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悪役令嬢は賢妃を目指す  作者: りのみ
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ヴァンディミオン殿下の勘違い。

ランスロット帝国は周辺諸国に比べ一番大きな国だろう。

帝国には強大で古くから国があるがゆえの血なまぐさい歴史がある。

後宮で皇帝の側室がいなくなったり、次期皇帝の地位を巡り暗殺事件や毒殺騒ぎ、調べればいくらでもでてくる。

そんな帝国に皇帝である父と皇后である母も持ち私は生まれた。

今の、父である皇帝は歴代で一番穏健で国を繁栄させていると言われているが、ただ穏やかなばかりではいられない。皇帝になるために、そして皇帝となった今も裏で手を打ってきたのだろう。自分は何もしていないようで相手を裏切らせて破滅に導いてきたのだと思う。

逆らわずに従っていれば物分りがいいが、逆らったら潰される。

私は父である皇帝をそう認識している。

幸いにも私には次代の器があると思っていてくれるようで好きなことをさせてくれる。

能力のある者を好み重用し、国のために邁進している父を誇りに思う。皇帝になれば時に冷酷な判断を下さなければならない。それが国を治める者としての義務だろう。


だが母である皇后はそうではない。

なかなか子供ができなくやっと生まれた私の髪と瞳の色が皇帝とも母とも違うため一時家臣たちに不義を疑われたらしい。

皇帝である父は自分の祖父の血だろうと言って気にせず、家臣を諌めたらしいが疑われた母はなぜかこのように生まれた私を憎んだ。後宮で不義を疑った他の側室たちにもないがしろにされたらしい。

五年後に生まれた弟は父の髪と瞳の色がそっくりで溺愛していて、私が皇太子になる前に存在を消したかったのだろう。何度も命を狙われたが父のつけてくれた側近たちによって難を逃れてきた。

皇太子になる前の数年間はランスロット帝国にいることができず、諸国に留学していた。

皇后である母の地位は高く、父も言い逃れられたら表立って何もできなかった。

今まで母をないがしろにしたことのある側室たちは、帝国の高位貴族の娘だったり他の王家から輿入れしているので政治的問題になりかねないので母が何かしても表ざたにはなっていない。

それに、父は母を不憫に思っている。私が生まれる前は本当に穏やかな、父に尽くし国のことを一緒になって考え皇太子の時代から支えてくれた女性だったと言っていた。

それが権力を持ち、私を産んだことにより不義を疑われ、後宮で他の側室が父の子を孕むことによって何かが壊れたのだろう。


今現在皇帝の子供は数人いるが、母である皇后の子供は私と弟だけだ。

だから皇太子になった私に自分のしてきたことを覚えている母は、自分と弟が将来害されるのではないかと疑っている。側室たちも今まで私に対し冷たくしてきた貴族たちも、手の平を返したかのように私の顔色を伺っている。もちろん元々私側の貴族もいるが。


だから私は側室はいらない。弟が優秀だから正妃に子供ができなければ弟が私の跡を継げばいい。

皇帝の隣に立ち、同じ目線になれる女性を正妃にしたい。

とても苦労させるのはわかっている。きっと私やまわりは正妃に重圧をかけるだろう。矛盾だが私は絶対に守りぬく。正妃としては我慢をさせることが多いと思うが伴侶としてその女性一人と支えあいたい。

そんな理想を持っていた。私の地位が目当てではなく私個人を愛して欲しい。私も伴侶だけを愛したい。

夢のような理想だが、二人で帝国を治めたい。


そう思って留学している国で一人の女性と出会った。


その女性はとても革新的で進歩的な女性だった。私の話すことに意欲的に質問し自論を述べた。国のために尽くすことを厭わず自分が王子妃となったら公務を積極的にやりたいと言っていた。

その国の第一王子の婚約者だった。

だがその婚約者である第一王子は一人の女性の取り巻きの一人と化し、その女性をないがしろにしていた。注意はしていたようだが効果はなく反発されていた。

それでも彼女は自分は王子の婚約者だからと文句を言わず、自分の役目だからと城に教育のために通っていた。

その国にいたのは少しだけで、その後どうなったのかわからなかったが卒業パーティーで婚約破棄をしたと聞いた。そしてすぐに結婚したとも。

ただ、その女性は後宮には入らず離宮に住んで国のために尽くしていると噂が流れてきた時は彼女を正妃にしたかったと思った。きっとこの先彼女のような女性が現れるのは難しいだろう。


皇太子となった時、留学していた時に交友を持った国の学友たちに手紙を送った。お祝いに来てくれた友人もいたし、身分柄手紙で祝ってくれた学友もいた。

諸国を移動していたのでなかなか手紙が書けなかったが、皇太子となり皇太子の住居に住んでいる私に母は手が出せない今なら国を転々としていた頃と違い落ち着いて手紙が書ける。


他国の友人たちと手紙で交友して、留学中の人脈を使い皇太子として何か自分で成そうとした。


後宮や貴族の女性をみていると装飾品が彼女たちの権威の証なのだろう。女性同士の付き合いには必須らしい。私はビジュー・オブ・インペリアルを売り出すことにした。


帝国でビジュー・オブ・インペリアルが流行してから彼女の夫から愛人がネックレスが欲しいと言っていると手紙が来た。

あの時取り巻いていた女性を愛人にしたらしい。

何回か手紙のやり取りをしたが、欲しいネックレスは <ジュエル・オブ・インペリアル> だという。

確認もしたが、使っている宝石・デザインが同じだった。

あの学園にいた時のままならもしかすると愛人にそそのかされてこの国を手に入れられると思っているのかもしれない。

建国祭に招かれているので、皇太子としての地位で使える軍を少数だが率いて国境付近に駐屯させて招待に応じることにした。



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