悪役令嬢の焦り。
思考のループにはまり忘れていたが、建国祭が近々ある。
エリスはそこでも側室とは公表されないが、参加はするらしい。
カイン殿下が
「ヴァンディミオン殿が使者として父に挨拶にくるそうだ。その時に頼んでおいたネックレスも持ってきてくれると言っていた。その時に話もしたいとのことだったからセシリアもどうだろう?」
と誘ってくれた。
忘れていたが、侍女が優秀で私の用意はできていて最低限の準備で済んだ。
当日、私はカイン殿下にエスコートされて会場に入った。
建国祭なので、他国の王族も多くきているので私は(しっかり社交をして自分の人脈をつくらねば!)と気合をいれていた。
今は側室方の人脈を使っている状態なので私自身の人脈を作るという答えでとりあえず思考のループからは脱出している。
今日の私は前回同様王妃様に準じるドレスだが、国家としての体面もあるので国宝であるティアラやネックレスやブレスレットを身につけている。鏡をみたら髪の毛も銀粉をまぶされてキラキラとしていた。
自分で言うのもなんだが、とても美しい。皆が私をみている気がするのでダンスはステップを間違えないように気をつけなければ・・・。
そんなことを考えているとヴァンディミオン殿下がいた。学園にいた時よりも皇太子になったからだろうか、少しだけ気迫が違う気がする。
エリスも前回同様騎士にエスコートされているが、前回より楽しみにしているような表情だ。
カイン殿下とダンスを踊り、他国の方々と話をしているとヴァンディミオン殿下にカイン殿下が声をかけた。
「手紙ではやり取りがあるが、会うのは久しぶりだな。元気だったか?皇太子になったというお祝いを直接言えるのは嬉しい。おめでとう。」
「ありがとう。カイン殿下もおめでとう。結婚もしたと聞いている。セシリア王太子妃も久しぶりだな。おめでとう。」
にこやかに返して、ちらりと私にも視線を向け言葉をかけられた。
「お久しぶりです、ヴァンディミオン殿下。ありがとうございます。殿下こそおめでとうございます。」
和やかに談笑が始まるかと思ったが、エリスが騎士をすり抜けてこちらにやってきた。
「ヴァンディミオン様~。お久しぶりです。」
王妃様方の教育により、きちんと扇を持って淑女のお辞儀をして以前より礼儀正しいが・・・。
何でここに来たの!?




