悪役令嬢は城に行くことを提案する。
「セシリア・エヴァンジェエリスタとの婚約を破棄し、ここにいるエリス・ユリエールと私は婚約する!」
カイン王子が卒業パーティーでの開催の挨拶の第一声がそれだった。やっぱりイベントは起こってしまった。ただし、私はゲームでの行動をしていないので堂々と疑問を投げかける。
「カイン王子、私が何をして婚約破棄をされるのでしょう?また、私という婚約者がありながらなぜ他の女性をエスコートされていらっしゃるのか答えてくださるかしら?」
そうカイン王子はエリスの腰を抱き壇上に立っているのだ。その周囲を攻略対象者達が一歩下がって囲っている。
「エリスから全てあなたの行動は聞いている。その全てがあなたは王子妃に相応しくない。いちいち言わないとわからないのか?」
「はい。わかりかねます。彼女と接触したのは婚約者のいる男性と二人きりで会うのは良くない、態度を改めるようにとの注意をした時くらいです。」
後ろから宰相のご子息ユーリ様がでてきて、私が行ったとする行動を読み上げる。ゲームでの悪役令嬢セシリア・エヴァンジェリスタがやったであろう行動を・・・。
でも私に覚えはない。
「私がやったという証拠はあるのでしょうか?」
「エリスがあなたにされたと我々に訴えてきたのですよ。」
「それは証言であり証拠ではありませんわね。私がやったという証拠はあるのでしょうか?」
扇で口元を隠しながら王子達を見つめる。
きっと彼女も転生者であり、これをただのイベントと思っているのであろう。だから証拠がなくても私を断罪できると思っているのであろうか。
「身に覚えのないことを認めるわけにはまいりません。婚約は国王陛下の認めたもの。このような場合ただちに王城にくるようにと言われておりますので、パーティーを台無しにはできません。王城に向かいましょう。」
王子達は私を陛下の前で断罪できると思いそれぞれ会場を出て行く。きっともう早馬が城に向かっているだろう。以前からこうなった場合の段取りはつけていたのだ。正直この手は使いたくなかったが、こうなってしまっては仕方がない。第三者のをいれて話をしなければならいが彼らはここにいる誰よりも身分が高い。
誰の意見も聞かないだろう。それに私が両親に報告をした時から監視がついていただろう。彼らが現実を突きつけられどうなるのかはわからないが私も覚悟を決めなければならない。そう思い城に向かうことにした。