとてもこの国のために尽くしてくれました。でも今回は、あなた次第でランスロット帝国というこの国ではない知らない場所に嫁ぐかもしれません。あなたは私たちが教育した娘同然だと思っています。私はあなたに教えるほどの帝国についての知識はありませんが、他の方々に学んでみる気はありませんか?お手紙をやり取りしてヴァンディミオン殿下の人柄を知ると一緒に帝国についても知って、それからお返事をするのはどうかと思うのですが?」


ありがたい提案をしてくださった。

ランスロット帝国にはもちろん行ったことはないし、私の知識は他国の王族に連なる者として必要な外交上知っていたほうが良い表面上のことだけだ。もし詳しいお話が聞ければそれだけ選択肢が広がるし私ができる仕事もみつかるかもしれない。国によって次代が振られる仕事は違うだろう。


でもランスロット帝国の出身の方なんていただろうか?と考えているとダリア様が昔ランスロット帝国の後宮で女官をしていた方をこの国に呼んでいたらしい。


私のためではなく、カイン殿下が <ジュエル・オブ・インペリアル> をヴァンディミオン殿下に所望したと知って、攻め込まれることを考慮しすぐに側室方は実家の伝手を辿り、帝国についての情報を集めようとしていたとのこと。

その中でダリア様は実家に連絡し、帝国の情報を知っている人間を探してくれるように頼み、その方を『帝国の皇太子になった方について知りたい。』という理由をつけてこの国に来てくれるよう要請していたとのことだった。


「まだその女性に会ったことはないので確定ではありませんが、あなたが王子妃教育を受けていた頃のように国について学ぶのはどうでしょう?」


その女性が教育係りにふさわしくなかったり都合で断られたりしても、また考えると王妃様がおっしゃってくださったので私はありがたくその提案を受けることにした。他にもダンスやマナーを教えてくれる方がいるので心配はなさそうだ。


王妃様の部屋から退出し、離宮に戻ると少ししてカイン殿下からこちらに来て話がしたいとの連絡があった。

侍女に了承したことを伝えてもらい、約束の時間に以前カイン殿下とお話した部屋で待っていると訪れを告げられた。

カイン殿下はとても疲れた顔をしていたが


「父と話をしたよ。一週間後に私は国を発つ。その後に時期をみて病気療養で王都から出ているが、王太子を続けていくのは難しいので地位を剥奪したと発表される。私は王家の領地のひとつであるモアレでユーリとランガと三人でやっていくように言われた。」


と教えてくれた。


「他の領地に比べると小さいけれど、肥沃な土地で特に今まで問題があったことはない。三人でやり直すことを考えると、とても恵まれた土地を与えてくれたと父の温情だと思ったよ。私はそんな父の期待も裏切ってしまったと実感してね。母も責任をとって王妃を辞めると言って側室たちに止められたと聞いて自分の考えがいかに甘かったか、与えられた立場に対して責任感が足りなかったとずっと考えていたんだ。・・・私にとってセシリアは今になって思うけど、劣等感を感じていたと同時に姉のような存在だったのではないかと思う。無意識に甘えてしまっていて悪かった。」


もう一度謝罪されて、私は


「謝らないでください。」


としか言い様がなかった。


「ところで、ヴァンディミオン殿下に嫁ぐかもしれないと聞いたんだけど・・・」


遠慮がちに聞かれた。


「皇太子妃にしたいと言われましたがまだお返事は保留しております。ヴァンディミオン殿下のことはよく知りませんし、ランスロット帝国のことを知らなければ何ともお返事できませんから。」


そう答えると


「セシリアらしい。」


と幼少の頃に一緒に勉強をしていた時に、私がカイン王子が答えられない問題で答えを言った時に


「セシリアはすごいなぁ・・・。」


と感心した時にしていた顔をされた。


「エリスについては父に任せたよ。私を一人の人間として認めないエリスに対して私が何かできるのかと言われてしまってね。教皇様がレオンのこともあるし請け負ってくれた。」


淡々と、嘘をつき自分のことを振り回し、心を弄び最終的には王太子としての地位も捨てさせるようなことをした女性に対して何の恨みもないように凪いだ目をして、エリスのことは国王様に任せたと言った。


「彼女についてはお任せしたほうがいいでしょう。第三者の方が彼女に罪を認めさせることができるかもしれませんし・・・。」


エリスについては私は関わる気はない。もともと関心はなかったが自分とは世界の違う理解しがたい生き物だと思っている。きっと彼女はこの先もヒロインにこだわり続けるのだろうと思ったら多少思っていた感情もなくなった。

それ以外にも幼少の頃の数少ない面白かったことや大変だったことを話してカイン殿下は帰って行った。


エリスは教皇様が前世でいうところのカウンセリングを行うのだろう。


そして、カイン殿下が王都を去るまでにエリスが改心するかどうかで彼女の今後が決まる。

エリスに変化がなければカイン殿下が城からでたら翌日にでも処刑されると思う。

彼女はカイン殿下を筆頭に他の方々をないがしろにしすぎた。この国の高位と呼ばれる方たちの子息を誑かし将来の約束された地位を捨てさせた。だまされた方も悪いのかもしれないが、彼女はゲームの知識があったのだから同情の余地はある。

それにもう彼女のことを守ってくれる者も、庇ってくれる者もいない。

エリスが学園で彼らを侍らしていたことで元々彼女には、彼らしか味方はいなかった。

自分で自分の味方を手放して、実家も彼女を助けるより自分たちが助けを求める側になっている。

そんな彼女が処刑されないのは、ただカイン殿下が気に病まないようにというカイン殿下への城での最後の配慮だ。だから彼女は何を喚いても、猿轡をされ今は椅子に縛り付けられ監禁状態にされている。


このまま毒杯を賜ることになるのだろう・・・と私は窓の外を眺めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ