表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は賢妃を目指す  作者: りのみ
43/94

悪役令嬢の栄転か左遷か。

国王様にお話があると呼ばれていくと、国王様と、王妃様、宰相だけだった。

並んで座る国王夫妻の後ろに控える宰相。そしてその正面に座るように促される。


「失礼いたします。お話があると伺い参りました。」


王妃様の疲れた表情が気にかかる。国王様や宰相も少し疲れた顔をしている。

国王様が


「連日疲れているだろう。だが、此度のことはセシリアにも関係のあることなので話しておく。順序だてて言うと、カインは王太子としての地位を剥奪し、まだ場所は確定していないが王家の管理する地へ病気療養として行かせることとなった。これはヴァンディミオン殿下にも納得いただいた。あの女・・・エリス男爵令嬢は未だに己が何をしたのか自覚せず、セシリアが悪い、自分は悪くないと言っていると見張りの兵から報告されている。教皇にも相談した結果、教皇も一緒にもう一度だけ己のしたことを振り返らせ、自覚をせぬようなら毒杯を与えようと思う。」


カイン殿下の思っていた通りになるようである。殿下が一緒に来て欲しいと言っていたことを伝えようとしたがまだお話があるようなので黙って頷くだけにしておく。


「そしてセシリアにもっとも関わる話というのは、ヴァンディミオン殿下がそなたを帝国に連れて行きたいとのことだ。」


なぜそうなるのだろう・・・?

表情に出ていたようで国王様がヴァンディミオン殿下との会話についてお話を続けてきた。


「学園で数度であったが話をした時にセシリアの見識の深さ、自重のできる性格についてとても感心したと言っておった。だがこの国の第一王子であるカインの婚約者ということで諦めたが、今回のカインの地位の剥奪に伴いセシリアも王太子妃ではなくなる。教皇に相談したがセシリアは国に嫁ぐと宣言し離宮に住んでいたことから婚姻関係の無効が適用できる。その場合結婚していた事実が消え、離縁ではないので婚姻にはなんら問題がない。そしてヴァンディミオン殿下はセシリアを帝国に迎えたいと言っておる。後ほどヴァンディミオン殿下本人からも話があると思うが、国王としてセシリアがどのような決断をしても良いように最大限協力しようと思う。」


帝国に嫁ぐ・・・。考えもしていなかった。


「カイン殿下には、私についてきてほしいとの言葉をいただきましたが・・・。ヴァンディミオン殿下からそのような言葉があるとはまったく考えておりませんでした・・・。」


まったく予想していなかったことだったので、カイン殿下のことも言わなければならないと思い発言すると王妃様は  


「セシリアがカインについて行ってくれることも考えていてくれたというのは、母として嬉しく思います。が、あの子はまたセシリアに無意識に甘えてしまいます。もう二度も失敗しているのです。次期王太子妃としてふさわしく、またそうあろうと努力していたセシリアではなくエリスを選び、あんな場所で冤罪による糾弾をし婚約破棄をしようとしたこと、そして今回はヴァンディミオン殿下の温情から戦争を回避されただけでカインの責任は大きい。それもセシリアがあってのことです。もうこれ以上カインのためにセシリアを犠牲にできません。」


そう言い切って顔を伏せてしまう。

国王様も同様に思っていたようで  


「カインはセシリアに謝罪をした。そこまではいい。だが、今回もセシリアについてきてほしいとい言うとはまだまだ自分に対する甘さが残っている。カインには宰相の息子であるユーリと騎士団長の息子であるランガがついて行くことになる。二人ともカインがエリス男爵令嬢にネックレスを送ることは言われていた。その責任をとると言い出したのだ。セシリアはカインのことだけでなく自分の幸せを考えてくれ。」


そう言われてしまった。

今夜で建国祭の夜会も終わるので、これから本格的にカイン殿下とエリスの今後について詳しく話し合いがもたれるらしい。

私はヴァンディミオン殿下が滞在中にあちらから直接話があるだろうと、心構えをしておくよう言われ退出した。カイン殿下には国王様たちから私はついて行けないことを伝えると言われ、私はこれからどうしたらいいのかと考えながら離宮に帰った。

私はこの国の王子妃になるための勉強しかしてこなかった。しかも修道院に行くのが嫌との理由から賢妃となれば回避できると思って仕事をするための勉強だった。帝国のことについてはこの国の見解しか知らない。そんな私が帝国に嫁ぐことも視野にいれることを考えるようになるとはまったく予想していなかった。ヴァンディミオン殿下は私のことを誉めてくださったようだが、私が熱心に学ぶことをしていたのは自分が仕事をしたかったという自分自身のためだ。随分私のことをよく思ってくれているようだが、きちんとお話した方がいいだろう。そして直接話をして帝国に嫁ぐということになったら私はどんな仕事ができるのだろう。これは転職ということだろうか。この場合、栄転となるのか左遷となるのか深く考え込んだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ